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#1 「武功鳥、襲来」


「お兄、そろそろ戻ろう?」


 耳触りの良いやさしい声で呼ばれた俺は、ふと目を覚ました。悪い夢を見ていたような気がするが、内容は思い出そうとする程、忘れていく。諦めて辺りを見回すと、夕日が空を真っ赤に染めていた。


「お兄ちゃん!!」


 さっきとは違うはっきりとした声で呼ばれた俺は、隣の妹を見遣った。すると妹は目を丸くして怒っていた。そういえば、ここに来るとき″夕方には帰れ″と言われて出てきたんだった。俺は重い腰を上げ、妹と二人ゆっくりと帰路に途いた。


 帰り道、何度か近所の農家のおじさんたちに挨拶をしながら妹に合わせて歩いていると、あっという間に目的地の教会が見えてきた。しかし、既に辺りは真っ暗。残り数歩というところで中に入れるのを尻込みしていると、妙な違和感があった。いつもなら、夕飯の匂いが何処となく漂ってくる。だが、今日の匂いはまるで……


「お兄?」


 妹の唐突な言葉で、思考が遮られると少し落ち着きを取り戻すことができた。すると、さっきまでの考えは″流石に考えすぎだ″と割り切れた。そして、門限破りが脳裏によぎり恐る恐る扉を開けた。


「____」


 目の前に広がっていたのは、血で真っ赤に染められた一面の壁。そして、扉を開けたことで倒れた司教を始めとした肚を抉られた教会の信徒たちだった。


 CREATURES #1 OWL ATTACK


 言葉が出なかった。血塗られた教会、死にゆくきょうだい、泣き叫ぶ妹。俺らのいなかった数時間に何があったのか、想像も出来ないくらい悲惨な光景だった。俺はただ見ていることしか出来なかった。すると、奥から物音がした。

(もしかして、生き残っている奴がいるのか?)

頭では、この惨状の中生きている奴なんかいないと思いつつも心の中では、誰か生きていると信じたかった。自分の心を信じ、奥へ進むと背後から凍えるような声が聞こえてきた。


『黙れ、ガキ』


 急いで振り返ると、声を殺して涙だけを零す妹と冷たい銃口を妹に突きつける男の姿があった。途端に心が男を(かたき)だと判断し、咄嗟に突っかかていた。しかし、子供の抵抗など効くはずもなくすぐに振り解かれてしまった。


『お前が、脱走兵か?』


 俺の姿形を、舐め回すように見た後男は言った。正直、全く意味が分からなかった。しかし、男の意識を妹から俺にすることができたので男に話を合わせようと思った。


「ああ、俺が__」


 一瞬の出来事だった。俺が言い切る前に、男が俺の首を押さえていたのだ。男の腕を解こうとしたが、俺が意識を失うのが一歩早かった。


つづく number 581

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