第85話 ダンジョン飯パーティ!②
大変長らくお待たせしておりましたが、本日より毎日更新を再開します、よろしくお願いします。
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焼き網の上には、炭火でじっくり焼かれた肉や野菜が並べられていた。煙が立ち上り、香ばしい匂いがあたりに広がっているね。
「おおっ、いい感じに焼けてるじゃないか!」
「さすがギルさん。肉の焼き加減が絶妙ですね!」
「へへっ、バーベキューにはちょっとしたコツがあるんだよな。肉を置く位置を間違えると硬くなっちまうからな」
ギルさんが自慢げにトングをくるくると回しながら、焼き上がった肉を皿に乗せていく。
「それじゃ、さっそくいただきます!」
私は焼き立ての肉をパクリとかぶりついた。
「う、うんまぁ~~っ!!」
噛んだ瞬間に溢れる肉汁。
そして絶妙な塩加減。
んん~~~っ、あまりにも美味しすぎるよこれは! たまんないね!
「お、最中ちゃんも良い食べっぷりだねぇ。こっちは野菜も美味しいよ?」
「ほんと? ありがと、フーラちゃん!」
フーラちゃんが焼きたてのパプリカをくれたので、それもパクリ。甘くてジューシーで、肉の合間に食べると最高だよ。
『きゅいっ、きゅいーっ!』
ライムスも私の隣で元気に鳴きながら、お肉や野菜をもぐもぐと食べているよ。
「ふふ、ライムスってば可愛いねぇ。そんなに美味しい?」
『きゅぴぃー!』
「そっかそっか、それはよかった!」
ライムスは口のまわりをべとべとにしながら、満面の笑みでおかわりを要求していたよ。その姿を見て、みんなの笑顔が広がった。
「それにしても、リスナーの盛り上がりもかなりのものだね」
咲ちゃんが端末を覗き込みながら、コメントを読み上げていく。
『バーベキュー、めっちゃ楽しそう!』
『ライムス可愛すぎる! もぐもぐしてる姿が尊すぎる……!』
『焼き加減が絶妙だね』
「ふふっ、みんな楽しんでくれてるみたいで良かったね」
「せっかくだから、リスナーのみんなにも香ばしい匂いを届けたいよねぇ」
フーラちゃんがカメラに向かって、お肉のアップを映しながら冗談めかして言う。
直後、コメント欄の流れが一気に加速して、読み上げ機能もフリーズしてしまった。
フーラちゃんの飯テロ、すごい破壊力だね……。
お肉とお野菜、他にも魚介類まで堪能した私たちは、最後にとっておきを食べることになったよ。
なんでも、ふらんちゃんが内緒で用意したモノみたい。
「じゃじゃーん! ふらんが用意したのはマシュマロだよっ! 白くてふわふわで甘くて、ちょこっと火にかけると、ほんとのほんとにサイコーなんだよ!」
「おお、マシュマロと来たかッ!」
「マシュマロ……じゅるり、美味しそう……」
「焼きマシュかぁ。さっすがふらんちゃん、センスいいねぇ~」
「食後のデザートとして不足無しですね」
ギルさん一行に褒められて、ふらんちゃんはポワポワと喜んでいたよ。
こんなにかわいいとナデナデしてあげたくなっちゃうけれど……。
『きゅい……』
「うっ」
流石はライムス。
目をギラギラに光らせているね…………。
でも、ライムスのこういうところも可愛いんだよねぇ~~。嫉妬深いというか独占欲が強いというか?
「そんなに心配しなくても、私の一番はずーっとライムスだよ」
『きゅうっ!』
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とまぁ、こんな感じで。
とっても楽しいダンジョン飯配信は、ゆっくりと幕を降ろしていったよ。
そしてこの配信を機に、ある人物が本格的に動き出して大きな事件に発展するのだけれど……当然、この時の私たちには、知る由も無いことだった。
#
それから数日後、
私はライムスと一緒に、ダンジョンショップにやってきていたよ。
私がスライム族のコーナーで立ち止まると、ライムスはきらきらと目を輝かせて、嬉しそうにぽよぽよと飛び跳ねていたよ。
ふふっ、ライムスがこんなに喜んでくれるなんて嬉しいよ。
つれてきて良かったね!
「さあライムス。どれか一つ、好きな装備を選んでいいよ! 前に来た時よりも品が増えてるかもしれないし、後悔しないように選ぶんだよ?」
『きゅうっ、きゅーーっ!!』
前に来た時は、お金に余裕がなくて諦めるしかなかった。
けれど今は、前と比べると随分と余裕があるよ。
ここ最近はいろいろなことがあって口座を確認できてなかったけれど、レイドクエストでのお金も、ちゃんと振り込まれてたからね!
もちろん一括で買うのは少し不安だけど、ローンなら余裕が持てる。
『きゅゆう、きゅいーっ!!』
ライムスは、前と同じ装備が気に入ったみたい。
私は登頂部分に剣が付いたヘルメットを手に、レジに向かった。
「次の配信では、みんなに格好良いライムスの姿が見せられるね!」
『きゅうっ、ぴきゅーーっ!!』
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