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日本たんぽぽ




(つかれた)



 竹の地下茎にできる茸と日本たんぽぽを探して来てください。

 瀧雲に言われた凛香。茸はともかく日本たんぽぽくらい簡単に見つけられると思ったのだが、そうは問屋が卸さず。

 茸は最初に入った竹林で深さはあったものの常日頃に比べると簡単に見つけ出せたものの、日本たんぽぽがなかなか見つけられなかった。



(西洋たんぽぽならいっぱいあったのに)



 咢片が蕾に沿ってつぼまっているのが日本たんぽぽ。

 咢片が蕾に沿って反り返っているのが西洋たんぽぽ。

 ただし、たんぽぽは交雑しやすいので、この特徴を持っていたからと言って、日本たんぽぽか西洋たんぽぽかを判別できず。

 なので、一時間経てば元通りになる瀧雲特製のスプレーを吹き付けて、紅に染まれば日本たんぽぽ、色が変わらなければ西洋たんぽぽと判別するのだ。



 まとまって咲いている場所候補はいくつもあったのだが、全部が西洋たんぽぽ。

 あちらこちら走り回って日本たんぽぽを探し出せても、数が足りず。またあちらこちら走り回ってようやく瀧雲に薬草を渡せたのは、夜の八時。


 頑張ったから明日は休みだと言い渡されたので、午前中は寝て午後に軽く走ろうかと考えてながら十時までは店が開いている商店街を進む中、凛香はふと土で汚れたジャージを見て肩を落とした。

 動きやすいし汚れるのも確実なのでジャージを着ているのだが、珊瑚がせっかくアイロンをかけてくれたのに汚すのは少し気が引ける。


(珊瑚は今日もよく頑張ったねって美味しいお茶を淹れてくれるのに)


 凛香はジャージから煉瓦敷道路に視線を落としたが、すぐに気を取り直して、きょろきょろと見渡しては目についたとある店へと入ろうとした瞬間、今の自分の格好を思い出して足を止めた。


「よお、凛香」

「梨響。今日は遅いね」


 凛香は隣に立った凛香を見ずに話した。

 家を出る時間はまちまちな梨響だが、家に帰るのはほぼ六時なのだ。


「ああ。今日はなー。なんか時間が経つのが早かった」

「へえ」


 力のない返事に疲れているのだと察した梨響。しかしならなぜ早く帰らずに立ち止まっているのかと疑問に思ったが、凛香の目線の先にある店と土で汚れたジャージを見ては察して、買ってきてやろうかと提案した。

 凛香は勢いよく隣に立つ梨響を見上げた。


「いいのか?」

「ああ。けどよ。何がいいのかさっぱりわからねえぞ」

「ありがとう。買ってきてほしいのは」










(2021.12.24)




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