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112.悠木の相談②

「あ、圭人」


 図書室から教室へ戻る途中、藤沢と廊下でバッタリ出くわした。


「おう、瑠偉。もう四条には言ったのか?」

「うん、今」


 会話の内容からして、きっとさっきのあの悠木の衝撃相談の事だろう。


「そうか。そんな訳だから、俺達も協力してやろうぜ、四条」


 やはり、悠木の言葉は嘘でも冗談でもなかったらしい。

 ついで言えば、俺の耳も頭もおかしくはなかったらしい。


 ・・・・おかしいのは、コイツらだ。


 俺は2人の顔をまともに見る事もできず、


「悪い、俺ちょっと急ぐから」


 と、そのまま急いで教室へと戻った。



 つーか、なんなんだ?

 どういう事だよ、一体?

 悠木が夏川を好きなら、それはそれでもう仕方ない。

 俺だって、きっぱり諦める。・・・・すぐには、無理かもしれないけど。

 でもっ!

 なんだよ、あの藤沢の態度はっ!

 あいつの夏川への想いって、その程度のもんだったのかっ?!

 それとも、悠木への忖度ってやつなのかっ?!

 バカじゃねぇのっ!

 夏川の気持ちは、どうなるんだよっ!


 何とか気持ちを切り替えて授業に集中しようとするも、モヤモヤとした気持ちが隙あらば集中力を攻撃してくる。

 お陰で午後の授業のたった2コマだけで、俺はグッタリと疲れ果てていた。


【今日課題見に行く】


 ピコンと、俺のスマホが悠木からのメッセージを受信する。


 ・・・・それとこれとは別だ、ってか?


 メッセージを前に、俺は大きな溜め息を吐いた。


 確かにな。

 俺達受験生にとって、この時期の時間は1分1秒だって貴重な時間だ。

 でも・・・・


 暫く迷って、俺は悠木にメッセージを返信した。


【うん】


 それとこれとは、別。

 今俺は、俺のやるべきことをやる。

 それに集中しようと。




 でも、待てよ。


 家に戻り、悠木を待ちつつ課題に取り組みながら、俺はふと思い出した。


『ああ見えて、あいつは意外と繊細なんだ。』


 俺が悠木に振られたと勘違いして動揺しまくってた時、藤沢は言ってなかったか?

 確かに、悠木は繊細だと、俺だって思ってる。

 じゃあ、今のこの状況って、一体なんなんだ?

 悠木が夏川に告白をするって事は、自動的に俺は振られた事になるよな?

 振った相手の家に、普通の精神状態で来られるような奴じゃ、ないぞ?

 俺の知ってる、悠木瑠偉って奴は。

 おまけに。

 夏川への告白の相談を、よりによって俺にするって、どういうことだ?!

 俺の知ってる悠木瑠偉なら、そんなこと、絶対にしないはずだ。


 じゃあ・・・・この状況って、一体・・・・?



「しじょー?」

「ん?」

「全然進んでない」

「あ、ああ・・・・って、ええっ!お前、いつの間にっ?!」


 いつの間にか、悠木が机を挟んだ俺の前に座っていた。


「・・・・メッセージ送った。ノックもした。しじょーも返事した」

「えっ!」

「・・・・大丈夫か?」


 心配そうな顔で悠木は俺を見るが、正直言って俺は、悠木からのメッセージを見た事も、ノックの音を聞いた事も、それに対して返事をした事も、まるで覚えが無い。


「今日は、帰る。しじょーは、少し休んだ方がいい」


 そう言うと、悠木はそのまま帰って行った。


 俺、疲れてるのか・・・・?


 その場に体を投げ出し、ぼーっと天井を見上げる。


 せっかく来てくれたのに、悠木に悪い事したな。


 ようやく、そんな当たり前の事を考えられるようになった時。

 スマホから、コールの着信音が鳴りだした。

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