第82話 ドッキリ企画(蒼神フーラ視点)
「みんな、聞こえてる~?」
「あーあー。こちら加々美咲。マイクテスト、マイクテスト」
「わーいわーい、てすとてすとぉ~~」
「あっ、コラ、ふらん! 邪魔をするんじゃないっ!」
今日、私たちは都内某所のE難度ダンジョンにやってきていた。
このダンジョンは、実は最中ちゃんがお掃除配信をしてるところなんだよね~。
私はカメラとマイク機能が正常に作動してることを確認してから、咲ちゃんとふらんちゃんをぐいっと抱き寄せて、高らかに宣言した。
「今日の企画は【第3層でダンジョン飯やりながら待ち伏せしてみたドッキリ!!】だよっ! 実はね、第3層のお掃除はスタッフさんと協力して終わらせちゃったんだ! だから、あとは最中ちゃんたちを待つだけなんだよね~」
「ふふっ。最中ちゃん、きっと驚くだろうね。まさか私たちが先回りしているだなんて、夢にも思わないだろう」
「ふらんね、早く最中ちゃんとライムスきゅんに会いたいなぁ。それに、ギルさんに伊藤さんも一緒みたいだし! すっごく楽しみっ!」
「ということで、さっそくダンジョン飯の準備に取り掛かろう!」
まずは咲ちゃんがバーベキューコンロに火を付ける。
そしてふらんちゃんには、私と一緒に、トングを使って食材を乗せていってもらうよ。
「いい? 近付きすぎたらヤケドしちゃうから、気を付けるんだよ?」
「うん、だいじょうぶ! ふらんね、ヤケドしないように上手にできるよ!」
ふらんちゃんは私の真似をして、ヒレステーキを焼き網の上に置いた。すると、ジュゥウ……と油の弾ける音と共に、食欲をそそる香りがふわりと舞った。
「わあお! ねぇねぇフーラちゃん、お肉がパチパチってなってるよ!」
「ふふっ、本当に美味しそうだね!」
お肉の次は、野菜を焼いていくよ。
「今日は、いろんな野菜を持ってきたんだ。ピーマンにパプリカ、たまねぎ、ズッキーニ、とうもろこし、ナスでしょ」
「あっ、かぼちゃもある! ふらん、かぼちゃ甘くてだーいすき!」
「もちろん、海鮮類もたくさん用意してあるぞ」
咲ちゃんがクーラーボックスを傾けて、中身を自慢するようにリスナーに見せる。すると狙い通り、コメント欄がさらに盛り上がった。
流石は咲ちゃんだね。
こういうところも抜かりないね。
「エビ、イカ、ホタテにカキ……う~ん、カキは少し独特な味がするから、ふらんには向かないかもしれないな? もしも口に合わなかったら、残りは私が食べてやるとしよう」
うん、本当に抜け目ないよね。
でもね咲ちゃん、そうはさせないよ?
「咲ちゃんってば面白いこと言うね。でも大丈夫だよ。ふらんちゃんが残した分は、代わりに私が食べてあげるからね」
ふらんちゃんとの間接キッス。
そんなの、抜け駆けさせるわけにはいかないからね!
私と咲ちゃんの間で、バチバチと火花が散る。
ふらんちゃんはそんなことはお構いなしに、上機嫌な様子で野菜を乗せていった。
うん、こういうマイペースなところがふらんちゃんの可愛いところだよね!
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