17.雑誌②
「仕方ないだろ、俺だって色々あるんだよ」
「色々ってなによ」
「・・・・色々は、色々、だよ」
「でも、遅刻は遅刻だから。四条のおごりね」
まさか、ついさっきまで悠木がうちで寝ていたから、なんて言える訳がない。
・・・・隠すようなことでもないけど。なんだか、言ってはいけないような気がする。
ちょうど通りかかった店員に、夏川は特大のかき氷を2つ注文すると、見ていた雑誌を俺に見せてきた。
「これだよ、うちの学校にいるはずの、イケメンモデル!」
その雑誌は、俺がピンチヒッターで相手役として撮影をした、あの特集が載っている雑誌だった。
「やっぱりカッコイイよねぇ、ルイって。このグレーの瞳、カラコンじゃないんだって。メチャクチャ綺麗じゃない?!」
「あ、うん・・・・そうだな」
「でも、どこ探してもこんなイケメン、うちにいないよね。あれ、ガセネタだったのかな。それとも、うちに入学しようとしたけど、ついうっかり口にしちゃって騒ぎになっちゃったから、学校変えちゃったのかな」
「・・・・かもな」
「いやでも、これ・・・・たまんないっ!この襲い受けな感じ?めっちゃ萌える~っ!!」
「オソイウケ?」
「うん。ほら、ルイってイケメンだけど、線細いし、受けな感じじゃん?なのに、受けが襲ってる感じよ~!はぁ・・・・いいわぁ」
やべぇ。
まともに見らんねぇ。
だって、開かれてるページ、まんまキス写真じゃんっ!悠木と俺のっ!
まぁ、俺の顔は口元しか写ってないけど・・・・でもっ!
頼む、夏川・・・・そんなにマジマジ見ないでくれ・・・・
そんな俺の願いも空しく、夏川は食い入るようにそのページを見つめている。
そして、唐突に言った。
「あれ?なんか・・・・この相手、四条に似てない?」
「・・・・はぁっ?!」
思わず声がでかくなり、慌てて片手で口を塞ぐ。
ついでに、飛び出しそうな心臓も、もう片方の手で押さえる。
「お前、バカか?そんな訳ねぇだろ?」
「だよね。なんかちょっと、目がおかしくなったみたい。そうだよねぇ、四条がモデルできるなら、世の大半の男子はみんなモデルになれるよねぇ。あははっ」
その物言いもどうかと思うけど。
なんとか誤魔化せた事に、俺はホッと胸をなで下ろした。
これが俺だなんてバレた日には、絶対面倒なことになるに決まってる。
ルイに会わせろとか、言い出しかねないからな、こいつなら。
でも、な~んか似てる気がするんだよねぇ、この顎のラインとか。
ぶつぶつ呟く夏川の視線の先。
ページ内に書かれていた情報に、俺は目を止めた。
そこには、ルイの血液型やら身長やらと一緒に、誕生日が載っていた。
ああ、もうちょっと先なんだな、悠木の誕生日。
俺の誕生日、祝って貰ったからな。
俺も、あいつの誕生日、祝ってやらないとな。
しつこく雑誌を眺めている夏川の前で、俺は外を見ながらそんな事を考えていた。




