第1章 02 『シエル』
「んで、何を目的にわざわざ俺を召喚したんだ?」
「さっきボク言ったんだけどなぁ〜」
「そんなこと言われたって、いきなり召喚されて話聞けるほどの状況判断力もってねえよ!」
「それもそうだね」
そう言うとシエルと名乗った小さなうさぎは俺を召喚した目的を話し始めた。
「君を召喚した目的は...まだ君には理解できないから……、簡潔にいうとね、君には魔法学園に入学して、立派な魔法使いになってもらいます」
「ええっとー、つまり俺が魔法学園で1番の魔法使いになって世界を救えって話か、おっし! 任せろ!」
「そこまで大きなことは言ってないよ!?」
「そうなのか? まぁいいや。ていうか普通召喚したからにはヒロインになる超絶美少女がオレをまってるんじゃないか? そろそろでてきてもいいんだぜ!」
「残念ながら召喚したのはボクだけだから期待してる子はでてこないよ。」
なんでぇ?普通は召喚ときたら美少女じゃないんですか??
しかも、よりにもよって俺の召喚者がこのうさぎかよ!
「まぁ君はかなりついてるね。だって君はこのボク、妖精王シエル様が召喚したのだから....ってなんでそんな嫌そうな顔してるのかな??」
「お前自分で王とか言ってて寂しくないわけ? さすがの俺でも嘘ってわかるよそれ。」
「嘘じゃないし! 本当に妖精王です!」
「まぁいいや、で、なんだっけ? 俺は魔法学園に入学すればいいのか?」
「話が早くて助かるよ。そうなんだけど、実は1つ入学には条件があるんだよ。」
条件?もしかして入学試験とかかな。まぁ俺はこう見えて、山形ではそこそこ偏差値の高い高校だったから余裕かな。ドヤッ!
「どうせ魔法のテストだろ? 魔法なんて心のゲートから出てくるイメージすればOKってかんじっしょ。俺イメージは得意だよ。」
「いや、魔法は唱えるだけでいいんだよ。そんなことよりー」
「意外と簡単!? って、そんなことより?」
「実は君に入学してもらうマーリ学園はちょっと珍しい試験でね...。剣術の試験があるんだ。」
「剣術? それなら任せてくれ! 俺の飛天御剣流を見せる時がいよいよやってきたようだな。」
「その変な名前の剣技はほんとに使えるの?使えないなら今のうち言うこと。そうじゃないと君、試験で手足ちょんぎられちゃうよ〜。」
「使えません。調子に乗ってすいませんでしたぁぁ!!」
そもそもあんな剣技が使えたら中学の時に陸上から剣道に転部してるよ!でも、昇竜拳くらいなら使えそう。ん? これ剣いらなくね?
「うん。よろしい。では、これから1週間ボクが君に剣を教えます。ボクのことはシエル先生とお呼び!」
「はぁ? そんなことよりも必要なことがあるだろ。魔法を教えてくれよ! 魔法をさ!」
「この世界は魔法使いより魔法剣士、つまり剣を使える人のほうが女の子にモテるんだよ」
「シエル先生よろしくお願い致します!!」
「君ってやつは」
シエルが俺のことを呆れた目でみていますね。
関係ない!! 俺はこの世界で絶対に彼女をつくってみせる!!
そんな呑気なことを俺は意気込でいた。
これからの1週間が地獄の日々になることなど知る由もなく。