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魔法使いは突然に!?  作者: ダイヤモンド・アズキ
魔法の章
3/3

公園まで

俺は目の前に立っている黒スーツのスパイラルパーマの黒髪、黒い瞳、まだ買って間もなそうな青いネクタイをつけいた。

この黒スーツの男とはアスカは分からないが俺は面識がなかった。


黒スーツの男は意識を失っているアスカの前に来ると倒れているアスカの胸に手を当てた。

俺は心臓マッサージでもするのかと思ったらそれは違った。

黒スーツの男がアスカの胸に触ると「うっっげ…………っごぽ…………」と変な咳をして意識を取り戻した。

心臓マッサージは簡単にいえば両手で心臓の部分を押し意識を取り戻させる方法だ。

だが、黒スーツの男は左手でただアスカの胸に触れただけだ。それだけなら普通は意識を取り戻すことはまずない。

というか胸を触りたいだけなのでは……っと思ってしまった。


意識を取り戻したアスカは黒スーツの男を見ると「えっ?」という顔で驚いていた。

なぜ驚いているのか分からなかった。

驚いているアスカは瞳を大きくして黒スーツの男にいった。


「振子先生が何でいるんですか?」


フリコセンセイ???

どちらさんですか。

そんな俺なんてほっといてアスカは黒スーツの男に話を続けた。


「もしかして、マントの仲間ですか?」


これは意地悪な質問だと思った。

フリコとか言う男はトルガーを殴り俺達を助けてくれた。それがトルガーの仲間とは考えにくい。

それなのにアスカはフリコとか言う男になぜそんな事を言ったのか、分からない。

フリコとか言う男はやっと口を開いた。


「やぁ、アスカさん……と湾内君。今はそれよりこの結界から出て、逃げて」


「でも、この結界からは出れないんですよ」


「大丈夫、この結界から二人を出れるようにしたから」


「どうして、先生がそんな事をできるんですか?」


「ごめん、今は時間がないんだ。これが終わったら全て言うから今は逃げてくれ」


なぜ、俺の事を知っているかは今は後回しにするとして聞きたいことが出来た。

フリコとか言う男に初めて話しかけた。


「一体どこに逃げればいいんだ?」


「とにかくこの結界から出ればいいよ。でも、出来れば校内から出たほうがいいかも」


曖昧だ。

俺はもうこの状況についていけない。

分からないことを上げればきりがない。


魔法。

トルガー。

結界。

逃げる。

今日は色々なことが起きすぎている。

分からない。

そんな時にアスカに話しかけられた。


「ハヤテ」


「うん?」


「逃げよう、私達がここにいても意味ないよ」


アスカに言われて、今、自分がすべき事を改めて考えることが出来た。

今することは、『逃げる』ことだ。俺に出来るのは、この結界からアスカと二人で逃げることだ。


トルガーは言った。


「私が逃がすと思っているのかな、君達はここで私が殺すんだよ」


「そんな事はさせない。トルガー俺がお前を倒す」


「ただの教師がこの私を殺せるとおもっているのかな?」


「殺すなんて一言も言ってない。俺は倒すって言ったんだよ」


「屁理屈を……私達の中では倒すということは殺すと言うことだよ!」


言葉を言い終わると振子とトルガーの戦いが始まった。

トルガーは雷を球体にしてそれを振子に投げた、振子は拳で雷の球体を止め空中に殴り飛ばした。

すると、トルガーに殴りかかると俺達に向かって言ってきた。


「二人とも今のうちにここから出ていって」


※※※※※


アスカに手を握られて屋上から出た。

あれ、初めて女子と手を繋いだんですけど、しかも可愛いいし……って今はそんな事を思ってる場合じゃない。


しっかり屋上から出ることが出来てそのまま昇降口まで走っていった。

手を繋いだまま。

走りながら俺はアスカに聞いた。


「なぁ、アスカ……フリコって誰だ?」


それを聞いたときアスカはなに言ってんの?というような顔でアスカは俺を見ていた。


「振子 新 現文の教師じゃない。去年から教わっているでしょ?」


『教師じゃない』って言われましても本当に記憶にないんですよ。

とにかく振子は俺達の学校の教師というのは分かった。

なぜ、教師がこの状況にかかわっているんだろうと疑問に思うが、昇降口まで来る靴を履き替えているうちに忘れてしまった。


校庭まで来ると不自然なことに気がつく。

