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ざまぁは2分で終わったので、あとは大ざっぱに楽しみます

掲載日:2025/11/12


お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 冒険を終えた後に、いつも寄る酒場。

 いつも通り活気のある店内。

 窓際のテーブル席にいつもの5人で腰を下ろす。

 でも今日に限っては、私たちのテーブルだけはやたら暗かった。


「カレン、君にはこのパーティを抜けてもらいたいと思っている」


 カレン…………って、私ですよね?

 口に含んでいたエールを慌てて飲み込んで、なんの冗談かとリーダー格の剣士の顔を見る。それから他のメンバーの顔を順繰りに見つめてみる。全員、硬い表情を浮かべていた。

 もしかして、冗談では、ない?


「君の治癒魔法は、なんていうか、その、うーん、独特だし、後始末で魔法使いに迷惑をかけたりしているだろう?」

「それはっ」


 説明しようとして、はっと気付く。

 これは、ずっと言おうと思っていたことを言えるチャンスなのでは、と。


 得意ではない治癒魔法を使って、3年間ずっと頑張ってきたつもりです。

 それでも、うまくいかないことが多くて。

 パーティのみんなに、そしてリーダーにも、なんとなく見くびられているような気はしていていました。

 だからこそ、声を大にして伝えたかった。


 私は、攻撃魔法の方が得意なんです!


 それなのにリーダーが、半年前に魔法使いをメンバーとして加えてしまったから、気まずくて言えなかったのだ。


 息を吸い込んで、言いたい言葉を胸の中で整理する。

 初めに言いましたよね? 私、治癒魔法は得意じゃないんです。

 その代わり、攻撃魔法には自信があります。

 よし。私の本当の凄さを思い知らせてあげます!



「だから私」

「お嬢〜、今日帰り遅くない?」


 酒場に入ってきた黒髪の男が、テーブルを覗き込んできた。

 その動きにニョキっという擬音を付けたくなるのは、彼の背がとても高いからだろう。


「お嬢?」

「あ~、この人一応、男爵令嬢だからぁ」




 2分後、酒場の床に土下座したパーティメンバーがいた。


「よかったですね、お嬢。ざまぁ展開ってやつですよ」

「絶対ちがーうっ」


 家の身分じゃなくて、私の実力で認めてほしかったのに。

 そんなことを言っても、意味のないことはわかっている。

 この国は身分制が厳しいので、たとえ貴族の下っぱの男爵令嬢でも、平民からしたら恐ろしい存在になるのでしょう。

 でも、そこで土下座されるとお店も私も困りますと、何とか説得して椅子に座ってもらうことに成功した。


 ふう。これでやっとご飯が食べられますね!

 通りがかった店員に、サラダとキッシュ、巨大鳥の丸焼きをとりあえず注文する。

 パーティメンバーと従者のシノは、ぎょっとした顔でこちらを見たけれど

(もしかして、今日はお魚の気分なのかしら)

 と、割り切ることにした。


 シノとメンバーが自己紹介をしている間に、サラダとキッシュが運ばれてきた。


「説明してもらって、いや、説明させてもらってもいいですか」

「うん、いいよ~」


 なんでシノが答えているんですか。

 そう言おうとして口を開く。

 

「はいどーぞ」


 シノの手によって小さく切られたキッシュが口に放り込まれた。

 なんで?

 そう思わなくもなかったけれど、まあいいでしょうと口を閉じて咀嚼を続けた。

 このキッシュおいしいですね、ちょっと熱いですけど。

 ベーコンが程よく塩辛い。


「俺、あ、私は、この冒険者パーティのリーダーでケヴィンと言います」

「その辺のことは知ってるから大丈夫~、お嬢と3年前からパーティを組んでるんでしょ? お嬢から聞いてる。それから魔法使いのお姉様と、タンクのおっちゃん、シーフの少年と、バランスのいいパーティだよねぇ」


 シノに視線を向けられたメンバーが、それぞれうなずく。

 私はとくに必要ではなさそうだったので、もう一切れキッシュを食べることにする。

 細かく切るのが面倒だったので、半分に分けてから口に運ぶ。

 う、ちょっと大きかったでしょうか。

 しかも熱い! チーズが、チーズが熱いです。


「はい、それで」

「うん、ちょっとストップ、お嬢、口の中やけどしてない? ちょっ、ほら、やけどしてるじゃん、何で食べるの? 一回口から出して」

「はっひらいりょうぶらっららら」

「さっきだいじょうぶだったから、って、二回続けて食べたらダメになるときだってあるでしょ。

 ああもう、口から出したくないなら水飲んで! 

