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中くらいの青春〜帰り道日記〜  作者: 明石 裕司
一章 六人の帰り道
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6話 鈴音の悩み

 あの後も、曲の練習の時でさえ、ホルンパートのうるさい雰囲気は続いた。

 とりあえず適度にツッコみながら、今日の部活を終えた。


 自分の準備ができても、みんなの準備ができるのを待つ。

 なぜか奈菜たちはいつも支度が遅く、彼女たちを待っているとフロアを出るのが一番最後になってしまう。

 それでも、裕司たちは三人を待つ。

 そして、みんなより少し遅れて校門をくぐる。

 それが、もう習慣みたいになっていた。

 

 今日もいつもと変わらない道を、変わらない速さで歩いていく。

 ただ、いつもと明らかに違うことがあった。


 鈴音にあまり元気がなかった。

 普段ならば帰り道で誰よりも明るく、大きな声で話しているのに。

 今日も確かに話しているのだが、明らかに静かだ。

 それに、たまにため息までつく始末だ。

 まるで何か考え込んでいるようだった。


 普段とは全く違うその様子に、裕司はただただ何も言えずにいた。

 別に輪の中に入れていなくて、会話に参加できていないわけではない。


 みんな気にせず話しているようだが、恐らくは気になっているだろう。

 そして誰も何も言わないまま、鈴音の家の前にたどり着く。


 全員がそこに腰を下ろそうとした時だ。


「ごめん、今日は鈴音、帰る」


 鈴音がそう言ったのは。


「どうした? 塾でもあんの?」


 真っ先に聞いたのは蒼だ。


「あ、そうそう、ちょっと用事があって」


 鈴音は軽く答える。


「それなら仕方ないか」


 残りのみんなもそれで納得したようで、それぞれが鈴音の家の敷地から出ていく。


「じゃあ、また明日」


「うん」


 鈴音の家の扉がバタンと閉まった。


 それから、裕司とそれ以外の四人に分かれて、歩いて行った。



 鈴音はその後も、あまり元気を取り戻さなかった。


 それどころか、周りに心配をかけていることに気づいたのか、逆にいつもより明るくふるまうようになった。

 だが、六人で話していると、数分もしないうちに何かしらの理由をつけて切り上げた。


 一応全員聞かないようにしてきたが、さすがにそうもしていられなくなってきた。


「今日、お母さんが買い物行くって言ってるから、そろそろ帰るね」


「そっか……」


「……分かった」


「それじゃあ、また明日ね」


「おう」


「じゃあね」


「またね」


 鈴音の家の扉が閉まるのを確認してから、真っ先に口を開いたのは奈菜だった。


「なにがあったのかな?」


「部活の悩み、だろ」


「そうとも決めつけられねえしな」


「うーん、わかんないなぁ」


 今日は裕司もまだ帰らずに残っていた。

 だが明らかにおかしいところがある。


「あのさ、みんな」


 全員がこちらを振り返る。


「なんでここで話してんの? いつもみたいにあっち行けばいいじゃん」


 鈴音の話をしているのに、鈴音の家の前から動かないのはどう考えてもおかしい。

 それに、いつも四人で帰っているのなら、その道を歩きながら話せばいい。


 しかし裕司は、また全員から見たことのある目を向けられた。


「何言ってんだこいつ」の呆れた目である。


「明石、お前だけ神田のことほっとくのか?」


「い、いや、そういうわけじゃないけど……」


「じゃあなんで『いつもみたいに』とか言うんだよ。それだったらお前だけ話せないだろ」


 ごもっともな意見だ。

 だが裕司は、そういう話し合いに参加する気はなかった。


「いや、でも俺がいたところでさ……」


「あぁ、もうそんなうじうじすんなって!」


 蒼が面倒そうに言い放つ。


「お前も一応『友達』だろ。じゃあちょっとは神田に協力してやれよ」


「……」


「友達」だなんて、面と向かって言われたのはいつぶりだろうか。

 

 実際裕司も、鈴音の最近の様子はどこかおかしいと思っていた。

 気づいたのはおそらくこの中の誰よりも遅いが。


(まあ、みんなの話聞くくらいなら、いいか)


「分かった。じゃあ行こうよ」


 裕司はとりあえず歩き出す。


「あれ、明石、お前ってあっちだよな?」


「あぁ、そうだけど?」


 裕司が今歩いているのは普段の通学路と反対の方向だ。

(鈴音の家の前まで来ている時点でもう通学路からは外れているのだが)


「お前、家が厳しいんじゃなかった?」


「どうせ親は遅くまで帰ってこないし」


 裕司は無表情のまま、少し後ろにいる四人の方を見た。


「じゃあ、とりあえず、神田さんの件どうするか、考えるか」


 自分が憧れていた「相談役」への第一歩に、心の中でわくわくしながら。

 見てわかる通り、私はかなりネガティブで、卑屈な部分がありました。

 これから、キャラのビジュアルやそういった性格なんかを紹介する話を書けたらいいな、と思ってます。

 まあ、この問題が解決してからですけど。


「さっさと次の話書け!」とか「続きが気になる!」という方はぜひ高評価&ブックマークお願いします。

 私が喜ぶので。

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