表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/131

1.予期せぬ再会

『四条~!四条いないの~っ?!もうっ、待っててって言ったのにっ!!』

 

 放課後の教室。

 ロッカーの影に身を隠し、俺は息を潜めて夏川が立ち去るのを待っていた。

 高校進学を機に、小学校低学年まで暮らしていたこの町に、俺は1人で戻ってきた。

 この町が好きだったし。

 親父とかーちゃんも数年すれば、また転勤で戻って来るようだし。

 それになにより、今は亡きじいちゃんとばあちゃんが住んでいたこの家が、俺は大好きだったから。

 

 懐かしい町で、新たな出会いをして、可愛い彼女を作るべしっ!!

 

 そんなでっかい期待を胸に、この町に戻ってきたというのに。

 高校入学初日に、俺は一番面倒な女と再会してしまったのだった。

 

 夏川 亜由実。

 

 保育園、小学校とずっと同じで、何故だかやたらと俺に構ってくる奴、という思い出しかない。

 女のくせに(あ、この表現は、今はマズイのか?でも、敢えて言わせてもらえば)暴力的だし。

 パンチ、蹴りなんて、日常茶飯事。

 ほんと、いつでもクラスの番長的な。

 

「あれっ?もしかしてあんた、四条 夏希?四条だよねぇ?やだー、全然変わってないじゃん!すぐわかったー!!」

「は?」

「まさか、あたしのこと、忘れちゃったの?!あんなに仲良くしてあげたのにっ!あー、それとも、あんまりにもあたしが可愛くなっちゃって、分かんないとか?やだーもうっ!」

「ぐえっっ・・・・ってぇ・・・・」


『もうっ!』の言葉とともに背中を思い切りはたかれ、その痛みと共に脳裏に甦った名前。

 確かに、癪には触るが、ガキの頃から見れば随分と可愛くなったと思う。

 制服の無いこの高校は、私服のセンスもそれなりに問われることになる。

 その、私服のセンスを含めても、黙っていれば、それなりの女には見えるだろう。

 この暴力さえ無ければ。

 この狂暴さ、間違いない。

 こいつは・・・・


「夏川・・・・」

「やっぱ憶えてんじゃんっ!偉いぞ、四条っ!」


 ガキの頃と全く同じ距離感で、夏川は俺の頭をワシャワシャと撫でまわす。


「おまっ、なにすんっ・・・・」

「楽しい高校生活になりそうだねー、ヨロシクね、四条」

「離せっ、おいっ!」


 高校入学の初日。

 俺はせっかく朝から時間をかけてセットした髪を夏川にメチャクチャにされ、半ば引きずられるようにして腕を組みながら、校舎に足を踏み入れたのだった。


 ・・・・夏川とクラスが違っていたことだけが、せめてもの救いだったが。

 入学以来、俺はすっかり周りから『夏川の彼氏』認定されてしまったらしく、


 懐かしい町で、新たな出会いをして、可愛い彼女を作るべしっ!!


 という俺の野望は、早くも打ち砕かれてしまったのだった。


 嘘だろ・・・・俺の高校生活、いったいどうなっちまうんだよ・・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