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第1章

友人との勝負をする為にこの小説をかきました。

縄と手錠どちらがより魅力的かで勝負しています。

縄が勝つためにも呼んでください!!

 俺は君が好きだ。


 君の名前は伊藤 優(いとう ゆう)。何度も指でなぞった名前。

 幼なじみの親友。

 俺よりも背の低く猫背気味の人。

 黒く少しながい前髪の隙間から覗く瞳は深海にいるように輝き俺を映していた。

 息が止まるようなほんの一瞬。その一瞬に俺は君にまた、心を奪われた。





 今まで人を好きだとあまり感じた事のない俺は誰もいない早朝の教室の中、親友である優の机に手紙を入れた。恥ずかしいほどにベタに、そして素直に放課後の教室へと君を呼んだ。


 まだ、優が来ていない教室。不安の募る中、時計の針が進むのをひたすらに待った。下校時刻を表すチャイムがなり少し経つともう学校は静寂に包まれた。

 早足の足音が近づいてきた。恐らく優のものだ。

 いつも通りの優しい表情に焦りを混ぜた顔を髪に隠して君は俺しかいない教室の扉を開けた。


 目が合い笑顔になる君を見て胸が熱くなった。


 深呼吸をし、頭の中で何度もシュミレーションした言葉をなぞるようにして蝉の声が響く教室に声を投げた。

「俺は君が好きだ。」

 下を向き半ば叫ぶような状態になった。


 何分とも感じる程、重たい沈黙を断つように続けて言う。

「ごめんな、やっぱ忘れてくれ。男にこんな事……言われ、ても。困るよな。」

 詰まった声が掠れている 思わず言葉を引っ込めようと手のひらで口を塞ぐ。


 優が下を見ていて良かった。こんな惨めな気持ちになるくらいなら最初から告白なんてしなければ良かった。

 頭の中で感情が爆発したみたいだ。

 緊張、安堵、後悔と恐怖で嗚咽を覚えた。


 居てもたってもいられなくなり来てくれてありがとう。とだけ優に告げて教室を後にしようとした。

 腕を掴まれた。両手で制服の裾を弱い力をしっかりと込めて掴まれた。


「え……?」

 俺の声は零れていた。


 優は手を裾から離して少し俯いて手の甲で口元を隠して目を逸らした。

 こんな時でも可愛いなんて卑怯だよ。


 縋るような表情の俺を君は見上げては満ちた様な笑顔を創った。


「気持ち悪くなんかないよ。」


 うるさい蝉の声を無視して君は続けた。


(とおる)くん、僕もさ君が好きだよ。」


 その言葉を聞いた瞬間に床にへたりこんでしまった。嬉しさと緊張から解き放たれたため、足の力が抜けた。

 正直、嬉しい。

 信じられないほどに嬉しかった。


「ほら、一緒に帰ろ。」


 優は真夏の太陽の様な笑顔で俺を引っ張った。

 少し悪戯な笑みを浮かべた優はまだ明るい空とよく似合っていた。

 優の髪がなびき瞳が見える。

 華奢な君の手をとり大切に握ってみせた。

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