 どうして、はじめに少しだけ食べてみるとかしないんですか。

 無駄に勢いが良いと言うか、大ざっぱなんだからぁ」


「そう、それ、それなんです!」


 バンっと机に手をついて、リーダーが立ち上がった。その横で、他のメンバーも力強く首を縦に振っていた。


「彼女のそういうところに困っているんです」

「そうなんです。そのカレン、様が、決して悪いかたではないと、わかってはいるんですが」

「どうも、その、見た目と違って繊細さがないというか……。夜空みたいな紺色のロングヘアに、湖のような瞳、白い肌と、見た目は儚い美少女なんじゃが」

「ちょっと爺さん。それセクハラ。

 まぁ簡単に言うと、あんまり意思の疎通が取れないんだよね。こんなときに、普通に食事を頼むのもどうかと思うしさ」


 なんだか私が悪いような、そんなことを言われている気がする。

 火傷した舌をエールに入っていた氷で冷やしているところなので、反論できないのが残念なところです。


 リーダーを座らせたシノがくるぅりとこちらに向き直って、言った。


「お嬢、この人たちに何をしたのか、よーく説明してもらってもいいですか。氷が溶けてからでいいですから」


 うなずいてから氷を飲み込む。

 飲み込むには大きかったけれど、飲み込めたのでよしとします。


「はい、いいですよ。そうですね。一週間前はリーダーの切れた手をくっつけてあげました。あれ?生やしてあげたんでしたっけ?」

「そう。その通りです。確かに手を生やしてもらった。左腕に右手をな」

「うふふ、凄いでしょう?」


 リーダーに喜んでもらいたくて頑張ったのに、すごく怒られてびっくりしました。

 リーダーは右利きだから、右手が二本あったほうが便利ですよね?


