第87話 困ったときには
さてと。
そろそろ、あの問題と向き合う時が来たようだね……!
私はテーブルの上に置かれた1枚のカードに視線を落とし、大きく息を吐いた。
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天海最中:Lv13 女 22歳
HP63
MP25
攻撃力31
防御力29
魔法攻撃力18
魔法防御力18
素早さ40
職業:魔物使い
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『きゅう?』
私の隣で、ライムスが不思議そうに目を丸くする。
私はライムスを抱きしめて、んにゅぅ~~~っ! と顔を埋めたよ。こうするとストレスが発散できて、すっごく気持ち良いんだよね~。
『ぴぃ~~!』
「ふふっ、ライムスも気持ち良さそうだね?」
『ぴきゅう~~』
それにしても、やっぱり私ってちょっと弱いよね……?
今はF難度ダンジョンやE難度ダンジョンを潜っているけれど、いずれは高難易度ダンジョンもお掃除したい。
それにレベルが上がれば、低難度ダンジョンのモンスターは脅威にならないから、それだけお掃除の効率が上がるよね。
「そろそろレベリングしたほうがいいかなあ」
目標はLv.25ってとこかな?
それくらいまでレベルを上げれば、D難度ダンジョンにも潜れるようになるからね。
とはいえ、12もレベルを上げるっていうのはなかなかに大変だよね。
前にやったゴブハナループは、私が初心者だから効果があった。けれどレベルが上がってくると得られる経験値が減るから、前ほどの効果は得られない。
「メタリッカ族が出るのはC難度以上のダンジョンだしなぁ。ま、黄金の森は例外だけどね。ねえライムス、なんかいい方法ないかな?」
『ぴきゅっ、きゅい!』
「ん? 地道に頑張るのが一番だって? それを言われると返す言葉がないよ」
でも、急がば回れって言葉もあるしね。
ライムスの言う通り、地道に頑張ろう!
そうと決まれば、さっそくスケジュールを作っていくよ!
「まず、月・水・金・日をお掃除配信にして、残りの火・木・土をレベリング配信にしよう。それでレベルが上がってきたら、週5日をお掃除配信にすればいい感じにバランスが取れそうだね」
あとは要所要所で休みの日を作れば、身体を壊すこともないよね?
とはいえいきなりこのスケジュールで活動するのも大変そうだし、とりあえず今週は配信をお休みして、無理なく活動できるかどうか調整してみよう。
もし厳しそうなら、どこかの曜日を削って休みにしちゃおう。何事も無理は禁物。体調を壊しちゃったらせっかくの計画も無意味になちゃうからね。
こうして私のレベル上げ計画が始まったのだけれど――。
#
翌週・6月15日、土曜日。
「うう、まさか一週間経ってレベルが1つも上がらないとは思わなかったよ……。ライムス、どうやら強くなるっていうのはそう簡単じゃないみたいだね」
『ぴきゅいっ!!』
ふふっ、ライムスったら相変わらず元気いっぱいだね。おかげでこっちまで元気が出てくるよ。
とはいえ、一週間で1つも上がらないってのは流石に少し落ち込んじゃうよ。
もしかして私のやり方が悪いのかもしれないね?
こういう時、須藤さんならもっと良い方法を考えるんだろうね。他でもない、須藤さんはゴブハナループを生み出した張本人なのだからね。
「……ん? ていうか、こういう時は須藤さんに聞いてみればいいんじゃ?」
『きゅいきゅい!』
「あははっ、そうだね。何も、1から10まで全部自分一人でやらなきゃいけないって決まりはないもんね」
困ったときは人を頼る。
そんな当たり前のことを忘れかけていたよ。
「よし、さっそく須藤さんに連絡してみよう!」
須藤さんなら、きっと名案を思い付いてくれるはずだよ!
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