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42.バレンタイン②

小さな溜め息を漏らした俺の背中に、馴れようとしたって馴れることのできない衝撃が、打ち下ろされる。


「っっってえええっっ!」


振り返らずとも、分かる。

犯人は、夏川だ。


「てめっ、何回言えばっ・・・・へっ?!」


頭に来て振り返った俺の目と鼻の先。

そこには、可愛らしいラッピングが施されたチョコレートが掲げられていた。


「はい。これ、四条の」

「・・・・マジ?」

「もちろん。この亜由実さんが腕によりをかけて作ったんだからね。ちゃんと味わいなさいよ?」

「手作りかよ!すげ・・・・」


夏川から受け取ったチョコを、マジマジと見てしまう。

確かに今までだって、毎年チョコは貰っていたけど。

さすがに手作りは、初めてだ。


「いや~、大変だったんだよ?ルイに贈るチョコ作るの。もう何回も失敗してさ。でも、お陰でサイッコーのチョコができたの!はぁ・・・・私のチョコ、ちゃんと食べてくれるかなぁ、ルイ・・・・」

「夏川、もしかしてこれって・・・・」

「うん、失敗作。でも安心して、味は保証するから。それに、失敗作の中でも、一番出来のいいやつだし」


なんだ、そーゆーことかよ。

俺のさっきの喜びを返せ、バカ。


口には出さずに心の中だけで毒づき、俺は改めて手にしたチョコを見る。

とはいえ。

やっぱり、初めて貰う手作りのチョコってのは、それなりに嬉しいもんだったりする。

・・・・いやまて。

夏川のことだ。

実はとんでもない激辛のチョコとかじゃ、ねぇだろうな、コレ。


ジトッとした目で夏川を見ていると、気付いた夏川が不満そうに頬を膨らませた。


「なによー、不満なの?」

「そうじゃねぇけど」

「大丈夫よ、ワサビとか辛子なんて、入れてないから」

「・・・・お前が言うと、入れているようにしか聞こえねぇんだよ・・・・」

「失礼ねっ!藤沢なんか、その場で食べてくれたわよっ!」

「マジでっ?!」


藤沢がその場で食べた事に驚いた訳ではなく。

夏川が藤沢にチョコを渡したという事実に、俺は驚いた訳で。


「で、どうだった?!」

「なにが?」

「藤沢だよ!」

「おいしい、って、言ってくれたわよ?」

「そうじゃなくてっ!」


そうこうしている内に、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響く。


「なんでもいいけど、ちゃんと食べてよ。で、感想聞かせてね」


そう言って、夏川は自分のクラスに戻って行く。


俺も急いで自分のクラスに向かいながら、久し振りのワクワク感を覚えていた。


藤沢、喜んだだろうな。

良かったな、藤沢。

後で揶揄いにでも、行ってやろう。

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