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125.卒業式②

「なんて顔、してんのよ」

「・・・・なにがだよ」

「やっぱり、心配なんだ?」

「別に」

「素直じゃないなぁ、顔に出ちゃってるのに」

「うっせー」


 夏川は、今度は声を上げて笑った。


 お前は俺の不幸がそんなに楽しいのか。


 そんな恨み言の1つも言いたくなったが。

 夏川はフッと目を細め、その目に慈愛の光を浮かべて俺を見た。

 さながら、観音菩薩のように。


 ・・・・あれ?

 こいつ、こんなキャラだった?

 だいぶ、藤沢化してきてないか?

 やっぱ、付き合うと似てくるもんなのか・・・・


「大丈夫。ちゃんと悠木を見ていたのは、四条だし。悠木の事が誰より大好きなのも、四条だし。悠木だって、そんなことくらい分かってる。あんたの気持ちは、ちゃんと悠木に伝わってる。いくら恋愛に疎いからって、悠木もバカじゃないんだから」

「うん」

「今まで悠木にアタックした奴ら、みんな玉砕してるんだって。悠木ね、『気になる人がいるから』って断ってるらしいよ。当たり前だよ。そんな、ポッと出の奴らに、あの悠木が簡単になびく訳、無いじゃん。」

「・・・・だな」

「誰だろうねぇ?気になる人って」

「・・・・さぁな」

「あ、もしかして、【Nさん】かなぁ?」

「知るか」

「もー、ほんと素直じゃないなぁ」

「ほっとけ」


 藤沢の『亜由実!』の声に、夏川が俺の隣から離れていく。

 そして、入れ替わりのように。

 スッと、淡いピンクのワンピースが、俺の隣に並んだ。


「しじょー」

「ん?」


 今さらながらに照れくさくて、なんだか隣を向くことができず、俺は前を向いたまま返事をする。


「変、か?」

「え?」

「これ」


 思わず隣を見ると、悠木は困ったような顔をして、可愛らしいピンで止められた髪と、ヒラヒラと揺れるワンピースの裾をいじっている。


「真菜さんにやってもらったんだけど」

「髪か?」

「うん。でも」

「でも?」

「落ち着かない」

「だろうな」


 俺は思わず噴き出した。

 悠木があまりにも、心の底から居心地の悪そうな顔をしているもんだから。


「俺も、なんか落ち着かねぇ」

「そうか。やっぱり、変か」


 納得したように小さく頷く悠木に、俺は慌てて付け加える。


「いや、変ではない。すげー、似合ってる」

「え?」

「髪型もワンピースもちゃんと似合ってるし、すげー可愛い。けど」

「けど?」


 小首を傾げる悠木にドギマギしならも、俺は言った。


「いつものお前の方が、落ち着く」

「・・・・そっか」

「見慣れないから、かもな」

「うん」

「でも、本当に、すげー可愛い」

「・・・・ありがと」


 頬をうっすらと染めた悠木が、小さく笑った。

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