表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化決定】 ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜  作者: 藤村
第7章 最中と三竦みの策謀編①

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/126

第68話 迷路の森①

「それでは、私のほうからルールを説明させてもらおう」


 咲ちゃんが一歩前へ出て、ホバリングする5台のドローンカメラをぐるりと見回した。


 カメラは一人につき1台が追尾するよ。

 そしてもう1台が『きららアカデミー』公式のドローンだね。


 こっちのドローンは他4台のドローンから映像を受信して、映像を4分割にしたうえで配信を行う。そしてこのドローンは今回の企画の中枢を担ってもいるよ。


 というのも、このドローンは他4台との音声の送受信を可能にしているんだって。


 つまり私たちは、離れた場所に居てもドローン越しに会話ができる。せっかくのコラボ配信なのにただの競争じゃつまらないもんね。


 これが意味するところは、私たちは臨機応変にチーミングも可能ってこと。


 時には協力して、時には出し抜いて。

 そんなふうにして一番にお宝を見つけ出す。

 

 今回は、そういうドキドキな駆け引きも楽しめる配信なんだよ!


「今回の探索において、戦闘時以外のスキルの使用は禁止されている――もちろん緊急時は例外だけどね。……例えば私の場合【オート・パイロット】を発動してしまえば、1分間は最適な行動が可能になる。そうなればすぐに宝箱の在処が分かってしまい企画倒れだ。ふらんも同様。【精霊召喚術】で大量の『ミニ・シロクマちゃん』を召喚して森中に解き放てばそれで終わり、数分と掛からずに宝箱を見つけ出してしまうだろう。そしてもう一つ、今回の配信では上空からの探索も禁止されている。スキルを使用しての飛行はもちろん、ドローンに捕まっての飛行も禁止。これも理由は同じだな。そしてリスナーからのコメントだが、読み上げ機能はOFFにさせてもらう。コメントによって勝敗が分かれるのはフェアとはいえないからね」

「ちなみに今回の配信ではブラック・シーカーの方も多数いるので、緊急事態にはすぐに対応できるよ。ドローンにも緊急避難システムが搭載されてるから、リスナーのみんなは安心して配信を楽しんでねーっ!!」


#


「いよいよ始まったね! ライムス、私たちは先手必勝でいくよっ!!」

『ぴきゅーーっ!!』


 私は3人が動き出すよりも先に、ライムスを腕に抱いて全速力で森の中へと走っていった。


 戦闘能力を考えると、この中で一番強いのはフーラちゃん。次に咲ちゃんで、私とふらんちゃんは同じくらいだと思う。


 この企画、モンスターとの戦闘に時間を取られれば取られるほど不利になる。ということは、スタートダッシュは1秒でも早い方がいいよね!


「やるからには全力でいくよ。絶対に負けないんだから!」

『ぴゆうっ!!』




 森に踏み入ること数分。

 私はある違和感を抱いていた。

 ライムスも私と同じ気持ちみたいで、ちょっとだけ弾力が失われてるね。


「……う、また戻ってきちゃった?」

『くうー?』

「ねぇライムス、ここってさっきも通った道だよね?」

『きゅいっ!!」

「やっぱりそうだよね……」


 私とライムスは、さっきから同じ場所を行ったり来たりしているよ。どうやらこの森は、迷路みたいに複雑な形になってるみたいだね。


「地図を作ろうにも、紙もペンも持ってきてないしなぁ。仕方がない。これで木に傷をつけて地道に進んでいくしかないね」


 私はパラライズ・ソードで大木に×印を刻んでから再び歩き出した。


 すると突如、ドローンからジジジッ! と電子音が聞こえてきたよ。


《あ、あーあー。やほやほー、最中ちゃん、聞こえてる~?》

「わあ、ビックリしたあ! その声はフーラちゃんだね!?」

《そだヨー。いや~参った参った。もう分かってると思うけどさ、この森ったら超~~複雑な迷路になってるんだよ!》

「うん、そうみたいだね。私もさっきから同じところをぐるぐるしてるよ」

《あはは、やっぱ最中ちゃんもそうなんだ。ねぇ最中ちゃん、一つ提案があるんだけどさ。私とチーム組まない? ぐるぐるぐるぐる同じところを歩きながら無い知能振り絞って頑張って考えてみたんだけど、どーにも最中ちゃんと組むのが最適な気がするんだよね~。それに最中ちゃんにだってメリットがあるハズだし?》


 私は少し考えてから、フーラちゃんの意図を察した。つまり、こういうことだね?


「今回の企画、ルールを聞いた時から抜け道があるな~とは思ってたんだよね。フーラちゃんならそこを上手く突ける、そういうことでしょ?」

《さっすが最中ちゃん、理解が早い!》

「でも、どうして私を選んだの?」

《だってさ、私って大雑把で小難しいことは苦手だし? チームを組むにも咲ちんとの相性はかなり悪いよね~。かといって私の強み(・・)を生かそうにも、ふらんちゃんじゃ背が低すぎるでしょ? その点、最中ちゃんならピッタリなんだよ。それに最中ちゃんは細かいことにも気が向くからね》

「ふふっ、ふふふ。なるほどね。うん、分かったよ。その話ノッた!」

《にししし、そー来なくっちゃ! ところで最中ちゃん、私のスキルは知ってるよね?》

「もちろんだよ!」


 フーラちゃんのスキルは【天神憑依(アマノカミオリ)】。


 字面だけ見れば神様を憑依させるスキルに見えるけど、その実態は雷様の力を一時的に借りられるというもの。


 スキル発動の際には、フーラちゃん目掛けて青白い雷が降り注ぐ。


《モンスターを見つけたらスキルを発動して倒すから、最中ちゃんは稲光を頼りに私を探してねー。しばらく経ったら黒煙が上がるだろうし、そうしたらすぐに合流できるんじゃないかな?》

「うん、分かったよ。それじゃ合図待ってるね!」

《はーい》


 こうして私とフーラちゃんの一時的な共闘が決まったのだけれど……。


「モンスターとの戦闘に乗じて樹木を両断。開けた視界を頼りに宝箱を探しつつ、私の反応にも細心の注意を払う」


 それがフーラちゃんの作戦。

 そして宝箱を見つけたら私を拘束してしまえばいい。だって今回の企画は「戦闘時は」スキルを使えるからね。


 フーラちゃんと私との戦闘。

 そんなことになれば、私としては降伏するしかない。


 フーラちゃんからしてみれば、私と組むことにはメリットしかないってわけだね。


「でもそうはさせないよ。フーラちゃんがそのつもりなら、私にだって考えがあるんだから。ねー、ライムス?」

『ぴきゅうっ!!』


 私の意図を察して、ライムスは元気いっぱいに応じてくれた。


 ふふっ。

 ライムスもやる気満々って顔をしているね?


 うう~。なんだか燃えてきたよ!

 この勝負、絶対に絶対に負けないんだからっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです こちらも覗いていただけたら幸いです
ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