第62話 視聴者プレゼント!
「さて。これよりドロップ品の分配を始めたいと思うわけなのだが……」
三ノ宮さんが『黄金の木』がドロップした金色に輝くロングソードを振りながら切り出した。
そんな三ノ宮さんに「論じるまでもないだろう」と山本さんが歩み寄って、金色のロングソードをひったくる。
「この『ゴールド・ソード』は天海最中のものだ。この中に異論のある者、挙手せよっ!」
しかし、誰一人として手を上げる人は出なかったよ。
それどころか――。
「ううう、最中さんが来ていただなんて感激です! それに、あの状況を打開して私たちを助けてくれた。命があっただけでも儲けものです、それ以上は望みません!」
「俺も同意だ! 今回ばかりは年貢の納め時かとも思ったが、モナちゃんのお陰で難を逃れることができた。本当にありがとう、これからも配信応援してるぜッ!!」
「僕なんて首を締めあげられて気を失ってたくらいですよ。でも、こうして助かったからには次に活かします。それに、ウマい話はないって勉強にもなりましたしね!」
「モナちゃん、それにライムスくん。本当にありがとう!」
「ありがとな!」
「ありがとうございますっ!!」
「ありがとーーっ!!」
こんなに大勢の人に「ありがとう」って言われたのは初めてで、すごく恥ずかしいというか照れるというか……。
でも、みんなが助かって良かった。
『黄金の木』を直接的に倒したワケじゃないけれど、少しでも討伐に貢献できたなら嬉しいよ。
「ライムス、みんなが「ありがとう」って言ってくれてるよ? えへへ、なんだか照れちゃうね」
『ぴ、ぴゆい……」
ふふっ、ライムスも目に見えてテレテレッって感じで可愛いね。
「というワケだ」
そう言って私の前に立つと、山本さんは青髪をたくし上げながら『ゴールド・ソード』を手渡してきたよ。
「天海最中、それは君のモノさ。君の作戦のおかげで『黄金の木』を倒すことができたのだからねッ。遠慮せずに受け取るといい!」
「そういうことなら有難く頂戴します。でも――この『ゴールド・ソード』を私が使うことはありません。そもそも金っていうのは金属の中でも柔らかいらしいしね。武器としては実用的じゃないよ。というワケで」
私は上空でホバリングするドローンに向かって、100点満点の笑顔を作りながら『ゴールド・ソード』を天高くに掲げた。
「この『ゴールド・ソード』は視聴者プレゼントにしますっ!!」
「ほうっ、視聴者プレゼントときたか。クク、報酬を受け取るや否やすぐさまエンタメに昇華してしまうとは。天海最中、お前は生粋のDtuberだな!」
「えへへ、そんな褒めたってなにも出ませんよ? ――ちなみに応募方法やその他概要はこれから決めていくので、続報を楽しみに待っててね! それじゃ今日の配信はここまでにするよ、見に来てくれたみんな、ありがとねっ!!」
こうして、私とライムスの『黄金の木』を巡る冒険は幕を降ろし。
そして6月1日。
ついに、私とライムスの『きららアカデミー』歓迎会が始まろうとしていた……!!
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