「わしが毒にやられた時も、治癒魔法を使ってもらったのぉ」

「そうでした。心配だったので、最大級の魔法を使ってあげたんですよ」


 胸を張って説明すると、シーフの少年がにやりと笑った。


「毒を消せば良いだけなのにね。その結果、じいさんの肌は亀の甲羅みたいに固くなって、じいさんの背丈は2メートルになってたよな」

「解除薬を作るのはとても大変でした」


 そうそう、なぜか魔法使いが、せっかくの効果を消す薬を作ってしまったんですよね。なぜなんでしょう? 強いほうがいいに決まっているのに。

 灰色の肌のおじい様、かっこよかったのに。


「そういう坊主は、服を作ってもらってたのぉ」

「嫌な記憶を思い出させないでよ」

「あっ、そんなこともありましたね。戦いの途中で、シーフの服が破れてしまったので、私が魔法で直してあげたんです」


 サラマンダー戦で破れてしまった白いシャツと、茶色のチノパン。


「せっかくだから、丈夫に作り直してあげたんですよ!」

「そうね、たしかにいい生地だったわ。女物のワンピースに変わってたけど」


 茶色の襟と、茶色のレースがついた、白いワンピース。

 とても似合っていました。


「だから、なんで女物なのさ! 街に着くまで本当に恥ずかしかったんだからね!!」


 思わずため息がこぼれてしまう。

 男物の洋服の作りなんて知らなかったのだから、仕方ないと思うのですが。


「細かいですねぇ。思春期ですか?」

「そういう問題じゃないから!」


 シーフはいつも、細かいことばかり言うのですよね。

 服なんて、着られれば何でもいいと思うのです。



「なーんか、わかってきたわぁ」


 はーっ、と、シノは大げさなほど長く息を吐いて、自分の癖毛を手でかき混ぜた。


「ちなみにこういったエピソードは、これだけではない、みたいな?」

「はいもちろん」

「3年分」

「みっちり」

「ばっちり」

「しっかり了解。とりあえずお嬢、土下座しときましょうか?」

「なんで」



 とにもかくにも、パーティからは今日で抜けることになった。

 なんとなく納得できなかったけれど、まぁ仕方ない。

 みんなが嫌なら——、リーダーが私をいらないと思うなら、ここにいても仕方ないのですから。

 魔法使いと話しているリーダーをちらりと見る。

 パーティを抜ける悲しさからか、胸が小さく痛んだ。


 それにしても、シノが馴染んでいるのも納得いかないのですが。

 なぜあなたは私の飲みさしのエールを傾けて、楽しそうに会話を続けているのでしょうか。


「お嬢が普通の人たちとパーティを組んで冒険するなんて、おかしいとは思ってたんだよなぁ」

「あの、そもそもなぜカレン様は冒険者になられたのでしょうか?」


 魔法使いが身を乗り出すようにして聞いてきた。

 心なしかその瞳が輝いている。


「もしかして、禁断の恋! そして駆け落ち、とかですか?」


「いいえ、全くそういう事は無いのですが、」

「なんだ、そうなんですね」

「そりゃそうでしょう。この人の性格的に」

「見た目はお嬢様そのものなんじゃかなぁ」

「領地を叔父に奪われてしまって」

「へえ……って、ええ!? 大事(おおごと)じゃないか」


 そう、あれは4年前、14歳のときのこと。

 王都に出かけていた両親が事故で亡くなり、後見人として叔父一家が領地にやってきた。

 そして半年も経たないうちに、領地の指揮権と屋敷を乗っ取られていたのです。


「そんなことが……、それで行くところがなくて冒険者に?」

「ええ、そうなんです。これくらいしかできることがなくて」


 攻撃魔法だけは得意だったので、魔法を使って食べていこうと決めたあの日を思い出す。

 家を出るときに唯一付いてきてくれたシノだけは養わなくてはと意気込んで、冒険者ギルトに足を踏み入れたあの日を。

 入り口で立ち尽くしていた私に声をかけてくれたリーダーを。


「リーダーには本当に感謝しています」

「カレン、よかったらもう一度」


「そりゃ税金を、『うーん、大体このくらい?』って徴収したりするからですよ」


「え?」

「だから、領地から追い出されたりするんですよ。領民のみんなも、お嬢がいなくなって本当のところホッとしてたじゃないですか~」

「だって、大体あのくらいだったかと思ったんですよ。リーダー、何か言いかけませんでしたか」

「なんでもない。気にするな。絶対に気にするな」


「それは王族も領地簒奪(さんだつ)を見て見ぬふりするわな」

「シノさん、領地の名前教えてくれる? 近づかないようにするから」

「まあ、今の領主様もいい人ではないですけど、悪い人でもないですよー、お嬢の身分をはく奪せず、男爵令嬢のままでいさせてくれてるし。あの領地は今も栄えてるんじゃないのかねぇ」

「つまんなーい」



(懐かしいですね)


