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7話-打ち解けたいならば、胃袋を掴むべし(リターンズ)-

7話-打ち解けたいならば、胃袋を掴むべし(リターンズ)-


「自己紹介がまだだったね。ラパン村の村長、ロマーノだ。先ほどは村の者たちが失礼をした。村を代表して、謝罪する。本当にすまなかった」

「レイヴンだ。一応魔法の研究者をやらせてもらってる。あれについては多少面喰ったが、過去に似たような経験がないわけじゃない。そこまで気にはしてないよ」


騒動のあった広場より二十分ほど歩き、辿り着いたリリアーナの家。

中世ヨーロッパ程度の文明レベルとか言っておきながら、無色透明の板ガラスのはめ込まれた窓に内心苦笑しつつ、通された来客用の部屋。

そこで村の長にしてリリアーナの実父――ロマーノの第一声は自分についての情報の開示、そして先ほどの一件に対する謝罪。

対する俺の返答は、ロマーノと同じく、自分についての情報の開示(まあ、嘘なんだけど)と、謝罪の受け入れ。


すんなり謝罪を受け入れたことに対して、一緒に部屋に通されたベアトリスが凄く何かを言いたそうな顔してるけど、今は無視する。

大方俺に何の落ち度もないんだからもっと強気に出てもいいんじゃないかとかそんな感じだろうけど、ああいう過去からの積もり積もった恨みや辛みといったもんは、そういったもんで割り切れるほど簡単なものじゃない。

逆にそういった環境で育ちながら警戒心なく俺を受け入れたリリアーナや、観察が十分じゃないので心の中ではどう思ってるか知らないが表面上では問題なく振る舞い、騒動についての謝罪を口に出来るロマーノが、この村の中では、異端な部類に入るんだと思う。

まあ、何があったかはこの世界に来たばかりの俺には分からんがな。確信に近い推測してるけど、あくまでも推測に過ぎないし、下手に探りを入れて、心証を悪くすることは避けたい。


ちなみに、そんな村でも異端なリリアーナはと言うと。


「でねでね、レイヴンさん、見たこともない武器と魔法で、ドラゴンを簡単に退治したのよ。ほんと凄かったんだから!」

「それは凄いな」

「そのあと、ちょっと怒られちゃったんだけど……でも疲れた私達を気遣って、用意してくれた焼き芋が、すっっっっっっごく美味しくてね」

「焼き芋? そんなありきたりなモノが美味しかったのかい?」

「うん。甘くて、熱くて、ねっとりして、でもホクホクなんだー」

「芋が甘い? ねっとり? ほくほく? う、うーむ、すまない、リリアーナ。パパ、いまいち想像がつかないよ」


自分で用意した紅茶を時々口にしつつ、昨夜の話を父親に語っている。目をキラキラ輝かせて、まるでおとぎ話に出てくるかっこいい英雄様を語るように。兎の尻尾がリズミカルに振られている辺り、相当テンション高いんだろうね、これ。時々ちらちらこっち見ながら頬赤らめてるし、絶対美化されてるよなあ、これ。見た目は同じ年くらいのガキですが、中身は君の父親と同じくらいの年齢、それもその半分以上が戦場暮らしのおっさんなんだけどね、俺。

父親も父親で、話の中に出てきた自分の知らない焼き芋に興味を惹かれているのか、ウサ耳がピクピク動いてるし。


まあいいんだけどね。家族の仲がいいことは大変素晴らしいことだし、生きて帰ってこれたからこその会話だしな。思う存分させてやろう。

そんなことを考え微笑ましい気分になっていると、だ。


「ねえ、レイヴンさん」

「んあ? なんだ?」


そのリリアーナが唐突にこっちに話を振ってきた。さっきと変わらない……いや、それ以上に瞳を輝かせて。うん、このパターン。嫌な予感がするぞ。

そしてこう言う時の予感ほど当たるのだ、ほんと嫌なことに。


「パパにも焼き芋食べさせてあげたいんですが……ダメ、ですか?」


ウン、可愛い女の子って……ズルイヨネ、ホント。どうしたら男が言うこと聞くか本能的に理解してんだもん。遠慮がちな上目遣いでのおねだり。普通の可愛い子でもパンツァーファウストもかくやと言わんばかりの破壊力なのに、それを愛らしい容姿を持つウサ耳の獣人が行う。

うん、そんなもんね。


「オーケー、ちょっと準備してくる。庭借りるけどいいか?」

「はい、もちろん!」


断れるわけないじゃん? 

命くれとか全財産よこせとかならまだしも、要求は焼き芋ですよ、焼き芋。しかも自分のためじゃなく、父親のために。断れるヤツいるなら、それ人間じゃないから。サイボーグだから、それ。

というわけで、俺は焼き芋を用意するために、リリアーナの案内の下、村長宅の庭で焚き火の準備に取り掛かるのであった。

ちなみに部屋を出て行く際に、何故か物凄い苛立った様子のベアトリスより――


「……スケベ」


などという心外な言葉を頂いたが、まあ気にしないでおこう。うん、そうしよう。

ちなみに、それより一時間半程経過して、出来上がった焼き芋を食べたの村長の感想はと言うと。


「な、なんだ、これは!? 何もかけていないのに、まるで蜜の如き甘味……これが、これがあの腹は膨れるが、おかずか調味料がないと味気ないあの芋だというのか!?」

「『アンノウイモ』っていうらしいよ、パパ」

「アンノウイモ……聞いたことのない名だ。しかし、しかし――これは美味すぎる!」


そんな感じでめっちゃ気に入ったみたい。

そのあと、なんか目を血走らせながら、どうやってこんな芋を手に入れたのか、作り方を教えてくれって詰め寄られたし、あまりにしつこいもんだから、ついつい何個か種イモ創って、栽培方法も込みで渡しちゃったし。渡したらまるで神の遣いのように崇められたし。


……もしかして、これ、完全にやらかしましたかね、俺?



………

……

閲覧ありがとうございます。

今日も暑いですね。皆さんどうお過ごしでしょうか?


今回の話は、まあゆるい感じにしようかなということでこのような形に。

まあ、このあとがきまで読んでくださっている方はお気づきでしょうが、作者である私は焼き芋が好きです。もちろん安納芋のね。冬に食うのが一番ですが、今食っても美味しくいただけますね、汗びっしょり掻きながら(笑)


まあ焼き芋だけでなく、美味しいものを食べることが好きなんですがね。それのためなら作る手間も楽しめるくらいに。

ということで今後不定期に飯テロしていくかもしれませんので、お楽しみに。

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