エメラルドグリーン
緑色の血液が散った。僕はぎょっとしてそれを振り返った。僕の右腕の先にいる少女がうずくまる。その脚から流れているのは、紛れもなく緑の血液。
エメラルドグリーンの血液が、アスファルトを染めていく様子に、僕は言葉を失った。
にんげんじゃない。
何かが崩れ落ちる音が、脳裏に響く。
守ろうと決めた『少女』が、『人間』じゃなかったから。得体も知れぬ『何か』だったから。
「ゆうと、…にげて…」
か細い少女の声が聞こえた。するり、と右腕から温もりが消える。
僕は、後方を見る。彼女を狙うそいつの姿が見えた。
気が付いたときには、再び少女と共に逃げていた。
抱き抱えた彼女からは、僕らと何一つ変わらない温もりが伝わってきていた。