 こそこそ言い合っている声を聞き流しながら、初めてギルドに足を踏み入れた日のことに思いをはせる。


 扉を開けたものの、世間知らずの15歳だった自分はやっぱり怖くて、どうしたらいいかわからなくて、立ち止まってしまった。

 そんな私に「どうしたんだ? 依頼か? それとも登録か?」と聞いてくれたのが、リーダーだった。


 右も左もわからない小娘の私には、10歳くらい年上の彼はとても頼もしく見えた。

 もちろん当時はまだリーダーではなくて、ただの金髪の好青年だったけれど、今と同じく親切で人好きのする青年だった。


「ま、魔法が使えるのです。だから、その、ギルドに所属して、お金を稼ぎたいと思いまして」

「へぇ。その年で? まだ若いのに立派だな」


 彼はにかっと笑って、親指を奥のカウンターへ向けた。


「じゃあ登録だ。あのカウンターで冒険者登録ができるから、行ってきな。そうだ、あんた魔法が使えるならこの傷を治せるかい?」


 そう言って彼は、擦りむいた肘を私に見せた。

 治せますと私は意気込んで答えて、慌てて、「得意ではないですけど」と付け足して、勉強したばかりの初級治癒魔法を使った。

 杖を振ると春風のような優しい風が吹き、傷があっという間に消えていく。


「おお、すごいな」


 リーダーは嬉しそうに笑ってお礼を言ってくれた。

 そして、


「治癒魔法士は冒険者には欠かせない存在なんだ。もしよかったら、一緒に組まないか」


 そう言って、笑ったのだ。


 その笑顔がとても素敵だった。

 金色の髪と同じような、きらきらした笑顔だった。

 それを見たら、急に心の中がぽかぽかと温かくなって、不安ばかりだった心が、希望と期待に満たされたのです。


(そう、そうだったのですね)


 今になってわかった。

 私、リーダーに恋をしていました。

 あれが私の、初恋だったのですね。


 だから、苦手な治癒魔法も頑張った。

 治癒魔法士と思われているほうが、一緒に組んでくれるからいいのかしらと悩んでみたり、

 やっぱり自分のもっと凄いところを見てほしいと思ったり、

 女性魔法使いが加入したときはモヤモヤしたりした。

 思えば彼女が入ってからというもの、必要以上に力を使うことが増えていた。


 思い知らせたかったのは、こう言いたかったから。


『私、ほかの人よりも凄いのですよ。

 だから、だから私を見て。

 私のことを、もっと好きになって』



 ふと、視線に気付いて顔を上げる。

 向かいの席から、リーダーがじっとこちらを見つめていた。


「カレン、こんな時にいうべきことじゃないんだが、言っておきたいことがあるんだ」

「はい」

「来月、彼女と結婚する」


 そう言って、隣に座っていた魔法使いの肩を抱き寄せた。

 魔法使いは眉間に皺を寄せていたけれど、リーダーは幸せそうな表情だった。


(あらまあ)


