「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(8)
第8回を公開します。
前回更新が大幅に遅れたので連日更新になってしまいました。
工房を訪ねたストゥーリアの目的は?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
「ブン、元気そうですね。
少しはムブに近付けましたか?」
ストゥーリアが優しい声音で尋ねた。
「まだまだっす。
足元にも及ばないっすよ。」
ブンが陽気に答えた。
「あの、親方。
こちらの方は?」
そんな2人の会話に弟子のドワーフが割って入った。
「お前は会った事なかったっすな。
この方は50年前に鉄騎城を封印した4勇者の1人、ストゥーリア様っすよ。」
ブンの説明に、
「この方があの、黄金色のン、、。」
ゴン!
言い掛けた言葉を遮るように弟子の脳天に拳を食らわせた。
「本人の前で言うなっす。」
「すいません、親方。。」
頭を押さえながら弟子が詫びた。
「すいませんっす。
まだまだ半人前で礼儀がなってないんっすよ。
おっと紹介がまだだったっすね。
こいつはムン、あっしの息子っす。」
ブンが弟子の非礼を詫び、紹介の言葉を継いだ。
「それではあの時生まれた子なのね。
大きくなりましたね、ムン。
よろしくお願いしますね。」
微笑み、優しい声を掛けてきたストゥーリアに、
「息子のムンです。
よろしくお願いします。」
慌てて頭から手を離し、頭を下げて挨拶をした。
その頭頂部に大きな”たんこぶ”が出来ていた。
「ふふっ。真面目そうな子ですね。
母親に似たのかしらね。」
柔和に微笑み、ブンに皮肉めいた言葉を発した。
「勘弁して下さいっすよ。
それだとあっしが不真面目みたいじゃないっすか。」
「あら、そんなに真面目だったかしら?
昔はよく脱走してましたよね。」
「親方、そんな事してたんですか?」
ストゥーリアの言葉でジト目になり、あきれ声で発するムンの視線に、
「こいつの前でその話はやめてほしいっす。。」
照れ臭そうにに頭を掻いているブンに、
「あら、ごめんなさいね。
面目つぶしちゃったわね。」
楽しそうな声で詫びた後、
「それで、ムブはまだ戻ってないのですか?」
ストゥーリアが真面目な顔で尋ねた。
その表情に、
「はいっす。
10年以上戻ってないっす。」
ブンも表情を引き締めて答えた。
「まだ、見つからないのですね。。」
心配そうな声のストゥーリアに、
「親父はそう簡単にくたばらないっすよ。
そのうちフラっと戻る、、何て言ってられる状況じゃないっすね。
あっしも噂は聞いてるっす。」
ムブが切り出した。
「近々、鉄騎城の封印が解けます。
すでに綻び始め、鉄騎将が1人復活してしまいました。」
「らしいっすね。
そいつが鉄騎獣引き連れて城に向かったって聞いてるっす。」
「もうそこまで侵攻しているのね。
やはりここに来て正解でした。
ブン、”限定解除”して貰えませんか?」
ストゥーリアの言葉にブンの顔色が変わった。
「そこまでの事態、って事なんっすね。
それじゃ他の勇者様は。。」
ブンの問い掛けにストゥーリアがゆっくり頷いた。
「わかったっす。
5日、時間を下さいっす。」
覚悟を決めた、とゆう表情のブンの申し出に、
「わかりました。
それではお願いしますね。」
そう言って立ち上がると、店を出た。
ブンとムンも後を追った。
店の前に止められていたバイクを初めて見たムンが、
「これが、フォレスブレイク。
映像記録でしか見た事なかったけど、物凄い完成度ですね。」
興奮した声を上げた。
「このフォレスブレイクとハッシャー、ブイングマージェ、ディブトレースは親父の最高傑作っす。
こんなとんでもない魔動機、あっしにはまだ作れないっすよ。」
ブンも少し興奮しているようだ。
「それじゃ預かるっす。」
「頼みますね。」
「これからどうされるんっすか?」
「近隣の鉄騎獣の動向を探ってきます。
一戦交える事になりますから。」
「お気を付けてっす。」
「ありがとう。
それでは5日後に。」
そう言ったストゥーリアは風を纏って空に上がると、あっという間に姿が見えなくなった。
「それじゃ工房に移動させるっすよ。」
「はい、親方。」
ストゥーリアを見送った2人は店の裏側の工房へとバイクを移動させた。
(3)
「今日はこれだけなの。。」
消え入りそうな呟きを漏らしながら、少女が森の道をとぼとぼ歩いていた。
今日は”りんご”のような果実が3つしか手に入らなかった。
「じいや、なんでしんじゃったの。。」
1ヶ月程前に他界した祖父の事を思い出し、涙が溢れた。
早くに両親を亡くした孫の少女をずっと守ってくれていた。
その祖父が他界し、幼い少女は1人で生活する事になった。
けれど祖父が残してくれていたお金も使い切り、食料を森で調達するしかなかった。
「さびしいの。。
こんなのもうやなの。。」
少女は1人の寂しさから心が折れかけていた。
如何だったでしょうか?
ストゥーリアが依頼したのは、もうしばらく伏せます。
何となくわかる、かな?
そして4人目が。。
次回は水曜更新予定。
楽しみにして頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。