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【書籍化決定】 ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜  作者: 藤村
第6章 最中と黄金の森編

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第53話 黄金の森、第1層・賢いモンスター

 北進を続けること5分ちょっと。

 今度は銀色のゴブリンが現れたよ。


『ゴブブゥッ!!』


 銀色のゴブリンは三匹居て、一匹が剣、もう二匹が鉄のこん棒を持っていた。


「ライムス! 剣のゴブリンは私が相手するから、こん棒のほうは任せたよ!」

『ぴきゅきゅいっ!!』


 ライムスと二匹の銀色ゴブリンが交戦を始め、私は剣を持った銀色ゴブリンと対峙した。


『ゴブゥ!!』


 剣を大きく振りかぶって距離を詰めてくる銀色ゴブリン。


 私は一歩二歩と身を引いて剣を避けた。


『ゴブッ!?』

「いまだ、えいっ!」


 攻撃が空振っちゃうと隙が生じるよね。

 そこに合わせて攻撃すれば、ほら!


 ザンッ!!


『ゴブウッ、グ、ギィィイ……ッ!!』

「よし、もう一発!」


 私は隙だらけの銀色ゴブリンに追撃を仕掛ける。

 けれど銀色ゴブリンは無理やりに体勢を整えて、剣を振って反撃してきた。


 ガキィンッ!!


「わわっ、あの体勢から切り返してくるだなんて!?」


 うう、思ったよりも強い一撃だよ。

 腕がビリビリするぅ~~。


『グギギィ……』

「うっ、そんなに睨んだって怖くないもんねっ。くらえっ!」

『ゴバァッ!!』



 キィンッ!

 ガキンッ!!

 ギィィインッッ!!!


「はぁ、はぁ。このゴブリン、すごく目が良いみたいだね。こっちの攻撃にちゃんと合わせてくるよ」


 なかなかに厄介だね。

 でも、消耗してるのは向こうも同じ。


 銀色ゴブリンもハァハァと肩で息をしているよ。

 それに、私の剣には麻痺を付与する効果もあるからね。


 私のほうが断然有利!

 それなら、攻めあるのみ――!


「やぁああっ!!」

『ゴブゥ!?』


 キィィィインッ!!


「やった、剣を弾いた! これで勝ったも同然だね!」


 武器を失った銀色ゴブリンは、じりじりと後退していく。そして銀色ゴブリンが下がっていく分だけ、私は歩を進めて、追い詰めていく。


『ゴブッ!?』

「これで終わりだよ、くらえ――」


 背後には大きな木。

 銀色ゴブリンは完全に逃げ場を失って、あとは私に斬られるのを待つだけ……。


 そのはずなのに。


 その時、私は確かに見た。

 銀色ゴブリンの口角が僅かに上がったのを。


「――ッ!!!」


 気が付いたら私は回避行動を取っていたけれど、どうやら大正解だったみたい。


 だって、銀色ゴブリンの手の平から剣が飛び出してきたんだもん。


 細かいことが気になる性格で、そのせいで些細なことにも気が向いちゃう。おかげで仕事の手は遅かったけれど、こういう場面では私を助けてくれるみたいだね。


『ゴ、ゴブゥ……』

「あー、ビックリした。そっかそっか、考えてみればそうだよね。体が鉄で出来てるなら、鉄の武器だって体から出せるよね。危うく騙されるところだったよ」

『グ、グギィ!』

「ふふっ。でも、もう騙されないよ! 今の不意打ちでダメージを与えられなかったのが運の尽きだねっ!」

『ゴ、ゴブゥ~~~~~ッ!!!!!』


 私が剣を向けると、銀色ゴブリンはこちらに背を向けて逃げ出してしまったよ。


「逃げ足はやいなぁ。とても追いつけそうにないね」


 それじゃライムスのほうに加勢しようか。


 そう思ったけれど、ライムスが戦っていた銀色ゴブリンも既に逃げ出しているみたい。


 あの剣を持った銀色ゴブリンがリーダーだったのかな?


「あ、アイテムがドロップしてるよ!」


 モンスターは逃げ出したときもアイテムを落とすことがあるよ。


 今回落としていったのは銀の首輪だね。

 

「それにしても本当に凄いねこのダンジョン。こんな簡単に高級アイテムがドロップしちゃうなんて。ちょっと出来すぎなくらいだよね」

『ぴゆー?』

「ん、調子が良いのはいいことだって? ふふっ、そうだね。よぉし、この調子でドンドンと進んでいこう!」


 とは言ったものの、な~んか変な気がするんだよねぇ。


 なんていうか、やっぱり出来すぎな気がするんだよ。

 

 綺麗な薔薇には棘があるっていうし……。

 それにさっきの銀色ゴブリン、私のことを騙し討ちしてきたよね?


 つまりこのダンジョンにいるモンスターは、そこまで強くはないけれど、そこそこの知能はある……。


「ライムス、ここからは今まで以上に気を引き締めていこう。気のせいだったらそれでいいんだけどね。でも、なんだか嫌な予感がするんだよ」

『ぴゆっ!』


 それからも私とライムスは北上を続けたよ。


 そして森の深いところまでやって来ると、今度は金色の宝箱が!


「わあ、今度は金の宝箱だよっ。ふふ、この中には何が入ってるのかなぁ。ライムス、さっそく開けてみよっか!」

『ぴきゅーーっ!!』


 私は逸る気持ちを抑えながら金色の宝箱を開けた。


 すると中には、金色の短剣が入っていた!


「うはぁ~、ねぇねぇ見てよみんな。この剣きれい~~」


 私はカメラのすぐ目の前にピカピカの短剣を差し出して、視聴者のみんなに見え易くしてあげた。


 短剣を見てコメント欄は大盛り上がり。


 やっぱり黄金っていうのは映えるよね。

 配信との相性バッチリだよ!


 そんなふうに短剣に見惚れていると――。


 ガサガサ……ガサガサガサ…………ッ。


「はっ!?」


 振り返ると、そこには十匹近くの黄金モンスターが群れになっていた。


「まさか、この宝箱は囮!?」


 もしそうだとしたら……。


 やっぱりこのダンジョンのモンスターは、普通のモンスターよりも知性があるってことになる。


「ライムス、ここは連携で切り抜けよう! 私たちのコンビネーションで、アイツらを全部やっつけちゃうよっ!!」

『きゅぴぃーーっ!!』

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お読みいただき有難うございます!
ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです こちらも覗いていただけたら幸いです
ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 普通ゴブには出来ない銀ゴブの不意討ち攻撃に、分かり易い宝箱を囮にした不意討ちトラップ……そろそろこのダンジョンの本性(?)がチラチラ顔を見せ始めた感じですかね? それでは今日は…
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