そのしんぱんってだいじょうぶかな?
プロスポーツの試合で、審判員のミスジャッジが話題になることもあります。
審判員も人間です。完全にミスをなくすことはできません。
しかし、重要な場面での誤審が要因で試合に負けた場合は、歯がゆい思いなりますね。
まぁ、誤審によって勝てた場合はラッキーなのかもしれませんが……
その森ではヤマモモの木が赤い実をつけていた。
小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間にあるお皿には、串にささったお団子が乗っている。
皿の横には湯気のあがる湯呑も置かれていた。
「んとね。白猿さん。ある家の庭にミカンの木があったの」
「うん。おいらもミカンは大好きだぜ」
「その木の枝が隣の家との塀の上を超えてたの。で、その先の枝にミカンの実がなってたの。この場合は隣の家はその実をとっていいのかな?」
「ミカンの枝が領空侵犯してる例だな。国によって法律は違うけど、日本の場合は勝手にやると問題だな。敷地内でも、隣家から空中に伸びてきてる枝は隣家のものだ。ミカンが自然に落ちた場合でも、本来は相手に返さないといけないんだ」
「そうだったんだ。隣の家に竹が植えられてて、自分の庭にタケノコが生えた場合はどうだろう」
「地面から生えるタケノコの場合、日本の法律では土地の所有者のものになるぜ。まぁ、その状況で放置すると、やたらと竹が生えてくる危険もあるがな」
「そうなんだ。だとするとタケノコが取れてもあまり喜べないみたいなの」
「で、ミカンの木の話に戻るけどな。2023年4月から法律が改正されたんだ。それまでは越境した枝が邪魔になっても、勝手に伐れなかったんだ。で、越境分の伐採を持ち主に断られた場合は、裁判を起こすしかなかったんだ」
「んとね。あまりお隣さんと裁判はしたくないの」
「まぁ、自分ちの木が他人の迷惑をかけても平気な隣人なら、仲良くする必要もないかもと思うけどな。で、改正された法律では一定の条件で伐ることができるようになった。条件はこんなかんじかな」
・持ち主に伐採を要求し、一定期間(二週間程度)を経過した場合
・持ち主と連絡がとれない場合
・木が自宅の壁を壊しそうなど、緊急の事情がある場合
「じゃあ、隣の家に住民がいる場合は、まずお願いしないといけないんだね。持ち主が空き家の場合は簡単に伐れるのかな。どこに連絡すればいいかわからないし」
「空き屋の場合もすぐには伐れないぜ。まずは区役所などで土地の登記簿を調べてもらって、その時の持ち主を探す必要があるんだ。伐っていいのは、それでも連絡が取れない場合だな」
「さっきの条件で枝を伐った場合、そこについているミカンはどっちのものになるの?」
「改正された法律でも明記されてないな。越境された側が伐った場合、『所有権が移るので、枝を捨てるときの責任が生じる』と述べる弁護士さんもいたんだな。だとすると枝についたミカンが自分のものになるかも」
原則は、木の持ち主に伐ってもらうようお願いするのが基本です。
それができない場合の対応が法改正で少し変わったんですね。