34.勉強会③
「瑠偉、これでいいのか?」
「違う。これはこの公式」
「あ、そっか」
「ねぇねぇ、悠木。ここは?」
「ここは動詞の後だから・・・・」
藤沢は菓子類を。
夏川は飲み物を。
それぞれ手土産に、俺の家にやってきた。
そして今、リビングのテーブルで4人、頭を突き合わせて、真面目に勉強に励んでいる。
意外にも・・・・というのは失礼か?・・・・悠木の教え方は分かりやすくて、俺はなんだか昨日よりは格段に頭が良くなっているように感じていた。
多分、藤沢も夏川も同じだろうと思う。
そして、もうひとつ意外な事に。
悠木は今のいままで、ただの一度も、居眠りをしていない。
この家に来て、悠木が1秒も眠らない事なんて、今まであっただろうか。
「しじょー。何してる」
「あ・・・・ごめん」
「真面目にやれ」
「・・・・はい」
さらに意外な事に。
悠木は思った以上に、もしかしたら学校の先生なんかよりもはるかに、スパルタで。
晩飯の時間にもなると、悠木を除いた俺達3人は、さすがに精根尽き果てていた。
「ダメだ・・・・俺もう、限界」
「あたしも・・・・疲れた~!」
藤沢と夏川は、同時に揃って座ったまま伸びをする。
俺の思惑とは裏腹に、最初こそ顔を赤くして緊張していたものの、藤沢は悠木の教えに素直に耳を傾けて勉強に励んでいた。
夏川も、最初はぎこちなかったものの、俺への淡々とした悠木の態度にやっと誤解を解いたのか、藤沢に同じく、素直に勉強に励んでいた。
「まだ序盤・・・・」
ボソッと呟いた悠木の言葉が、俺達3人の耳に痛い。
「でも、まだ一週間あるし。ねぇ?」
「バカ。もう一週間しかねぇんだよ」
「まぁまぁまぁ・・・・」
言い合う夏川と俺の間に、藤沢が割って入る。
なんだこの構図?
俺は、藤沢と夏川をくっつけようとしているのに。
「なぁ、瑠偉。試験まで、もう何回か勉強、教えてくれないか?」
「うん。構わない」
「じゃ、そういうことで!」
そう言うと、藤沢はイソイソと帰り支度を始めた。
本当にもう、今日は限界だったのだろう。
すると、藤沢に倣って、夏川も帰り支度を始めた。
やはり夏川も、相当疲れたのだろうと思う。
やり馴れない勉強なんか、急にしたもんだから。
「じゃ、また明日。ありがとな、瑠偉。」
「悠木、今日はありがと。またよろしくね!」
結局、2人一緒にバタバタと帰っていき。
悠木と俺だけが、その場に残った。
まぁ、ここは俺んちだから、俺が残るのは当たり前なのだけど。




