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詩集

作者: 久灘圭

時々

どう処理していいかわからない感情に襲われることがある

とてつもなく大きな不安に襲われることがある

そんな時は

静かな夜の路を風と一緒に歩いてみる


しばらく歩くと交差点にさしかかった

直進・右折・左折

どの路も灯りがないため

進んだ先に何があるかわからない

知っているのは今歩いてきた路だけ

あなたならどの路を選ぶだろうか

迷わず直進?

右利きだから右折?

いや、ここは左折だろ

それとも、来た路を引き返す?

私は路の真ん中で立ち止まってしまった

どうすればいいのかわからない


すると、何処からか声が聞こえてきた


人間は難しく考えすぎる

もっと肩の力を抜いて

直感的に生きてみるといい


自分のとった行動や発した言葉で

相手に不快な思いをさせてないかと不安になる


自分のしたことが本当に正しかったのかと

何度も何度も答えの見えない問いを繰り返してみる


上手くいかないことに苛立ち

できない自分を嘆き

何処に向けていいのかわからない感情に苦しむ


未来を見ようとすると

いろんな感情が混ざり合い

最終的に不安だけが残る


イメージしていたもの

想像していたことと

少しでもズレが生じると

こんなはずじゃなかったと落胆してみる


たくさんの感情を巡らせ

良くも悪くもいろんなことを考え

小さな背中に荷物を背負っていく

その荷物を降ろす隙もなく

次から次へと背負わされ

やがて背負いきれなくなり

一歩も動けなくなる


君たちは考えることができる

感情を表現することができる

そんな素晴らしい能力を持っているのに

それで自分を苦しめるのは

なんだか悲しい


君が思っているほど

相手は気にしていなかったりする


何が正しいかなんて誰もわからない

決めるのはいつも自分自身だ


仮に

想像していた未来と違う未来が訪れたとしても

前に進む力をみんな持っている


その時感じたことに

思ったことに

素直に従ってごらん

大丈夫

君が思っているよりもずっと

単純で簡単だから

大抵のことはどうにでもなるよ


それでも

背負いきれないほどの荷物を持つことになったら

路を見失いそうになったら

またここに来るといい

ちゃんと迷わず来られるように

風をお供につけておくから

そして

少しの間ここで立ち止まって

その重い荷物を降ろしていくといい

また歩き出せるようになるまで

ずっと傍についていよう


君がこの場所を必要とするのなら

いつでも来られるようにしておくから

ろくなことは言えないけど

荷物を降ろす場所くらいは用意しておくよ

立ち止まって呼吸を整える場所くらいは用意しておくよ

遠慮せずにいつでもおいで


すっと肩の力が抜け

体が軽くなった

声はもう聞こえない

なんだったのだろう

辺りを見渡してみる

さっきと同じ交差点

ただ一つだけ変わったことがある

それは

さっきまで見えなかった路の先に

ぼんやりと灯りを見つけたこと


私はその灯りに向かって

ゆっくりと歩き出した


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