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107.モデル引退発表④

「じゃ、俺そろそろ帰るわ」

「ああ」


 藤沢に助けられたのは、これで何度目だろう?

 もうほんと、藤沢には足向けて寝られねえな。

 ・・・・藤沢の家、どっちの方角か知らないけど。


 玄関まで藤沢を見送りながら、俺はふと気になった事を口にした。


「そういえば藤沢、ハンドボール部はもう引退したのか?」

「お前なぁ・・・・」


 靴を履き終えた藤沢が、呆れたように振り返る。


「最後の最後まで、俺の部活覚えなかったな」

「えっ?」

「わざとか?わざとなのか?」

「いや、そーゆー訳じゃ・・・・」

「俺は、ラグビー部だっつーのっ!もう引退したけどなっ!」

「・・・・だっけ?わりぃ」

「ま、いいけど。今日はお前の可愛い姿に免じて許してやる」

「なっ・・・・可愛いってなんだよっ!」

「腑抜けた顔とギャン泣き顔」

「藤沢っ!」


 火でも出るんじゃないかと思うほど、顔が熱かった。

 確かに、どっちも藤沢にバッチリ見られたけどっ!

 わざわざ言葉にされると、恥ずかしさ倍増だっつーのっ!


 ふざけんなっ!


 と抗議の声を上げようとしたが。


「ほんとお前、瑠偉のこと、大好きなんだな」


 そう言ってまっすぐに俺を見る、藤沢の慈愛に満ちた目に、恥ずかしさも怒りも消えて無くなった。


 なんだよ、こいつ。

 仏様かよ。

 なんて目で俺を見るんだよ。

 ・・・・ほんと、藤沢には、敵わねぇ・・・・


「瑠偉のこと、頼んだぞ」


 言いながら、藤沢は腕を伸ばして俺を力強く抱きしめる。


「あいつの事任せられるのは、お前しかいない」


 一段下がった玄関に立っている藤沢の顔は、ちょうど俺の顔のすぐ横で。

 為すがままに抱きしめられていると、ガチャリと鍵が開いて、悠木が顔を覗かせた。


「お邪魔しま・・・・」


 俺と目が合うなり、悠木はそのままそっとドアを閉める。


「ふっ・・・・ふふふじさわっ、分かった!ほんと、今日はありがとな!」


 慌てて藤沢を引きはがし、その勢いのままに玄関のドアを開けると、俺は背を向けて帰りかけている悠木の肩に手を掛けた。


「悠木っ!変な誤解すんじゃねぇってっ!」

「あれ?なんだ瑠偉、来てたのか」


 後ろから聞こえる、能天気な藤沢の声。


 藤沢よ・・・・ほんとに、ほんっとーに、俺はお前に心から感謝してるけど・・・・いつか一発殴っても、いいよな?


 疑わし気な目で藤沢と俺を交互に見る悠木の姿に、俺はそっと拳を握りしめたのだった。

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