第83話 いざ、第三層へ――!
「ぜぇ、ぜぇ……」
「はっ、はあ、はぁ……!」
第3層へと通じるホールの目の前。
お掃除バトルを終えた私たちは、休憩の傍らで、感想戦を始めたよ。
「それにしても、こんなに鋭いガラス片が多いとは思わなかったなぁ。F難度と比べるとE難度は1段階レベルが上がるから、ポーションの消費量も増えるのかもしれないね?」
これがBランクやAランクのダンジョンだったら、もっと多くのゴミが捨てられてそうだよね……。
「ふぅ…、これはなかなかの激戦だったね」
伊藤さんが汗をぬぐいながら、大きく息を吐いた。
伊藤さんの足元には、きれいにまとめられたゴミ袋が山積みになっている。
数は、全部で3袋もあるね。
「ギルさん、そっちはどうですか?」
私が尋ねると、ギルさんは腰に手を当てて満足げに頷いた。
「俺たちは5袋だ、悪くないな。金属系のゴミが多かったから、集めるのにちょっと時間がかかったが」
「ところで、ライムスくんはどれだけ食べたの?」
「んー。感覚的にはゴミ袋10袋分くらいかな?」
「えっ、そんなに!? ライムスくん、自分の体形が気にならないの?」
ミレイちゃんが苦笑いしながらライムスを突っつく。
すると、ライムスはくすぐったそうにぷるぷると震えたよ。
「ライムスのおかげで、すっごく楽になったよ。でも、まさかこんなにゴミが散らかってるなんて思わなかったなぁ」
「まったくだよ。ゴミの量もそうだけど、中身がひどかったね…」
伊藤さんが遠い目をしてため息をついた。
「空き瓶やボロ布ならまだしも、壊れた剣や盾まで転がってるとは。中には呪われたアイテムまで混じっていたよ」
「えっ、呪われたアイテム!?」
「うん。ちょっと触ったら、指先が痺れてしまったよ」
伊藤さんがそう言いながら指先を見せる。
よく見ると、ほんのり黒ずんでいたよ。
うう、なんだか痛そうだけど、大丈夫かな?
「それ、ちゃんと処理しましたよね?」
「もちろん、聖水で浄化しておいたよ」
「はぁ、危なかったですね」
掃除していただけなのに、呪われる可能性があったなんて。やっぱりダンジョン掃除は侮れないね。
「この調子で行けば、第3層もすぐに片付くんじゃないですかね?」
ケンジくんが、眼鏡のブリッジに指を当てながら言う。その足元には、6つのゴミ袋が置かれていた。
ケンジくんとユーリちゃんは、二人でこれだけのゴミを掃除してくれたみたいだね!
「私、まだまだ頑張れるよ……!」
「もちろん、僕もまだまだ余裕がありますよ」
どうやら、どのチームもやる気満々みたいだね?
「よし。それじゃあ、休憩が終わったらすぐに第3層のお掃除に取り掛かりましょう! ライムス! 私たちも、もっともっと頑張るよ!!」
『ぴきゅっ、きゅいーーっ!!』
「え? まだまだいっぱい食べられるよって? ふふっ、流石はライムス! 頼りになるね!」
よーし、この調子でもっともっとお掃除を頑張っちゃおう!
だってお掃除バトルは、まだまだ始まったばかりだからねっ!
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