 さようなら、初恋。

 認識から2分ぐらいで、ふられるとは。

 これもある意味【ざまぁ】なのかもしれません。

 リーダーばかりを見て、好き勝手に力をふるっていた私には、お似合いの結末なのでしょう。



「ちょっとケヴィン、あなたもだいぶ空気読めないわよ」

「なんでだ? 結婚の報告はしたほうがいいだろう?」

「それは、おめでとうございます」

「ああ、ありがとう」


 リーダーは昔と変わらない顔で、にかっと笑った。

 私は大ざっぱなので、気にしないです。気にしないで、笑ってみせます。

 だからシノ、心配そうにこちらを見たりしないで。


「カレンと冒険するのは、その、いろいろ難しいが、俺としては、今後も仲良くしていけたらと」

「無理です」

「無理よ」

「無理じゃな」

「無理でしょ」

「絶対ダメ」


「え?」


 全員に否定され、きょろきょろしているリーダーを尻目に、私は立ち上がった。

 ほら、ウエイターだって呆れた顔をしていますよ。


「これが最後です。最後だから、私の本当にすごいところ、あなたに見せてあげる。さあ、全員外に出て下さい」


 外に出ると、夜の空気が冷たかった。

 乾いた冬の空気が、鼻の奥につんとしみる。

 見上げれば、冬の空に星々が強く輝いていた。

 今日は新月だから、ちょうど良いことでしょう。


 魔法を使って、酒場の屋根に登る。

 すると、シノは当たり前のように後ろから付いてきた。


「お嬢、大丈夫?」

「大丈夫ですよ! あれくらいじゃ酔いません」

「少し前まで未成年だった人間のセリフじゃないんだよな〜」


 屋根の上に立ち、杖を取り出す。

 シノは隣に腰を下ろした。


「みなさーん! 驚く準備はいいですかー?」


 屋根の上から、集まっている人々を見下ろす。

 リーダーの耳をひっぱりながら、「鈍感男」と怒る魔法使い。

 耳を引っ張られているのに、うれしそうな顔をしているリーダー。

 いつも優しいおじいちゃんと、生意気なシーフ。

 なんだなんだと家から出てくる町の人たち。


 シノだけは、いつも通り隣にいる。


「さぁ、はじめますよ」

「お嬢、町は焼かないでね〜」

「まかせてください」


 杖から、しゅるるる……と音を立てて、光の玉が夜空へと向かっていく。

 夜を照らす、大輪の花火。

 暗い空を色とりどりの光で飾っていく。

 王都でも見られないような派手な花火に、見物客は一様に声を上げた。

 リーダーと、仲間たちも驚きながら、笑っている。


 その笑顔を確認してから、私はさらに杖へと魔力をこめた。

 火魔法と、光魔法と、風魔法を思い切り放出して、光のシャワーを作り上げた。

 まるで、星が夜空から降ってくるように。

 まるで、流れ星が滝のように流れてくるように。

 まるで、世界が恋人たちを祝福しているように。

 願いを込めて、光を降らした。


 地上では、リーダーの足元が燃えて、魔法使いが慌てて水魔法を使っていた。

 二人は、顔を見合わせて笑っていた。

 

 その光景を見ていると、なぜだか胸が熱いような、きしむような、泣きたいような、せつないのに嬉しいような、光が混ざりあった気持ちになった。

 ああ、願わくば。

 次こそ、空回りしない恋がしたい。

 大切な人と、一緒に笑いあえるような恋がしたいです。


 




 夜も更けて、帰り道。

 おなかもいっぱい、すっきりとした気持ちでお別れが言えてよかった。


「ふふふー」

「ちょっとお嬢、ちゃんと前見て歩いて」

「星がきれいですよ、シノ」


 冬の星って、いつ見ても本当にきれい。

 今日はシノが隣にいるので、ちょっとくらい気を抜いても平気なのです。


「あっ、治癒魔法じゃなくて、攻撃魔法が得意なんですって言い忘れました。それをいつか絶対言おうと思ってたのに」

「今更言っても仕方ないからいいんじゃないですか。それにお嬢の攻撃魔法って、アレだからなぁ」

「極大魔法さえ使えれば、充分です」


 魔力操作はどうにも苦手なんですよね。

 だからこそ、繊細さが求められる治癒魔法が一番苦手だった。


「ばーっと出して、ばーっと解決できれば、それでいいと思いませんか?」

「お嬢らしいねぇ」


 そういえば。

 ふと、気付く。

 パーティを抜けたことで、治癒魔法を使う機会が減ることはよかったですが、これからどうしようか悩むところです。

 食べていくには、冒険者以外考えられませんし。


「シノ、よかったら、これからは二人で冒険しませんか」

「いいですけど、俺、魔物とのハーフですよ。わかってますか」


 ふふ。

 シノは何回もこれを言いますね。

 はじめて領地で会った時も、従者になるようお願いした時も、領地を出て一緒に暮らし始めた時も、シノは同じように緊張した顔で聞いてきた。

 真剣なシノに悪いとは思うのですが、いつも心の中で笑ってしまう。


「初めて会った時から言っているでしょう? つまり半分人間なんですから、人間ってことでいいじゃないですか。

 それに私は、シノが魔物でも気にしませんよ。一緒にいて、私を守ってくれる、そのままのシノが好きですから」

「お嬢が、ずっとそう言ってくれるなら、一緒に冒険してもいいです」

「いいですよ?」

「ずっとですよ」



 それから私たちは、隣の国へ行ってドラゴンを倒したり(ついでに山をひとつ潰してその国にいられなくなったり)、さらに隣の国へ行って海の魔物を倒したり(ついでに潮流を変えてその国にいられなくなったり)しながら、いつまでも、いつまでも楽しく過ごしました。


最後までお読みくださり、ありがとうございました。

カレンは、大さじ1と書いてあったら、小さじ大盛1だと理解するタイプです。

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