表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

それは一筋の雫と共に。

作者: ある。

赤薔薇はその自慢の棘を尖らせながら僕に言った。


「何もかもこの世はもうじき死んじまう。」


ぐるぐる、ぐるぐる。喉に息が詰まって、胸からこみ上げてくるような感覚がした。目の前が揺れる。


髭をたんまり生やした黒山羊はにこにこ笑った。薄気味悪い笑みだった。


「白線は通り越してはいけませんよ。」


どくどく、ずきずき。心臓が大きく跳ねていく。尖った棘が心臓の奥まで無数に刺さっているような痛みだ。


汚れた野良猫はにゃあと鳴いた。その琥珀色の瞳が射抜かれているように感じて、手のひらが濡れる。野良猫は嘲笑っているように言う。


「何もかも信じちまって、ホンモノは見えるのかい?」


ぐしゃぐしゃ、ぐちゃぐちゃ。すうっと息を吸って前を向く。境界線の向こう側、遠くに見えた景色。そこへと向かっているようだ。そんな浮遊感と重みを感じて。


「それは確かに愛だって言いたかったのに。」


それは一筋の雫と共に。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