「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(7)
第7回を公開します。
「ハーツ」の方の遅れの影響でこちらも大幅に遅れてしまった。。
お待ち頂けてるとも思えませんが、申し訳ありませんでした。
精進します。
で、今回から第二章。
異世界に旅立ったここあ、についてはもう少し後で。
異世界住人の動きから。
ちょっと謎も明かされてます。
その謎とは!?
楽しんで頂けたら嬉しいです。
ーニ章ー
(1)
コンコン
アルテェスが城の中枢、執務室の扉をノックした。
返答代わりに扉が消え、入室が促された。
扉はノックする事で内側が透けるようになっていて、来訪者が誰なのかが確認出来る様になっていた。
扉を消したのは内側でお辞儀している王妃の秘書兼メイドのテーミアン。
部屋の奥の執務机で母である王妃、アルリィアが書類に目を通しながら、
「どうしました?」
穏やかな声で尋ねてきた。
「先程の襲撃の事でトコート様に連絡しましたわ。
その事で報告したいのですわ。
少し時間、よろしくて?」
アルテェスの申し出に、
「少し待ってなさい。
すぐ終わらせるから。」
そう答えると、書類をチェックするスピードが早くなった。
アルテェスは部屋の中央に置かれた応接セットのソファに腰を下ろした。
程無くテーミアンが紅茶をそっとテーブルに置いた。
「ありがとうですわ。」
アルテェスの言葉に黙礼で返すと、アルリィアの側に戻り、手伝いを再開した。
母とテーミアンのやり取りをぼんやりと眺め、お茶を啜りながら電話の事を思い出していた。
「ここあ さん、早く会いたいですわ。」
電話で話した ここあ の声に何故か懐かしさを感じていた。
姫とゆう立場では心許せる友を作る事もままならない。
そんなアルテェスには1つ、とても大事にしている思い出があった。
それは10数年前の事。
1度だけ姫である事など気にせず遊んでくれた子がいた。
あんなに大声で笑い、はしゃいだのは最初で最後。
今ではアルテェスの心の宝物になっている、大切な思い出。
その子とは、それっきり会えずにいた。
「ここちゃん、もう1度会いたかったですわ。」
そんな事を思いながらしんみりしていると、
「待たせたわね。」
言いながら母が向かい側のソファに腰を下ろした。
「それでトコート様は?」
母の問い掛けに、
「やはり亡くなっておられましたわ。」
悲しげな声で答えた。
「そう、なのね。
やはりストゥーリア様を探さないといけないようね。」
思案顔で呟く母に、
「大丈夫ですわ。
トコート様の孫の ここあ さんがこちらに来て、力を貸すと言ってくれましたわ。」
アルテェスが嬉々とした声を掛けた。
「え?ここあ ちゃんが来るの。
どうゆう事?」
そんな母の問い掛けを余所に、
「ここあ さんの事、知ってるのですわ?」
アルテェスが問い返した。
「そりゃ知ってるわよ。
叔母様(アルリィアの母の妹=ここあの祖母)の孫なんだから。
あなたも1度遊んだ事あるじゃない。
覚えてない?」
「え?
それじゃ、ここあ さんって、”ここちゃん”なのですわ?」
「そうよ。
あなたとだと”はとこ”になるわね。
それで、ここあ ちゃんは何て言ってたの?」
母の声は思い出の世界に旅立ってしまったアルテェスには届いていなかった。
ここあ が”ここちゃん”だった。
そして、また会える。
もう報告どころではなかった。
そんなアルテェスの脳天に母の手刀打ちが炸裂するまで時間は掛からなかった。
(2)
ヒィィィィィィィィィィン!!!
甲高い魔動エンジンの音を響かせ、暴走してきたバイクがある店の前で止まった。
エンジンを止め、バイクを降りたストゥーリアが店内に入っていった。
来客に反応したドワーフの店員が、
「いらっしゃい。
どんな御用ですか?」
すかさず声を掛けてきた。
ここは魔動機械の受注製造を請け負う工房で、50年前からの付き合いだった。
ストゥーリアは、
「ブンは居ますか?」
工房主の名を出し、尋ねた。
「親方は奥で作業中です。
ちょっと呼んできます。」
そう言って店員はカウンターの奥の扉を開け、中に入っていった。
程無く大柄なドワーフが姿を見せ、
「あっしに御用てのは、、ってストゥーリア様じゃないっすか。
お久しぶりっす。」
気さくに声を掛けた。
如何だったでしょうか?
ここあの祖母は、そうだったのです。
第一章でほのめかしていたのがこの関係性でした。
近々4人目も登場します。
そして、ここあは。。
次回は土曜更新の予定です。
楽しみにして頂けたら嬉しいです。
よろしくお願い致します。