35.勉強会④
「しじょー、続き」
「つーかその前に、腹減ったな。何か食おう。そうしよう」
「・・・・うん」
無表情ながらも頷く悠木に、俺は急いでキッチンに向かった。
藤沢が持ってきてくれたスナック菓子は食っていたけど、やっぱりそれだけじゃ腹は減るし。
それよりも何よりも、俺も少し休憩がしたかった。
「悠木、嫌いなもん、あるか?」
「ない」
即答の悠木。
すげーな。
俺、嫌いなものなんか、結構あるのに。
ピーマンだろ、グリンピースだろ、ナスだろ、豆腐だろ・・・・
好き嫌いしてるから、ダメなのか?
好き嫌い無ければ、悠木みたいに頭良くなれるのか?
いやいや、そんなこと無い、絶対。
そんなことを考えながら、冷蔵庫の残りもので、俺はサクッとチャーハンを作った。
あとは、冷凍もんの唐揚げをチンして。
インスタントのスープを入れて、終わり。
独り暮らしの男のメシなんて、みんなこんなもんだろ。
・・・・っていうのは、偏見か?
いただきます、と手を合わせ。
悠木は、チャーハンを口にした。
とたん。
「おいしい」
口元を綻ばせる。
「マジ?」
「うん」
なんか、それだけですごく嬉しい。
そういや、悠木と2人でメシを食うのは、初めてかもしれない。
ケーキなら2回ほど、一緒に食った事があるけど。
昼寝の時も、さっさとメシ食い終わってから、寝に行くしな。
「おいしい」
悠木はもう一度言い。
ものすごい速さで、目の前のメシを平らげていった。
よっぽど腹が減っていたのだろうか。
俺が食い終わるよりも早く、食い終わってしまっている。
「ごちそうさまでした」
「あ、あぁ」
「おいしかった」
そう言って、悠木はダサメガネの奥の目を細め、二コッと笑った。
久し振りに見る悠木の不意打ちの笑顔に、不覚にも胸が高鳴ってしまう。
「それは・・・・よかった」
何だよ一体。
どうした、俺っ!
慌てて残りのメシを掻き込み、俺は食器をまとめてキッチンへ運んで、そのまま洗い物を始めた。
使った食器は、放置せずにさっさと洗うに限る。
というのは言い訳で。
全然おさまりそうにない、胸の動悸をおさめるための時間が必要だったから。
悠木と俺は、そんなんじゃないだろ。
まったく、何してんだよ、俺は・・・・
洗い物が終わる頃には、ようやく鼓動も落ちついて。
戻ったリビングでは。
「・・・・だよなぁ・・・・」
テーブルに頭を乗せ、悠木が気持ちよさそうに眠っていた。




