20.悠木の誕生日③
仏壇を眺める形で横になり、悠木は眠っていた。
あまりに無防備な、悠木の寝顔。
起こすのが、忍びなくなるような・・・・
どうしよう、このまま寝かせてやった方がいいだろうか。
悠木の寝顔を見ながらしばらく迷っていると、驚くことに、悠木が自ら起き上がった。
一度寝に入った悠木が、こんな短時間で自ら起きることなんて、滅多に無い。
驚く俺に、悠木はなんだか申し訳無さそうな顔をして言った。
「ごめん。寝てた」
寝てしまった事に対して謝る悠木も初めてで。
その、なんとも情けない顔の悠木に、俺は思わず笑っていた。
「いいよ。それより、早く来い」
「うん」
素直に頷いた悠木を促し、俺の部屋に向かう。
「えっ」
部屋の入り口で、悠木は小さく声を上げて立ち止まった。
「今日、お前の誕生日だろ?」
「・・・・なんで?」
「雑誌に載ってた」
「そっか」
口元に微かに笑みを浮かべて、悠木は俺の部屋に入り、いつもの場所に座る。
「ホールケーキ、無かったんだ。ごめんな」
小さく首を振り、悠木は笑っていた。
「でも、ろうそくは立てるからな」
「1本?」
「そうだ。1回目だからな、お前の誕生日を祝うの」
「うん」
悠木のケーキにろうそく1本立てて、火をつける。
電気を消した暗い部屋で、嬉しそうにろうそくの明かりを見つめる悠木に、俺は言った。
「誕生日おめでとう、悠木」
「うん」
悠木がフッとろうそくを吹き消す。
すかさず電気を付けて、俺はベッドの下に隠しておいたプレゼントを、悠木に渡した。
「誕生日プレゼント」
「えっ」
悠木は驚いた顔で俺を見た。
なんだよ。
人にはプレゼントくれたクセに、何をそんなに驚いているんだ、こいつは。
「開けてみろ」
「うん」
ガサガサと、破ることなく丁寧に包みを開き、中から出てきたものを目にした悠木は、びっくりするくらいの笑顔で俺を見た。
相当、嬉しかったらしい。
こんな笑顔は、見た事が無い。
喜んでくれたのは俺も嬉しいけど、そんなにか?
だって、俺があげたのは・・・・
「ここで、使っていいのか?」
「もちろん。そのために買ったんだ」
「・・・・ありがとう」
小さく呟きながら、悠木は俺があげたプレゼントを嬉しそうに眺めていた。
悠木専用の、大きめの枕を。




