第80話 みんなで大掃除!⑤
#
――ダンジョン消滅後、ダンジョン内の人工物は全て一時的に消滅する。でも、ツケは必ず払わなきゃならないものさ。そうだねぇ、いつかは『空』からゴミが降ってくるなんてこともあるかもな。
「これは、ある科学者が遺した言葉だ。そして僕は、この言葉には一定の信ぴょう性があると考えている」
私とチームを組んだ伊藤さんは、ゴミを拾いながらも、時々はカメラ目線に神妙な面持ちを向ける。
伊藤さんはカメラを前にしても動じる様子が無くて、むしろ、私よりもよっぽど自然体。
緊張した様子が無いから、すっと言葉が入って来るよ。
この分だと思ってた以上の効果が期待できそうだね!
「なぜなら、ダンジョンが消滅してもモンスターは消滅しないからだ。正確には、モンスターはダンジョンの消滅に伴い転移するのさ」
この説は私も聞いたことがあるよ。
ある科学者が、F難度ダンジョンに出現したゴブリンにタグを付けた。
そしてダンジョンが消滅した。
すると、別のF難度ダンジョンにタグのついたゴブリンが出現した……。
なんでそうなるのかは分からない。
けれど、モンスターに限ってはそういうふうになるみたいだね。
「だが、人工物だけは消滅してしまう。はて、そんな都合のいいことがあるだろうか? ダンジョンの消滅=ダンジョン内の人工物の消滅。こんな等式が成り立ってしまっては、質量保存の法則への裏切りだ」
「つまりね、ダンジョンではなるべくゴミを捨てないで欲しいなっていう、そういう話だよ! もしも本当に『空』からゴミが降ってきたら、みんな困っちゃうもんね」
――――――――――――――――――――
No.13
<確かに、そんなことになっちゃったら大変だよね。私たちも、ダンジョンにゴミは捨てないように気を付けなきゃ!
上ちゃん
<なんか、某短編SSを思い出したよ。「でてこーい」だっけ?
tomo.77
<ゴミの問題は難しいよなぁ。でも、一人一人が気を付けるだけで全然違うかもね
村人B
<伊藤さんまで言うとなると、ちょっとおっかないですね
通りすがりのLv.99
<ダンジョンの不法投棄問題って意外と根深いんだよなぁ。中にはダンジョンをゴミ捨て場にしてる人もいるくらいだし
――――――――――――――――――――
「ダンジョンをゴミ捨て場に、か……。穏やかじゃないね」
そう呟いて、伊藤さんが足元に転がる空き缶を拾った。
伊藤さんのカリスマ性もあって、たくさんのリスナーがゴミの問題について考えてくれているね!
それに、人数が増えたおかげで思ったよりも早いペースでお掃除が進んでいるよ。
「ライムス。私たちも伊藤さんに負けないように、もっともっと頑張るよ!」
『きゅいっ、きゅぴーーっ!!』
「ふふっ。ライムスったら、まだまだ元気いっぱいだね?」
この調子でいけば難なくダンジョン飯配信もできそうだね。
頑張ろうね、ライムス!
ここまで読んで頂きありがとうございます!
面白い、続きが気になる、期待できそうと思って頂けた方には是非、ページ↓部分の☆☆☆☆☆で評価してほしいです。☆の数は1つでも嬉しいです!そしてブックマークなどもして頂けるとモチベーションの向上にも繋がりますので、なにとぞ応援よろしくお願いします!!




