四姉妹の力
「ねえ、姉さま」
「どうしたの?」
家の中で、姉妹がお話をしている。
そのふくよかな胸は、動くたびにたゆんたゆんと揺れる。
「わたくし、考えたのです」
「学校、ですか」
静かに今まで本を読んでいた長女が、パタンと本を閉じる。
きりのいいところまで読んだようで、しおりをはさむことはしなかった。
「ええ、そうです。学校へ行きたいのです」
「そうねぇ。学校へ行くこと自体は反対しないわ。お父様も、お母様も、当然私たちもね」
なら、といった末の妹を遮り、次女が語る。
「でも、私たちの力、これを外で出さないという自信はある?」
「自信は……」
妹は口ごもって答えれない。
「ね。それができない限りは、通信教育で我慢しなさい」
この4姉妹、何やら力がある。
それは、男女問わずに虜にしてしまうと言う力だ。
サキュバスの一族である彼女らは、その頂点にいる家系である。
本来であるならば手野大学や附属学校へ入学することになるのだが、それすら認めれないという状況なのだ。
「あーあ。ちょっと出かけてくるー」
妹はとぼとぼと元気なく歩いて行った。
ハタンと扉が閉まると、残された3姉妹は話しだす。
「あの子、大学に入る歳だったかしらね」
「そう。本来なら、ね」
三女の言葉に長女が答える。
ふう、と3人一斉にため息をし、それから妹の行く末を願った。