校庭まで来ると屋上が見えるはずなのだが白い煙に覆われて中を確認することが出来ない。


校庭に来たはいいがどこに逃げれば良いか分からなかった。

すると、アスカが提案してきた


「ねぇ、河川公園に行かない?あそこなら、広いし隠れる所も意外とあるよ」


河川公園とは、約600haある大きな公園だ。

俺も行ったことはないが名前は知っている。

友達いないから行ったことないなんて絶対言えないな……うん。


「じゃあ、行くか。で、走って何分ぐらいで着く?」


「そうだな、20分位じゃない」


走って20分とかダルいとしか言いようがない。

まぁ、そんな事を言っていてもしかたないから俺達は黙って公園まで走り出した。


校門を出るといつもと全く一緒の光景だった。

車が普通に道路を走っていた。

そんな光景に俺は安堵した。

こんなのに安堵するなんて俺も安い男だ。

時間が止まっているのはやはり学校だけなのだと認識した。


※※※※※


約10分かけて途中の横断歩道の所まで来たのだが、まだ公園は見えなかった。

それに俺とアスカもたった10分なのだが思いきっり走ってきたから息をあげていた。


横断歩道で車が停まるのを待っているとやっと車が停まってくれた。

また走り出し、横断歩道をわたり終えた時に可笑しな出来事に気付いた。

俺達はわたり終えたはずなのに車はいつまでもたっても動き出す様子がなかった。

辺りを見渡すと空を飛んでいる鳥達も空中でまるで時が止まったように停止していた。


この状況に俺は覚えがあった。というかさっきまで出来事に似ていた。

でも、振子は今、トルガーと戦闘中なはずなのだ。


まさかとは思うがトルガーが俺達を追って来たのではないかと不安が俺を襲ってきた。

俺にはこの状況に適応する力なんて全くない。

けど、アスカは…………。


「ハヤテ、思っていることはわかるけど、それはただの憶測にしか過ぎないし考え出したらきりがないよ。今は逃げましょ!」


「そうだな」


結局逃げるんだね。

まぁ、それしかないんだけどね……うん。

また、俺達は公園まで走り出した。今はそれしか出来ない。


※※※※※


やっと公園の入口が見えてきた。

息をあげながら公園に到着するとアスカが声を大きくして言った。


「現れるならさっさと現れなさい!」


「それはどういう意味だよ?」


俺は突然アスカが声を大きくして言ったので驚きアスカに聞いてみた。

だが、その答えはアスカではなく……。


「やぁ、鬼ごっこはもう終わりなのかい?」


「へぇー、こっちの世界の遊びをしってるんだ、トルガー」


えっ?

なぜ、トルガーがここにいるのだ?

なぜアスカはトルガーが現れたのに驚いてないんだ?


「でも、トルガーが私達の前にいるなんて意外ね。私達は鬼ごっこなんてしているつもりはなかったたまけどね」


「でも、君達はもう捕まえたけどね」


「なに言っているの?まだ、私達は捕まってないけど」


「いやぁ、君達はもうこの公園から出ることは一歩たりとも出来ないよ」


「なぜ?」


「さっきと同じように公園に結界が張ってあるからね。まぁ、今回は僕が作ったんだけどね」


くそ、またこのパターンかよ。

いやぁ、それ以前に振子は何やってんだよ。

まさかやられたのか?

くそ、任せろみたいな雰囲気出してたのにこの様かよ。

正直、失望したぞ。

俺は、ごっくりと息をのみトルガーに質問した。


「おい、振子は……お前と戦っていたやつはどうなったんだよ?」


「今も僕と戦っているよ」


「なに言ってんだよ?お・ま・えは今ここで俺達の目の前にいるだろ?」


「じゃあ、教えてあげよーぅ。僕はオリジナルじゃない、分身だ。」


オリジナルじゃない分身だぁ!?

こいつは忍者みたいなことができるのかよ。

しかも、振子は今も俺達のために戦ってくれているのに俺は勝手に失望してしまった。

俺は最低だぁー。

アスカは鋭い目付きでトルガーに質問した。


「で、用件は?」


「そんなの聞くまでもないだろう!君達を殺すことだよ」


「そんなのお断りにきまっているでしょ」


そう言うとアスカは俺の手を握ると全力でトルガーから距離をとるとそのまま逃げたした。

トルガーはニヤリと笑みを浮かべると一言いい俺達をおい始めた。


「鬼ごっこ続行かな?なーんて」


※※※※※


俺達は走り続けている。なぜなら敵であるトルガーから逃げるために。


アスカはまだ俺の手を握ったまま走り続けている。

そろそろ放してくれませんか?とても恥ずかしいんですが!

