表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中くらいの青春〜帰り道日記〜  作者: 明石 裕司
一章 六人の帰り道
6/45

5話 ホルンパートの一日

すみません! 平日は予定が多く、投稿が遅れてしまいました!


今回は、少し部活中のようすにスポットを当ててみたいと思います。

5月21日 月曜日


 あれから一カ月ほど経った。

 4月の終わりごろに新入部員が入ってきた。

 それから2週間ほどで、新入部員にパートが割り当てられた。


 今はそこから一週間ほど経っていた。


「2年2組の鍵取ってきて!」


 先輩が近くにいた二人に向けて指示を飛ばす。


「急いで行ってきます!」


 そう言うと彼女らは譜面台とホルンを持ったまま、急ぎ足で音楽室を飛び出した。


 吹奏楽部には「パート練」という、同じ楽器の人たち(パート)が一緒に行う練習があり、それが平日の大半を占める。

 主に練習は各クラスの教室を使うのだが、今は2年生の教室5クラスしか練習に使えない。

 それに対し、教室を使いたいパートは8つあるので、教室の鍵を取りに行くのは戦争なのである。


 今も数人の生徒が鍵を取りに職員室へ向かっているのだろう。


 裕司はその必要がないので、だらだらと廊下を歩いていくことにした。

 基本的に鍵を取りに行く仕事は1年生がするのだ。

 最初は2年生が手伝うのだが、今日は奈菜の当番だ。


 ゆっくり歩いてきたので、2年2組の教室の前につくと、もう教室内から話し声が聞こえた。


 裕司はドアを開ける。


 そこにはいつもの光景が広がっていた。


「ねえねえ、いつ遊びに行く?」

「5月中は無理じゃない?」

「そうですね」

「じゃあ6月で予定空いてる日にしよっか」

「はい!」

「でさ―――」


 練習もせず、駄弁っているパートの人たち7人の姿だった。


 3年生3人、2年生2人、1年生2人だ。

 つい一週間前に入ったはずなのに、もうここに馴染んでいた。


 とりあえず教室に入る。

 そこでパートリーダーの北野先輩がこちらに気が付いた。


「あ、ゆうちゃんきた!」


「どうも」


「みんな揃ったし、チューニングしてください」


「「「「「「はい!」」」」」」


「・・・はい」


 北野先輩の言葉で全員がチューニングを始める。


 別にやる気がないわけではないのだ。彼女たちはただ全員揃うまで待ってくれていただけだ。


 とりあえず裕司も音を合わせる。

 最初にB♭の音を、それが合えばFの音を。それから残りの音をざっと合わせていく。


「あ、ゆうちゃん終わった? 合わせよう」


 声をかけてきたのは林先輩だ。


「わかりました」


 先輩とB♭の音を合わせる。


「―――ちょっと音が広がってるから、もうちょっと息をまとめて」


「はい」


 先輩からの指摘通り、息を調節してもう一度合わせる。


「―――あ、いい感じ。それ続けてね」


「はい」


 その後、Fの音も合わせ、終了した。

 そのタイミングで残りの人も終わったらしく、全員が席に座った。


 ちなみに裕司以外の二人の2年生は、1年生の面倒を見ている。

 裕司はそのレベルに到達していないということだ。要は、一番下手。


 その事実を改めて突き付けられ思わずため息が出る。

 だが仕方ないだろう。彼女たちは裕司が見る限りでも本当に努力していた。


(なんで、俺だけ・・・・・・)


 頭では分かっていても、そんな思いが胸の中でうずく。


「じゃあ、みんなでB♭出してください」


 北野先輩の言葉で我に返る。


「「「「はい」」」」


 とりあえず返事をしておいた。


 全員で出したB♭の音。

 新人がいるからというのもあるが、少々音が合っていなかった。


 裕司は小さくため息をつく。

 音が合っていないことにではない、ここからの展開にだ。


「じゃあ、ツムツムしまーす」


「「「「はい」」」」


 裕司以外の2.3年は返事をする。


「それ、なんですか?」


 1年生の白石が首をかしげる。


「えっと、一人ずつ音を順番に積んでいくの」


「あ、わかりました」


 それで納得したようで、白石ともう一人の1年生、前田もホルンを構えた。


「ほら、ゆうちゃん遅いよ!」


「あ、すみません」


 裕司もあわててホルンを持ち直した。


 ツムツム(通称)を終わらせた。

 やはり音が聞きやすい分、合わせやすかった。


「うん、みんな合ってた、よきよき。でも、がんちゃんちょっと音高かったかな。で、ジャーキー音がなんか、ふにゃふにゃぁってしてた。もっとぶおぉぉって息入れて」


「ちょっと擬音多くないですか?」


 思わずツッコんでしまう。


「でもこっちのほうが伝わりやすいでしょ?」


「まあそうなんですけどね・・・」


 先輩はのんきな口調で言ってきた。


 この北野先輩、言葉のチョイスがおかしいのだ。

 擬音が多かったり、子供っぽかったり。


 もちろんこのセンスはあだ名でも適用される。

 さっきの「がんちゃん」「ジャーキー」は白石と前田のことだ。

 白石は小学校の時のあだなが「岩石」だったらしく、それを聞いた先輩が考えた。

 前田は小学校の時「無邪気」と呼ばれていたらしく、それをもじって「ジャーキー」にした。

 こちらは奈菜の考案だ。


 だが北野先輩は、オール5を取るような頭脳の持ち主らしい。

 普段の言葉や行動からは全く想像できないが。


 そして問題なのが、このパートの半数が似たような状況であることだ。

 残りの先輩二人はもちろんのこと、奈菜やもう一人の2年生である三浦にも伝染している。

 正直、常識人と呼べるのは1年生と裕司だけのようなものだった。


「結局みんなこんな感じかよ」


 ぐるりとパートを見渡しながら裕司はつぶやく。

 だが、口ではそう言いながらも、裕司はこの空気があまり嫌いではなかった。


 こうして全員がふざけてて、裕司がツッコみで場を少し落ち着かせる。

 たまにもめごとはあるけれど(基本原因は裕司)、このパートは楽しい。


 そんなくだらなくもいきいきとした日常を、8人で過ごしている。

 複雑な気持ちを抱くこともあるけれど、裕司はこのパートが好きだ。

 

 裕司は誰にも見られないように、こっそりと笑う。


「じゃあ次Fください!」



「「「「はい」」」」


 ホルンパートの8人が、それぞれ楽器を構えた。


「続きを早く出せ!」「この先どうなるか気になる!」という方は、高評価とブックマークしていただけると嬉しいです。

 感想も送られてきたものを読み返したりして、元気をもらってます。

 

 この土日で書き溜めして、次は投稿遅れないようにします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