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22.助けてくれ・・・・

 

 悠木が、女?

 悠木が?

 うそだ。

 だって、悠木は・・・・


 俺はとにかく、早く1人になりたかった。

 1人になって、色々頭を整理したかった。

 悠木が、実は女かもしれない。

 そのことに、何でここまで取り乱してしまうのかも、俺にはよく分からなかったけれど。

 でも、自分が今まで生きてきた中で経験したことのない混乱状態に陥っていることだけは、確かだった。

 なのに、こんな時に限って、色々邪魔が入るのは何故なのだろうか。

 校舎を出てすぐ、俺は藤沢に捕まった。

 よりによって、あの藤沢に。

 今でもちょくちょく睨まれてる気がするけど、一体なんの言いがかりを付けにきたというのか。

 どうでもいいけど、頼むから、今だけは勘弁してくれ。


「四条。ちょっといいか?」

「よくない」


 藤沢の方を見ようともせず、俺はそのまま奴の前を通り過ぎようした。

 だが、一瞬早く伸びた藤沢の手に、捕まえられた。


「時間は取らせない」

「よくないって、言ってるだろっ!」


 藤沢の手を振りほどこうとしたとたん。

 グニャリと視界が歪んだ気がした。


「おいっ、四条っ!」


 どうやら俺は、眩暈を起こして倒れたらしい。

 すんでのところで、頭を地面に打ち付ける前に、藤沢がキャッチしてくれたようだった。

 さすが運動部。

 動作が機敏だ。

 なんて、感心している場合か、俺。


「お前、だいぶ顔色悪いぞ?大丈夫か?」

「・・・・大丈夫じゃ、ない・・・・」


 多分、俺の頭の中は崩壊寸前だったんだと思う。

 悠木の事で。

 だって、悠木は・・・・


「家まで送ってく。掴まれ」

「・・・・悪い」


 結局俺は、藤沢に支えられるようにして、やっとのことで家までたどり着いた。


「なんだか分からないけど、お大事にな。」


 そう言って、玄関先で帰ろうとする藤沢の腕を、俺はとっさに掴んでいた。

 藤沢とは幼馴染みだと、悠木は言っていた。

 藤沢は、悠木がモデルをしている事も、知っているはずだ。

 ならば、悠木が男なのか、女なのか。それももちろん、知っているだろう。

 理由は分からないけどよく睨まれるし、知らないうちに嫌われているのかと思っていたけど、こうして助けてくれるってことは、実は藤沢はいい奴なのかもしれない。

 頼めば、俺の知らない悠木の事を、色々教えてくれるかもしれない。


「なんだよ?」


 腕を掴まれ、困惑顔で俺を見る藤沢に、俺は恥を忍んで頭を下げた。


「頼む、俺を助けてくれ」

「・・・・は?」

「頼む・・・・」


 困惑の色を深めて俺を見ている藤沢に縋るしか、俺にはもう、この頭の混乱を収める方法が無いように思えた。

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