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14.撮影

 

 ま・じ・でっ?!


 スタジオに向かう途中で真菜さんから手短に説明を聞かされ、俺は思わずその場で足を止めて目を剥いた。

 なんなら、その場から逃げ出そうかと思ったくらいだ。

 今回の撮影は、ある女性誌のメインの特集とのこと。

 テーマは、一部女子の間で、それはもう熱狂的に支持されている、いわゆる『BL』と呼ばれるもの。

『BL』と一口にいっても、そこには当然のように縛りがある。

【ただし、イケメンに限る】

 という、あれ。

 それで今回白羽の矢が立ったのが、悠木と、悠木と同じ所属事務所のイケメンモデルだったらしいのだが、悠木の相手役のモデルが急病で、代役を立てる必要ができたとのこと。

 で。

 悠木が選んだ相手が、俺。


 隣で平然と話を聞いている悠木を、信じられない思いで見ている俺に、真菜さんは笑って言った。


「大丈夫よ、四条くん。ルイは至ってノーマルだから」

「いや、でも・・・・」

「ルイはノーマルだからできるのよ」

「・・・・は?」

「・・・・え?」


 俺の頭が混乱し過ぎて、話が飲み込めないからだろうか。

 それとも、俺の頭が悪すぎるのだろうか。

 俺には真菜さんの言葉の意味が全く理解できなかった。

 だが、そんな俺に、真菜さんは何故だかひどく驚いているようだった。


「ルイ、もしかして」

「仕事だ」


 真菜さんの言葉を遮るように言って、悠木は歩き出した。

 人の言葉を遮る悠木を、俺はこの時初めて見たような気がした。

 いつだってどこかボーッとして、ワンテンポもツーテンポも遅れて返事を返すような奴なのに。

 仕事モードに入ると、性格まで変わるのだろうか。


「仕事だから、やってる。それだけだ」


 いつになく、固い口調で。

 悠木はそう言って俺を見た。


「だよな」


 俺の言葉に頷くと、悠木はやっと小さく笑った。




「なぁ・・・・逃げてもいいか?」

「ダメだ」


 超絶イケメンのモデルのルイこと悠木と俺は今、多くのスタッフとカメラマンの前で、お互いの息がかかるほどの距離でポーズを取らされ続けている。

 俺は『急ごしらえの代役のため』という理由で、全面顔出しはNGにしてもらった。

 よって、メインはもちろん、ルイこと悠木だ。

 角度によっては絶対にキスしているように見えるような写真やら、少しシャツをはだけて肌を露出させた俺の胸に悠木が頭を乗せるような写真やら、その手のモノが大好物な女子が泣いて喜ぶような写真を何枚も取られ、夕方近くになってようやく解放されると思ったその時。


「じゃ、最後にちょっと、逆にしてみるか」


 カメラマンが、軽い口調でそう言った。

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