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【書籍化決定】 ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜  作者: 藤村
第10章 最中と紺青の激闘編

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閑話⑧ ライムスと不思議な猫ちゃん④(ライムス視点)

 ノアールちゃんについていくと、ゴミを漁っていた猫ちゃんや烏ちゃんがピタリと動きを止めたよ。


『安心してくれ、この小僧は新入り……というか、個人的な友人でしかない。それにこの小僧が食べるのはゴミばかりでね。君たちが食べられるものはちゃんと残すさ」


 すると一匹の大柄な烏ちゃんがやってきて、僕に向かってカァー! と大きく鳴いたよ。


『わっ、ビックリしたぁ。ねぇノアールちゃん、もしかしてぼく、威嚇されてる?』

『ちょっと待て」


 そう言ってノアールちゃんが瞑想する。

 すると周囲一帯を青白い光が包み込んだ。

 直後、烏ちゃんがもう一度口を開く。


[ノアールさん、いくらアナタのご友人と言えども困りますよ。我々は長い時間あちこちを探し回って、ようやくこの場所を見つけたのですよ? なのに、なんの苦労もなくやってきた小僧に分け前を与えろと? まぁ、私は心が広いですから構いませんが、他の奴らがどう思うかは、ねぇ……?]


 わあ、烏ちゃんの言葉が分かるようになったよ! これもノアールちゃんのおかげだね?


『ふむ、それは承知している。しかしどうだ。ここは一つ、私の顔を立ててはくれないだろうか?」

[ですから、それを決めるのは私じゃなくてですね。――オイお前ら、どう思う]


 烏ちゃんが問い掛けると、他の烏ちゃんと猫ちゃんが一斉に口を開いたよ。


[俺は気に入らねえ! コネで飯にありつけるなんてズルだろ!]

[全く同意だな。せめて何かしらの対価があればいいが]

[そーだそーだ! ちゃんとルールは守るべきだ!]


 烏ちゃんは反対多数。

 対して猫ちゃんたちは――。


[別に俺は構わん。興味無し、好きにしな]

[ノアール様のご友人とあらばなぁ。ここにいる皆、ノアール様に恩があるわけだし。義理猫情ってのは通さねぇと辻褄が合わねぇよ]

[アタシも同じよん。ノブレス・オブリージュ。これってすごく大事なことだもの。それにそこのスライムちゃん、とーってもキュート。アタシ一目惚れしちゃったわん♡]


『なるほど。烏組は反対多数、猫組は特に気にせずといったところか。そしてどちらの言い分も一理ある。さて、小僧ならどうする?」

『えぇ……。ルールを教えてくれるんじゃないの?』

『ああ、教えるさ。クイズ形式でな」


 う~ん。

 猫ちゃんたちは特に不満が無いみたいで、それはノアールちゃんが猫だからってことなのかな?


 対して烏ちゃんは対価を求めてるよね。

 対価って何だろう?


 と、その時。

 ぼくはある日のモナちゃんとの会話を思い出したよ。


 それはビックリ動物紹介番組。

 取り上げられたのは海外の烏ちゃんで、家の窓を開けていると毎日のように入ってきて、お家の中に宝石を置いて行っちゃうらしい。


「ふふっ。この烏にとってはこのお家が宝物庫みたいになってるんだね。ねぇ知ってる? 烏ってキラキラしたものが大好きなんだよ?」


 キラキラしたもの……。

 あっ、それならぼくの中にモンスターの核があるよ!


『烏ちゃん、ちょっと待っててね。いま良いモノをあげるから!』


 そしてぼくはぷるぷると震え出す。


[お、おい! どうした小僧、大丈夫か!?]

[いや待て、アレは攻撃の構えかもしれんぞ!?]

[なに! 俺たちとやろうってのか。受けて立つぞ!]


 そんなつもりはないよ。

 そう言いたくても、吐き出すのに必死で声が出ない。


 ノアールちゃんはそれを察してくれて、烏ちゃんを諫めてくれた。


『少しだけ待て。この小僧はいきなり仕掛けるようなヤツじゃない」


 ノアールちゃんのおかげで烏ちゃんが落ち着きを取り戻す。そして数秒後、ぼくはすぽーんっ! とモンスターの核を吐き出した。


 これはミニ・ワーウルを食べた時のヤツだね。赤くてキラキラ光る、ビー玉サイズの宝石。


 瞬間、ドッ! と歓声が沸いて、ぼくはビックリしてひっくり返っちゃったよ。


[おおお、なんてキレイな石っころなんだ!]

[アレはなんとしてでも欲しいぞ!]

[レイヴン様に献上したらどんな褒美が頂けることか……!]

[いや。あれ程のモノなら共有財産にすべきだ! 飾り付けよう!]


 わお!

 どうやら大好評みたいだね!


『まぁ、これがルールだ。他者の縄張りにお世話になるのなら、相応の対価を差し出す。人間社会でも大体は同じだがな」

『へぇ~~~。ノアールちゃん、教えてくれてありがとねっ!』

『ふふっ、お前は素直でいいヤツだな」


 こうして、ぼくは烏ちゃん一行の許しを得て、ゴミを分けてもらえたよ。


『ん~~、美味しい~~~♡♡』


 やっぱりゴミは美味しいなぁ。

 もしもここにモナちゃんがいたら、すっごく喜んでくれたんだろうね。


 そう思うとちょぴっとだけ損な気分だけど。

 でもその分は、ダンジョンのお掃除を頑張って取り戻そう!


 それから少し経って、ノアールちゃんが『さて』と腰を上げた。


『小僧、お散歩の続きとしゃれこもうじゃないか」

『うん。いま行くよ!』


 こうしてぼくたちは、烏ちゃんと猫ちゃんに別れを告げて路地裏をあとにした。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

面白い、続きが気になる、期待できそうと思って頂けた方には是非、ページ↓部分の☆☆☆☆☆で評価してほしいです。☆の数は1つでも嬉しいです!そしてブックマークなどもして頂けるとモチベーションの向上にも繋がりますので、なにとぞ応援よろしくお願いします!!

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ダンジョンのお掃除屋さん〜うちのスライムが無双しすぎ!?いや、ゴミを食べてるだけなんですけど?〜
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