第73話 お掃除布教プロジェクト!
「今日の配信は、徹底的に、完膚無きまでにお掃除をしますっ!!」
6月10日、月曜日。
私は今日、ライムスと一緒にE難度ダンジョンに来ている。
今日の私は、そしてライムスは、いつもとは一味違うよ!
まずは私のこの衣装!!
オレンジを基調としたパーカーとバンダナ、そしてブルーラインの引かれたワンピース。左手には箒を、右手にはゴミ袋を装備してきたよ。
もちろんこれらはただの衣装じゃない。
田部さんが用意してくれた特殊な効果を持つ装備品だよ。
パーカーとバンダナ、そしてワンピースだけど、これらは悪い状態異常を寄せ付けない特別な衣装なんだよ。
ダンジョンに落ちているゴミの中には、触れると毒や麻痺状態になるものも落ちているらしくて、この装備を付けていると、そういうバッドステータスが付かないから安心して配信ができるね。
そして箒にも同じ効果が付いているよ。
いつもはライムスに食べさせるだけだったけど、これなら私も安全に掃除ができるね。
それに、このダンジョンには毒のスライムや毒のゴブリンが出るっていうからね。でも、特効装備で身を固めていれば安全だよ。
ちなみにこの箒は、毒モンスターを攻撃したときに限ってはパラライズ・ソードよりも威力が高まるみたい。特効装備って凄いんだね!
ライムスには、私とお揃いのパーカーとバンダナが装備されているよ。
スライムの場合は毒とかも消化できちゃうんだけど、田部さんが見栄えを意識してお揃いのを用意してくれたんだね。
ライムスのサイズに合わせて作られたパーカーとバンダナ。お陰でただでさえキュートなライムスがもっともっと可愛くなっちゃったよ!
「今までは途中でダンジョン飯を挟んだり、モンスターとの戦闘でレベル上げをしたりで、丸一日通してのお掃除っていうのは無かったからね。でも今日は休憩も戦闘もなるべく簡潔に! 一番の目標はお掃除だよっ! ライムス、頑張ってダンジョンをピカピカにしようね!!」
『きゅゆーっ!!』
――――――――――――――――――――
ライムス推し
¥500
<モナちゃんもライムスも衣装すごく似合ってる!
最強!!!!!
No.13
<スクショした、家宝にする! 超カワイイ~~
上ちゃん
<ライムス推しさんナイスパ! しかしマジでカワイイですな、お二人とも超似合ってる
tomo.77
<俺もスクショしますた、かわええ
ジョン
<どっちも似合いすぎ
らんまる
<癒されますねぇ((´∀`*))
――――――――――――――――――――
「えへへ、みんなありがとう! そう言ってもらえて嬉しいよ。ねー、ライムス?」
『ぴきゅうっ!!』
「ん? ボクがカワイイのは当然だって? あははっ、ライムスには敵わないね! おっ、さっそくゴミ発見!」
『ぷゆゆっ、きゅいっ!』
「はいはい、焦らなくても逃げないよ。あ~ん」
『きゅ~~っ』
「ふふ、美味しく食べてくれてありがとうね。さあ、この調子でドンドン行こう!」
#
私とライムスのお掃除配信は順調に進んで、1時間も経つ頃には視聴者数は1万人を超えたよ。
こういう真面目系の配信にも人が集まってくれるのを見ると、事務所に所属して本当に良かったなって思うよ。
「はいライムス、これもあ~んしていいよ」
『きゅゆーっ!!』
うん、やっぱりライムスが喜んでくれるとこっちまで嬉しくなっちゃうね!
でも、ちょっと複雑な気持ちもあるよ。
ライムスがお腹いっぱいになるってことは、それだけ多くのゴミが捨てられてるってことだし……。
「ふう。ちょっと5分くらい休憩しよっかな。……それにしても、思ったよりもゴミが多いね。だからこそ頑張らなくちゃなんだけど。ねー、ライムス?」
『ぴゆいっ!!』
休憩中は、ライムスと一緒におにぎりを食べることにしたよ。ライムスはおにぎりの中だと鮭が好きみたいだね。
「ライムス、お腹はまだ大丈夫?」
『ぴきゅうっ!!』
「まだまだ平気? ふふっ、やっぱりライムスは凄いね!」
『きゅうっ!』
休憩の後もまだまだお掃除は続いて、どんどんとダンジョンがきれいになっていく。
けれど、ある程度お掃除を進めていったところで、私とライムスは大きなミスに気付かされた。
「あれ? これってもしかして、結構ヤバい感じかも??」
『ぴっ、ぴきゅぇぇ……っ!?』
あるエリアに踏み入った途端、一気に大量のモンスターが大木から降り注いできた。
稀にだけど、多くのモンスターが一つのエリアに集まることがあって、そういう場所を「モンスター・エリア」と呼ぶよ。
レベリングに重きを置く探索者にとっては最高のレベル上げエリアだけど、私みたいな配信者にとっては厄介だね。
『ゴブゥ!!』
『きゅいきゅいっ!!』
『ナハハッ!』
『フンッ! フンッッ!!』
『ギリリィッ!!!』
『ゴブッ、ドブブゥ!』
「うう、あっという間に囲まれちゃったね……。これは完全に私の注意不足だ。ごめんね、ライムス」
『きゅい、きゅぃいっ!!』
「そうだね。まずは何としてでもここを突破する。それが最優先だねっ!」
ざっと見た感じだと20匹はいそうな感じだね。
厳しい戦いになりそうだけど、ライムスの為にも弱音は吐いていられない。なんとしてでも切り抜けなくちゃ!
「いくよ、ライムス!」
『きゅうっ!!』
敵の数は多いけど、でも、きっと大丈夫だよ。
だって私には最高の家族のライムスがいるのだからね!
今回の趣旨からは少し外れちゃうけど、こういうピンチもチャンスに変えて、ライムスの凄いところをもっともっと配信しちゃおう!!
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