それに俺の手汗も沢山出ているのに嫌な顔一つせずにひたすら走り続けているのがすごいんですが。

まぁ、そんな事を考えている余裕がないだけだよね。うん。



俺は情けないがアスカよりも先に限界が来て走ることが出来ずに立ち止まってしまった。

アスカは止まった俺を見るとガッカリしたような表情で言ってきた。


「もう、限界なの?」


俺は手を放すと地面に手をついて「ゼハァ………………ハァ……………………ハァ……ゼハァ…………」と息を上げた。

絶対にアスカに皮肉言われるよ。

地面にしゃがみこんでいる俺にアスカは手を伸ばしてきた。


「頑張ろう、私と」


「しょうがないな」


俺はそう言うとアスカの手をとった。

そして、気力を出して走り始めた。

こういうの世間では、単純って言うのだろう。だが、何気ないただの言葉で頑張ろうという気になった。


アスカと走っているのだがただひたすらに走り回っているだけに思えた。

そう直感で感じたのは当たっていた。

アスカに訪ねてみると、想像していた答えが返ってきた。


「これってただ単に走り回っているだけじゃないのか?」


「うん、そうだよ」


「そうだよじゃなくて、それじゃあいずれは捕まってしまうだろう?」


「たぶん大丈夫じゃない」


アスカは今、自信満々に「大丈夫」と言ったのだ。なぜ、そんなことが言えるのか、不思議に思えてしまった。

さっき屋上で殺されかけたのを忘れたのか。

振子がいるのならまだしも今ここに振子がいないいじょう俺達に勝ち目なんてゼロなのにアスカは自信満々だった。


「なんで大丈夫なんて言えるんだよ?」


「あの分身のトルガーは力が大分おちているからだよ。その証拠に結界で私達を閉じ込めたのがそうだよ」


「はっ?結界で閉じ込めると力がおちているってなるんだよ」


「トルガーが屋上と同じままの力なのならわざわざ結界なんて作らずに速攻で私達の元に現れて殺せばいいのに結界を作るってことは私達をすぐに殺せないから結界で閉じ込めたとしか考えられないよ」


アスカの説明を聞いた瞬間思わず納得してしまった。

いや、俺の考えが足りないだけなのかもしれない。

俺は思った分身のトルガーが、力が落ちているのなら俺達でも勝てるんじゃないかと……。


「じゃあ、分身のトルガーに俺達で倒すことができるんじゃないか?」


「その考えはだめだよ。確かに力はおちているかもしれないけど、私達を殺せるくらいの力はあると思うよ。だから、今私達を探していると思うし。それに私が今言ったのはただの仮説にすぎないよ」


「なんだよ、力がおちているとか仮説に過ぎないとかどっちなんだよ?」


「私が言いたいのは今ここで起こっていることをしっかりとした判断をし、用心をしろということだよ」


こんな状況なのにアスカは冷静な判断をしていることが俺にはとてもすごく見えた。

アスカはただ走り回っているだけ出はないように俺には思えた。


走っていると公園のちょうど真ん中である電柱くらいある大きな色が落ちて錆び付いている時計台まで来るとアスカは止まった。

俺はその間に上がっていた息を整えると、辺りを見渡して見るがトルガーはどこにも見えなかった。

少しの間は安全かと思っていたが、アスカの表情を見るとそうではないことに思えた。

俺はそんなアスカに聞いてみた。


「アスカ、どうかしたか?」


「いや、トルガーが全く追ってくる気配がないからそれが逆に不安なだけ」


俺はアスカのその不安が当たらないように今は祈ることしか出来なかった。


時計を見ると午後五時になろうとしていた。

もうこんな時間かと思っていると、足音が聞こえてきた。

この足音はたぶんトルガーだと言うことは間違いない。

どうしようかと思っているとアスカが言った。


「ハヤテ、逃げるよ」


「ああ」


走って逃げようと時計台の半径1メートルまで来ると、見えない何かにぶつかってしまい俺は後ろに転んでしまった。

それだけだったらよかったのに俺の後ろにいたアスカまで巻き込んでアスカを下敷きにしてしまった。

俺は焦ってすぐに立ち上がったのだが、アスカの怒りは頂点まで達しており、俺に向ける視線が殺気でみちあふれていることなど言うまでもない。


「こんな時になに転んでいるのよ!」


「ごめん。でも、見えない何かにぶつかったんだ」


「えっ?見えない何か?」


アスカはどうやら俺の言葉をすぐに信じてくれたようでその見えない何かを右手で触れて確かめようとした。そして、触れてみると「本当だ……」と一言言うとアスカは悔しそうな表情をした。


「どうしたんだよ、アスカ?」


「やられたのよ、トルガーに」


「どういうことなんだよ?」


「トルガーは、結界を縮小して私達をこの時計台の所に閉じこめたの」


アスカの言葉を聞くと俺は驚きではなく自分がきずくことが出来なかったのに対して苛立ちを覚えた。だが、今は切り替えて対策を考えなければならない。

逃げることのできないこの状況では何一つとして妙案が思い付かないのが現状だった。


「やっと捕まえたよ、二人とも」


そう言うとトルガーは俺達の目の前に現れた。















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