122.合格発表①
午前中。
俺は、公に学校を休んだ。
それは、第一志望の学校の、合格発表の日。
今時は、HP上で合格者の発表も行われているが、それでもやっぱり、可能ならば生で確かめたいってのが人の気持ちとして当然だろう。
幸いな事に、学校はここからバイクですぐ行ける場所だし。
「夏希!いい加減もう起きなさいっ!」
数日前から、かーちゃんがこっちに来ていた。
どうやら親父の転勤が確定したとのこと。内示とやらが出たらしい。
4月からの赴任とかで、今月の下旬にはこの家に引っ越してくるんだとか。
その準備のためだ、とかーちゃんは言っていたけど、やっぱり、俺の受験の事も気になっているんだと思う。
実は、滑り止めの学校には既に合格はしている。
でも。
できることなら、第一志望の学校に行きたい。
「分かったら、すぐ連絡するのよ!」
「へーい」
そんな訳で、いつもより遅めに起きた俺は、かーちゃんが作ってくれた朝食をのんびりと食い、バイクに乗って第一志望の学校に向かったのだった。
「・・・・あった」
掲示板に張り出された合格者一覧の番号の中に俺の受験番号を見つけ、思わず口から言葉が漏れた。
かなりの手応えがあったから、8割がた合格しているとは思っていたけど、やっぱり実際に合格しているのを確認すると、じわじわとした喜びが腹の底から湧きあがってくるのを感じる。
「俺、受かったんだ」
無意識に、悠木宛にメッセージを送信しようとして、打ちかけた文字を消す。
だめだ。
悠木には、直接伝えたい。
そのままスマホでかーちゃんに電話を掛ける。
「あ、かーちゃん?うん、受かったよ。俺、このまま学校行くから」
スマホの向こうでホッとした母ちゃんの声を聞いてから通話を終え、バイクに跨り。
俺は鞄も何も持ってきていない事に気付いた。
でも、ま、いっか。
今日の目的は、悠木に会うことだけだから。
学校近くの駐輪場にバイクを止め、手ぶらで学校に向かう。
一応担任に合格の報告をすませると、ちょうど昼休みの時間になった。
「そーゆー訳で、先生、今日俺、午後サボりまーす」
「公にサボるとか言うな、四条」
担任は苦笑しながらも、一応許可はしてくれたようだ。
なんだかんだ言って、全体的に緩いんだよな、この学校。
ま、そこがいいとこなんだけど。
教員室を出た足で悠木の教室に向かうと、ちょうど教室から出て来た悠木と出くわした。
「行くか?」
「うん」
「ちょっと寒いけど、今日、外にしねぇ?」
「うん」
俺達は連れ立って、久し振りに外の昼寝スポットに向かった。
まだ空気は冷たいけれど、太陽の光がさんさんと降り注ぐ、絶好の昼寝スポットに。




