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24.悠木の過去②

「あいつのモデルのカッコ、見た事あるんだよな?」

「・・・・ああ」


さすがに、一緒にモデルをやった、とは言わないでおいた方が賢明だろうと。

おれは小さく頷くに留めて置いた。


「瑠偉はな、昔からずっと、あんな感じだ。人形みたいに可愛い顔して、人形みたいに大人しい。だから、だろうな。よく、おかしな男に狙われてたんだよ。いわゆる、変質者って奴だ。俺は瑠偉の家のすぐ近くに住んでたし、あいつとは保育園の頃からの幼馴染みでな。昔は何かって言うと、あいつ、すぐ俺の後ろに隠れてたんだ。人見知りが激しいから、友達もすぐにはできないし。だから、俺はあいつを守ってやらなきゃいけないって、ずっと思ってたんだ。でも、あの日・・・・小学校2年の時だったな。俺、どうしても家の用事で学校を早退しなくちゃいけなくて。だから、あいつと一緒に帰ってやれなかったんだ。その日だよ。あいつが変質者に連れていかれそうになったのは」

「えっ」


思いもかけない藤沢の言葉に、俺の胸がギュッと締め付けられたように、一瞬息が止まった。


変質者に?

悠木が?


「まぁ、でも、運よく通りかかった人が助けてくれてな。危うく難は逃れたんだけど」


なんだ、脅かすなよ・・・・

でも、良かった。悠木が無事で。

ホッと息を吐き出す俺に、藤沢は話を続ける。


「で、な。その助けてくれた人っていうのは、おそらくお前のじーさんとばーさんだ」

「・・・・え」

「瑠偉が言ってた。『四条のおじいちゃんとおばあちゃんが助けてくれた』って。ここらで【四条】っつったら、ここしか無いだろ?」

「そう、だな」


そうか、と。

俺は悠木の行動にようやく納得ができた。

なんでいつも、ここに来る度に、じいちゃんとばあちゃんの仏壇に手を合わせるのか。

悠木は知ってたんだな。

俺のじいちゃんとばあちゃんの事。


「まぁ、そんな訳で危うく難は逃れた訳だけど、でもそれ以来、あいつ、独りでいるのを極端に怖がるようになってな。夜もなかなか眠れないらしい。おそらくそれは今でも、だ。あいつんちは、両親共働きだったから、学校から帰っても誰もいなかったんだよ。それでも、あんな事があるまでは、独りで留守番もできてたんだけど、それも怖くなっちまったらしくてなぁ。あいつ、しょっちゅうここに来てたみたいだぞ。四条のじーさんとばーさんが亡くなるまで」

「え?」

「瑠偉がよく言ってたんだよ。『四条のおばあちゃんが子守歌歌ってくれると、すぐ眠くなって、ぐっすり眠れる』って。あいつ、夜眠れない分、ここで寝てたんだろうな」


確か、悠木は言っていた。

俺んちだと、よく眠れるって。

そうか。そういう訳か。

だから、だったのか。

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