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111/131

111.悠木の相談①

「しじょー」

「ん?」

「相談がある」

「・・・・え?」


 昼休み。

 定番の昼寝場所、図書室で。

 12月も中旬に差し掛かった頃の、それは突然の事だった。


 悠木が、俺に、相談っ?!

 やばっ、俺、なんかやらかしたかっ?!


 悠木が寝ている間にやっておこうと持ってきた分厚い過去問集が、力の抜けた手から滑り落ち、ガタンと派手な音をあたりに響かせる。


 もしかして、俺のカテキョ辞めるとか、か・・・・?


 慌てて過去問集を拾い上げて悠木を見ると、いつもは既に寝ていておかしくない悠木が、至極真面目な顔で俺を見ていた。


「・・・・なんだ、相談て」


 恐る恐る聞いた俺の耳に飛び込んできた悠木の言葉に。


「夏川さんに、告白したい」


 思考が一時停止した。


 あれ?

 俺、耳がおかしくなったのか?

 今、『夏川さんに、告白したい』って、聞こえたような気がするんだけど・・・・


「・・・・悪い。今、なんて?」


 聞き直すも、


「夏川さんに、告白したい」


 聞こえた言葉は、先ほどと全く同じ。


 悠木は、この手の冗談を言う奴ではない。

 少なくとも、俺はそう思っている。

 て、ことは。


「それ、本気か?」

「うん」


 答える悠木は、至って真面目だ。

 て、ことは。


 一時停止した思考が、ゆっくり活動を再開する。


 悠木が、告白?

 夏川に?

 確かにな。夏川は男じゃないし。だから、悠木にとっては恐怖もないだろうし。

 言われてみれば、悠木は夏川にはかなり懐いている。

 でもっ!

 そんなにっ?!

 そこまでっ?!


「そんなに、夏川のことが・・・・」

「うん」


 当然のように、悠木は頷く。

 俺は体中から力が抜けていくような気がした。


 悠木、そんなに夏川が好きなのか?

 俺じゃやっぱり、ダメってことなのか?

 悠木がそう望むなら、俺にはどうこう言う資格なんて何も無いけど。

 でもまさか、夏川に悠木を取られるなんてな・・・・


 そこまで考えて、ハッと気づく。


 つーか、夏川には藤沢がいるだろっ!

 どーすんだよ、悠木っ!


「藤沢にはもう、言ったのか?」

「うん。しじょーにも、協力してもらおうって」


 悠木の言葉に、俺は耳を疑った。


 ちょっと待て。

 やっぱり俺、耳がおかしくなったのか?

 それとも、頭がどうかしちまったのか?!


「藤沢が、ほんとにそう言ったのか?」

「うん」


 なんで?とでも言いたげに、悠木は小首を傾げて俺を見る。


 嘘だろ、藤沢!

 お前がいくら悠木を大事に思ってるからってっ!

 つーか、悠木っ!

 お前もほんとに、それでいいのかっ?!


「しじょー?」

「悪い、ちょっと寝る」


 混乱した頭を持て余し、俺は悠木がいる方とは反対側に顔を向けて、机の上に突っ伏した。

 もちろん。

 昼休み終了の予鈴チャイムが鳴るまで、一睡もできなかった。

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