47.ホワイトデー③
「ねぇ、四条」
「あ?」
「これ、いったいどうやって手に入れたの?」
「それは・・・・」
一瞬、答えに詰まって口ごもる。
やっぱくるよな、その質問。
浮かれついでに忘れてくれるかも?なんて期待していたんだけど。
どうやら夏川は、そこまでバカでは無いらしい。
悠木には見るなって言われてたけど。
あーもう、やっぱり事前に見とくんだったよ、中身っ!
つーか、悠木も、それくらい考えといてくれりゃよかったじゃんっ!
ただの、普通の、モデルなんて縁もゆかりも無い高校生男子が、一体どうやったら、人気絶頂モデルから個人的なメッセージなんて、受け取れるって言うんだよっ!
「まぁ、あれだ。俺の人脈をフルに使ってだなぁ・・・・」
「あんたにそんな人脈なんて、あったっけ?」
ジトッとした目で、夏川が俺を見る。
ヤバイ。
このままでは、疑われてしまう。
それは、完全に絶対的に本物なのに。
わざわざ悠木が、いや、ルイが、夏川の為に書いてくれたのに。
このままじゃ偽物扱いされてしまうっ!
「実は俺、前にちょっとだけバイトしたことあってさ。モデル事務所で。あー、モデルじゃねぇぞ?力仕事の方な、機材運んだり。そのツテで、な」
「ふ~ん・・・・」
とっさのウソにしては、上出来だろう。
ウソはウソだけならすぐバレるが、中に少しだけ真実を入れる事で、バレる確率は格段に下がるらしい。
俺がちょっとだけ、モデル事務所でバイトをした事は、真実だ。力仕事じゃなくて、モデルの方だったけど。
「じゃあ、さ。今度ルイと会わせてよ」
「それは無理」
「え~っ、なんで~!」
「それ手に入れるだけでも、結構大変だったんだからなっ!」
しつこく食い下がる夏川をなんとか振り切って、俺は急いで自分のクラスに駆け戻った。
あ~、疲れた。
朝からすげー疲れた。
精神的に、色々疲れた。
こんなホワイトデーは、初めてだ、全く・・・・
今日は悠木は休みでいないけど、昼休みになったら1人ででも図書室に行って昼寝をしよう。そうしよう。
自分の席で、ぐったりと机の上に頭を乗せながら、俺はそんなことを考えていた。




