そんな彼女は
【月曜日】
彼女にとってあなたは誰でもない人
彼女は泣いたり笑ったりすることはない
いつも花を1つ飾るだけ
そんな彼女は葬儀屋の娘
【火曜日】
今日は雨が降る日
私にとっての日常がまた今日もやってきた。
花が舞うこの場所で
彼に会うのは何回目だろう。
「お悔やみを申し上げます。」
「またいなくなってしまいました」
「悲しむだけで泣くのは辛いです。きっとあの方もあなたに感謝してると思います。」
「はい。」
彼は私の言葉を聞いているようで
きっと聞いていない。
彼の隣には
また1つ水たまりが溜まる
それは
何度も見てきた風景
私には埋めることはできないもの
けれど
飛び越えることは、できるくらいのもの。
そんなものです。
きっとまた
いつも通りの日常に。
【水曜日】
休みの話。私にとっては普通の日。
私は散歩をするのが好きなんです。
いつもと違う道を通って、
違う景色を見て、 違う私を感じる。
あのなんとも言えない瞬間。
この世界には、一年に一回しか出会えないものが色々あって
それを見つけたり、見つけたものに会いにいくのはとても大切なこと。
ーーーーふと思う。
あと50回もないこの人生
短くはないけど長くもないこの時間の中で
私は、あと何回この時間を過ごせるのかな
私は、あと何回この景色を見れるのかな
考えてもしょうがないけど
考えてしまうからしょうがない
そして今日もまた
私は違う世界へと探検に出かけます。
もう通ることはないと思っていたあの道
もう見ることはないと思っていたあの景色
この瞬間 今。
私はまた飛び越え歩き出している。
「すみません。お待たせしました。」
「いえ、僕も今きたところです。」
【木曜日】
大事な日に限って雨
私:「それじゃあ 行くね〜」
それとも大事な日だから雨なのか
父:「おい 雨なんだから 気をつけろよ」
母:「大丈夫ですよ、お父さん。」
私:「そうよ!もう大丈夫だから、安心して。
それじゃ、行ってきまーす!」
私たちの会話や今この時の足音
今まで普通に聞いていたもの
雨は割り込んで邪魔をしてくる。
それでも 私は----雨が好き。
雨の日は憂鬱になる、
嫌いっていう人もいるけど
私には特別な日。いつもそう思うの。
だって、
雨はいつだって
私に違う世界を見せてくれるから
雨の後の桜の絨毯
雨の湿りと銀杏の匂い
水たまりが作る天然アスレチック
七色パステルの橋
他にもいっぱい
全てあなたが作ってくれる景色だよ?
ありがとう。
【金曜日】
空に雪が降ってる日。
凍っていくものと一緒に
私はそんな日を思い出していた。
私はあの時あなたに喋りかけていた。
あなたはいい人生を送ったんだね。
あなた以外は今、
あなたが生まれてきた時のように泣いていて
あなたは今、
あの時の私達のように笑ってる
そんな人生を送れたらどんなにいいか
でも、、
あの時、生まれた時、
あなたは嬉しくて泣いてたんでしょ?
だから、
そんなのずるいよね?
決してこれは嬉しいものじゃないけど、
悲しいだけで泣くのはやめます。
せめて私だけでも、
あなたとの時間を 楽しい空間を
思い出して泣きます。
あの時から全てが凍ってしまったと思った。
それでも
あなたとの思い出が全てを溶かす。
【土曜日】
私ね、
花は人間の一生に似てる気がするの
種の時があって 愛情を注がれて 成長して
1番輝く時があって
その輝きを失うと共に
枯れてしまう
人間の一生を
花は私達に簡単に教えてくれる。
だから私は綺麗な花を飾るの
私達は似てるけど、似てないとこがあって
花と違う部分が人にはあって
私はあなたに最後まで輝いて欲しくって。
最後は花と一緒じゃ駄目なんだよ
【日曜日】
桜の雨が降る日
あの時と同じ季節に
また同じ場所にいる
そんな僕の目の前にいるあなたは
僕にとって知ってる人で知らない人
彼女は今、花をあなたに向けて飾っている。
彼女は隣で最後まで泣き続けていた。
それでも彼女は、
「私は悲しいだけで泣いてるんじゃないだ…
半分は思い出して笑い泣きよ」って
強がってるのか、それとも本気なのか
わからないような声で僕に言って
手を強く握った。
あの時から世界平和なんて信じなくなって
望まなくなった僕も
そんな彼女の手を握っている。
今隣にいる彼女は
僕の大好きな人で大切な人。
僕も彼女も今は一人じゃない。
一緒に飛ぶことができる。
大丈夫、ありがとう、ばいばい。
詩の短編を描きました。
感想をいただけると嬉しいです。
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