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43.バレンタイン③

晩飯も食ったし。

そろそろ、風呂にでも入るか。

そう思いながらも、ダラダラとテレビを見ていると、スマホに着信が入った。

悠木からの電話だ。


「どうした?」

”今、行ってもいいか?”


時計を見れば、まだ8時を少し回ったところ。


「ああ、いいけど」

”じゃ”


そのまま、悠木は電話を切る。

相変わらず、要件のみの、素っ気ない電話だ。

周りがガヤガヤしていたから、もしかしたらイベントとやらが終わったばかりなのかもしれない。

とりあえず、玄米茶の用意でもしておいてやるか。

と、立ち上がったとたんに、玄関のチャイムが鳴った。


えっ?まさか悠木?

もう来たのか?

電話があってから、ものの数分も経っていないのに。


だが、開けた玄関の先に立っていたのは、両手に紙袋を持ったルイ姿の悠木だった。


「・・・・随分早かったな」


驚きながらも、ルイ姿の悠木を招き入れる。

もう、この姿も大分見慣れてはいるものの、あのグレーの瞳が露わになっているせいか、何故だ腹の底がソワソワするような、そんな感覚に陥ってしまう。


「真菜さんに、送ってもらった。車で」

「そっか」


どうやら俺は、真菜さんには信用されているらしい。

じゃなきゃ、悠木が女だと分かっている真菜さんが、男の一人暮らしの家に、夜一人で送り届けるなんてこと、する訳無いだろうから。


一旦紙袋を置いて、悠木が和室の仏壇に手を合わせている間に、玄米茶を入れ部屋に運ぶ。

ほどなくして、紙袋を持ったルイ姿の悠木が、俺の部屋に入って来た。


「しじょー・・・・これ、どうしよう」


困惑顔で、ルイ姿の悠木が手にした紙袋を俺に突き出す。

だが俺は、その紙袋よりも、どうしてもグレーの瞳が気になってしまっていた。

今俺の前にいるのは悠木であることは分かっているのに、まるで別人と一緒にいるような、不思議な感覚。

そんな綺麗な瞳で、そんなキレイな顔で、そんな困った顔なんてされたら、たとえ相手が男であったとしても、ドキドキしてしまうだろっ!

・・・・いや、違う。

悠木だからか?

相手が悠木だから、俺はこんなにドキドキしてしまうのか?


「しじょー?」

「ああ、どれ、見せてみろ」


動揺を悟られないように、俺は悠木から紙袋を受け取った。

両手が空いた悠木は、すかさず髪に指を突っ込んでクシャクシャとかき回し、ダサメガネをかけて、いつもの悠木の姿に戻る。


「すげーな・・・・これ、全部貰ったのか?」

「うん。まだある」

「マジで?!」

「うん」


紙袋一杯に入っていたのは、たくさんのチョコレート。それから、ルイのファンの女子たちからのプレゼントやら手紙やら。


「食べきれない」


困ったようにそう言って、悠木は玄米茶を啜った。

やっと一息つけたのか、ふぅ、と息を吐き出しながら、口元に微かな笑みを浮かべている。


「だろうな」


答えながら紙袋の中を見ているうち、中に見覚えのあるラッピングを見つけ、取り出してみると。

小洒落た封筒つきのそのチョコは、やはり夏川からのチョコだった。

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