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55.悠木の失踪②

「悪い」


 そう一言俺に断りを入れてから、藤沢はスマホを見て、一瞬驚いた顔をしていた。

 俺はと言えば、藤沢って律儀な奴だな、なんて感心をしながら、少し離れた場所で立ち止まって、ぼんやりと藤沢の姿を眺めていた。


「えっ?どういう事ですかっ?!」


 突然、藤沢の声が大きくなった。

 そして、電話をしている藤沢の顔が、どんどん険しくなっていく。


 何か不測の事態でも起きたのだろうか。

 もしかしたら、ラクロス部・・・・じゃなくて、なんだっけ?あぁ、ラグビーだっけ?ラグビー部でなんかあったのか?

 今日部活動を休んだ事で、先輩から何か理不尽な事でも言われてしまったのだろうか。

 それならそれで、藤沢はやっぱり今日は、ラグビー部の活動に戻った方がいい。


 話を聞いてくれようとした藤沢の気持ちだけで、ほんの少しだけ気持ちが楽になっていた俺に、電話を終えた藤沢が言った。

 俺は気持ちよく、藤沢をラグビー部の部活動へ戻すつもりでいた。


「悪い、四条」

「うん、いいよ」


 分かってる。

 皆まで言うな。

 いいから戻れ。ラグビー部に。


 そう思いを込めて言ったのに。


「え?電話、聞こえてた?」


 藤沢は、驚いたような顔で言った。


「いや、聞こえてないけど、部活に戻るんだろ?俺ならもう大丈夫だ。早くもど・・・・」

「は?違うよ、瑠偉だよ!瑠偉が、いなくなったんだっ!」

「・・・・は?」


 焦った顔の藤沢とは対照的に、俺はきっとポカンとした顔をしていたと思う。

 だって。

 なんでここで突然、このタイミングで、悠木の名前が出て来るんだよ?

 今日まさに、俺が藤沢に聞いてもらおうと思っていた奴の名前が。

 それに、いなくなったって、なんだよそれ?


「四条っ、しっかりしろっ!瑠偉が、いなくなったんだぞ!」


 あまりにポカンとし続けている俺にしびれを切らしたのか、藤沢が両手で俺の肩を掴んで、前後に揺さぶる。


 いや、しっかりしろも何も。

 悠木がいなくなったって、なんなんだよ一体。


 揺さぶられ続けられる俺の耳に、俺のスマホの着信音が、微かに聞こえてきた。

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