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26.悠木の過去④

「さすがにな。中学の制服のスカートは履いてたけど、あいつ、私服は全部メンズなんだ。しかも、好んでダサいの着てる。本当に趣味が悪いのか、敢えてそうしているのかは、俺にも分からないけど。で、どこだったかな・・・・新宿だったか池袋だったか。2人で服買いに行った時に、真菜さんに会ったんだよ。あ、真菜さんって、瑠偉のマネージャーな。俺達2人とも、真菜さんにスカウトされたんだ」


真菜さん、俺も知ってるけど。

敢えてここは知らない振りをして、藤沢の話に耳を傾ける。


「俺はその場で断った。真菜さんが怪しいからとかでは無いけど、俺はモデルになんか興味無かったし、部活の方が楽しかったから。でも、瑠偉は興味を示したんだ。俺、あいつも絶対断ると思ったんだけど。なんせあいつ、人見知りだし。でも、今考えたら、あいつは【ここに残る理由】が欲しかったのかもな。あいつの両親、海外に行ってるの、知ってるか?多分もう、その時には決まってたんだと思うんだ。でも、瑠偉は行きたくなかった。だから、モデルなんかでもやろうと思ったんだろうなぁ」

「悠木は、なんでここに残りたかったんだ?」

「多分だけど・・・・」


チラリと俺を見て、藤沢は言った。


「四条のじーさんとばーさんがいたこの家のそばに、居たかったんじゃないかな。それと、いつか帰って来るだろう、孫にも会って見たかったんじゃないか?」


・・・・えっ?

俺?

そう言えば、初めて会ったあの日、悠木は既に俺の事を知っていた。

あいつ、いつから俺の事、知ってたんだろうか・・・・



「で、真菜さんだけど。瑠偉はその時も男のカッコしてたのに、真菜さんは一発で、瑠偉が女だって見抜いてたんだよ。あれにはビビった。さすが、プロの目は違うなって思った。最初真菜さんは、瑠偉に女性モデルとしてのデビューを持ちかけたんだけど、瑠偉は頑として拒否したんだ。女性モデルは絶対にやらない。男性モデルだったらやってもいい、って。まぁ・・・・普段から男のカッコしてるくらいだから、女として多くの人の目に晒されることには、まだ恐怖感があったんだろうな。だから俺、真菜さんに瑠偉の事話したんだよ。過去に何があったかって。そうしたら真菜さん、分かってくれて。男性モデルとしてデビューさせても面白いかも?なんて、逆に乗り気になっちゃってさ。トントン拍子に話が進んで、今に至る、って訳だ」


女なのに。

女として見られることに恐怖感て。

そんなの、間違ってる。

絶対に、間違ってる。


悠木の事を知れば知るほど、俺は胸が痛んで仕方が無かった。

いつでもどこかボンヤリして、眠くなるとすぐにコロッと寝て。

そんな、おかしな奴だとしか思っていなかったのに。

俺、これからどんな顔して、あいつと会えばいいんだよ。

こんなことなら、何も知らないままの方が、良かったんじゃないか?


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