第3話 砂漠の探索
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パーティーを追放されても世界が終わるわけじゃない。
生きるためには何があったとしても仕事をしなければならない。
「さて、どうするか……」
既に朝のラッシュは終わってみんな砂漠に行っている時間だ。こんな時間にギルドに残っているのは、朝っぱらから酒をかっくらうろくでなしか、夜通し砂漠に潜っていた連中だけだ。
前者はともかく後者は既にパーティーがあるから俺が誘ったところで乗ってはこないだろう。前者は役に立つ立たない依然に駄目だ。
酒が入っているやつを砂漠に連れて行っていい目にあったことなどない。そもそもそんなやつは自殺志願者くらいだろう。
すぐに死ぬ。そんなやつは。
目ぼしい探砂師は既に探索に出ている。
まさか従業員のドワーフやら獣人やらを誘うわけにもいかない。
彼らは探砂師を相手にするため強さが求められるから、強さ的には問題ない。ドワーフは熱さにも強いし、獣人は力強い。
手を出すときは注意しろと新人は先輩たちからよーく言われる。
それでも手を出してぶっとばされるやつを見たり賭けの対象にするのが先輩たちの新人が来た時の恒例行事だったりする。
そんな探砂師以上に強い酒場の従業員がいることもあるから、仮にも仲間にできれば非常に頼もしい存在ではあるのだ。
ただ彼らを仲間に引き入れてしまうと他の探砂師たちからいらぬひんしゅくを買うことになる。
彼ら彼女らは見目も良いからきつい探索を終えて帰った後の癒しがいなくなることにもなりとても嫌がられるのだ。
そういうわけで、今回はソロで行くしかない。
「ソロか……」
俺の実力は、どんなに多く見積もったとしてもその辺の雑魚その1だ。
チートがあった頃ならいざしらず、今はチートはない。
どこにでもいる特別な力も持たないぺーぺーの一般市民なのである。
少しくらいは剣技などは鍛えているし、才気を使いこなす努力をしている。
おかげで色々と応用が利くがそれが砂漠の怪物に通じるかはまた別の問題だ。
純粋問題、俺は砂漠にいる怪物を倒す火力が足りない。
「だから魔物の討伐ってのは無理だよな。報酬は良いんだが……なら、普通に採取依頼にするか」
掲示板に残っている誰も取らないような簡単な奴、報酬の低い奴をいくつかピックアップして受付に持っていく。
こういう仕事は割に合わないから誰も取らないが、パーティーを追放された俺はそんなえり好みができる余裕なんてない。
ステラに事情を話せば、気にせずに返済を待ってもらえたり色々都合してくれるだろう。だが、これ以上彼女の世話になるのは男としての沽券にかかわる。
既に色々ともう駄目だろという意見は聞かないことにする。
「これを頼む」
掲示板からとってきた依頼を一番端の受付に持っていく。そこにいるのはオカマのカノンさんだ。
ただのおかまではない。超絶美人のオカマエルフだ。尖った耳がその証拠。美形なのも道理である。
それでオカマというのが非常に残念なのだが……。
探砂師の中には、俺、オカマでもいいや、って彼、彼女? に突撃するやつもいるというレベルのスーパーなオカマだ。
「あらぁん、今日は一人なのぉ? レオたちはぁ?」
甘さ控えめ硬質的な超低音ボイスが女にしか見えない容姿から繰り出される。その威力は非常に高い。
このギャップがいいらしい。俺にはわからんし、俺はこれが目当てというわけではない。
俺がこの人の受付を利用するのは、この人が信用できるし優しいからだ。
初めての探砂の時に色々と教えてもらったし、ライを紹介してくれたのだってカノンさんだ。
「ああ、色々あってパーティーを抜けることになった」
「あら……それはごめんなさい」
「なんであんたが謝るんだよ」
「だってぇ、あのパーティーにあなたを紹介したのあたしだもの。間接的に今の状況を作ったといっても過言ではないわ」
こういうところが信用できる。
彼は探砂師からギルド職員になった口で、こちらの事情を良く知っている。
だからこそ俺も良くカノンさんを利用する。
「これから大変よねぇ。次のパーティーだけど、今は、どこも空いてなくて」
「今日はソロで行くさ」
「そう? 一応、受理はするけど、大丈夫? 今日はやめて明日行くのがいいんじゃない?」
「金がいるんだよ。それに今帰ったらステラに何を言われるか」
「ステラちゃん、きっと気にしないと思うけれど」
「いいや、絶対嫌味を言ってくる」
「そういうことないと思うけどぉ。まあいいわ。頑張ってね。大切なのは――」
「――生き残ること、だろ。わかってる。ステラにもきつく言われてるから死ぬようなことはしないさ」
「そういって何人も見送ってきたのよ」
「……大丈夫だよ」
「こうなったツカサちゃんは、何を言っても無駄だもんねぇ。はぁー、まったく強情ったらないわぁ。はい、OKよ。気を付けていってらっしゃいね」
カノンにうなずいて、俺はギルドを出る。
開いている城門をくぐればそこはもう砂漠だ。
青空が街にいるよりも澄み渡ってどこまでも続いている。
あとにあるのは砂、砂、砂。
ただしここはまだラーシャナの街の領域である。
そこに広がっているのは港。砂を海と見立てて、そこを走る船――砂上船の港である。
既にいくつかの船は出て行って、砂漠を囲む城壁に一定間隔で作られている別の都市に向かっているところだろう。
あるいは別の国への便もある。
この砂漠は、世界地図の中心から端に向かって円形になっているのだ。
そこを取り囲むように城壁が作られており、ラーシャナの街と同じく城門のところに街が作られ探砂師たちが集まっている。
「砂上船を買ったらもっと深部とかまで行けたりするんだろうなぁ」
まあ、夢のまた夢なのだが、砂上船はデザインが良いのだ。
男の子心をくすぐられるデザインで、いつか自分の船を持ってみたいとも思う。それくらいにはかっこいい。
借金生活が終わったらの話になるだろうが。
とかく、その港を出れば、そこが数多の人間を虜にしお宝の埋まった砂漠がどこまでも広がっている。
「さあ、行くぞ――」
俺は砂漠へ踏み出した――。
そして、裸の女を見つけた―――。
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