小人さんが代わりに……
真夜中目が覚めた。
受験勉強の真っ最中に机に突っ伏して爆睡しちゃった。
ノートには、何回も何回も英単語を覚えるまで書いていたんだけど、今見ると、途中から謎の文字が踊り狂っていて、宇宙と交信していたらしいのがわかった。
キンコン。
真夜中にLINE。受験仲間からだ。
「いえーい、はかどってるかい?」
なにがいえーい、だよ。僕はそんな不真面目な友だちなんかいないからな。
「爆睡してた」
正直に返す。
「俺のところは、小人さんが来て手伝ってくれてるぞ」
はあ?
「頭大丈夫か?」
「ベンキョーしすぎてもう駄目」
「僕も」
「もう寝ようか?」
「まだまだ。夜はこれからだぜベイベー」
アホか。
「小人さんが三平方の定理で完璧に問題を解いてくれたんだけど、模範解答と違っててさ」
「お前、もう寝た方がいいぞ」
「そうだな。小人さんが代わりにやってくれるし」
「はいはい。それはよござんしたね」
ふっつりとLINEが届かなくなる。
夜の静けさの重圧に押しつぶされそうだ。
僕も寝よう。気が狂う。
僕が夢を見てる頃、僕の小人さんが、僕の代わりに地球滅亡の危機と闘っていた。
勉強どころの話ではなかった。
がんばれ!負けるな!
僕の声援を受けて、小人さんが巨大化して地球を守った。
翌朝。
早朝テストがかえってきて、もっとがんばりましょう、とコメントされていた。
「あれ?」