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「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(51)

長らく更新が滞り、申し訳ありません。

再開しました。

1話も終盤。

ついにアレが。

そして、ここあは。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

(10)


「あれは、エルフの女か。

 なにを、めて、、。」


 橋の上で戦い始めた ここあ とストゥーリアを苛立いらだたしげに見ていた鉄騎将テメッタルだったが、ふいに脳裏に映像が浮かんだ。


 優しく微笑みかけ、頭をでているその女性に、


「あんたは、、。」


 何かを言いかけてわれに返った。


「何だったんだ、今のは。。」


 それは鉄騎大王に封印された、鉄騎将テメッタルの子供の頃の記憶。

 その微笑みの記憶は、はかなく消えてしまった。

 胸の奥の方に小さな違和感を残して。


 その時、


キキィーーーッ!


 急ブレーキでタイヤを鳴らしながらハッシャーが停車し、


ガチャ


 ドアを開けて ここあ が姿を現した。


(11)


鉄騎将テメッタル、今度は負けないんだよ。」


 決意をつぶやきアクセルを踏み込んだ。


ヒィーーーーーン!


 ハッシャーが魔動エンジンの駆動音くどうおん甲高かんだかとどろかせ、鉄騎将テメッタルに近付いていき、


キキィーーーッ!


 少し離れた場所で急ブレーキを掛け、停車した。


ふうっ


 小さくを息をいた ここあ は、


「よし!」


 気合を入れると、


「しゅうくん、私が降りたら少し離れてるんだよ。」


 AI(しゅうくん)に声を掛けた。


「リョウカイ、シマシタ、ゴブウンヲ。」

「うん、がんばってくるんだよ。」


 気負いのない笑顔で返し、


ガチャ


 ドアを開けて車を降りると、ハッシャーがドアを閉めながら走り出した。

 ハッシャーが離れたのを確認した ここあ は鉄騎将テメッタル見据みすえながら、収納小板ストレージカードから 短刀・みるく を取り出した。


 そして、


「待たせたんだよ。

 それじゃ、戦う(やる)んだよ。」


 目をキラキラさせながら、力強く言い放った。


(12)


親父ムブ魔力充填チャージ終わったっす!」


 息子・ブンの声掛けに、


「了解だ、んじゃ、起動させっぞ!」


 答えたムブが手動でディブトレースを起動させた。

 ※所有者となっているアルテェスは音声コードで起動する。


デュイーーーーーーーーーーン!!!


 他の3機よりも重めの魔動エンジンの音が格納庫内に響き渡った。


うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


 その音に反応して、作業員たちが歓声を上げた。

 ディブトレースが起動したのは先の大戦以来なので、皆その音を聞くのは始めてだった。

 歓喜の声に苦笑しつつムブが、


「大げさな奴らだ。

 おいブン、最終チェックするぞ、上がってこい!」


 息子ブンに声を掛けた。


「はいっす!」


 呼ばれたブンが返事して、コックピットに入ってきた。

 2人はてきぱきと起動したディブトレースの状態を確認していった。


「各動力、武器、問題ないっす。」

「おう、了解だ。

 動力伝達、システムチェックも完了だ。

 アルテ、行けるぞ!」


 待機の時間の間にバトルスーツに着替えていたアルテェスが、


「ありがとうですわ、ムブ様、ブン様。

 それでは、出撃いたしますわ。」


 声を掛けながら2人と入れ替わりにディブトレースのコックピットに入った。

 操縦桿そうじゅうかんを握る手がじんわりと汗ばんでくる。


「緊張、しているようですわ。。」


 アルテェスが気弱な声でつぶやいた。

 ディブトレースでの出撃、始めての戦闘バトルに体が小さく武者震むしゃぶるった。


 その時、ここあ を助けた時の事を思い出した。


「そういえば、あの時に実戦を経験していましたわ。

 あの時は ここあ を助けたいと必死でしたわね。

 あれに比べたら、楽勝、なのですわ。」


 つぶやきながら、気持ちを引き締めつつも肩の力を抜いたアルテェスは、


すぅ〜、はぁ〜


 ひとつ深呼吸してから、表情を引き締め、


「ディブトレース、いきますわー!」


 気合のこももった出撃の声を上げて操縦桿そうじゅうかんをグッと前に押した。

 その動作に答えるようにディブトレースが動き出し、水中へと潜航していった。


(13)


「待ちわびたぜ、ここあ!

 それじゃ、おっぱじめようか!」


 車から降りてきた ここあ に、鉄騎将テメッタルが楽しそうに熱さ全開の声を掛けた。

 その圧にひるむ事なく、


「あの時のようにはいかなんだよ。

 絶対、”勝つ”んだよ!」


 ここあ が力強く勝利宣言で返した。


「強気だな、ここあ。

 血がたぎってくらぁ。

 んじゃ、どんだけ強くなったか確かめてやるぜ!」


 そう言って、鉄騎将テメッタルが先に動いた。


ドン!


 と地を蹴り、一瞬で ここあ に接近し、


「くらいやがれ、アイアンナックルーーー!」


 真正面から顔面に鉄の拳を叩き、込めなかった。

 拳は ここあ の顔面をすり抜けた。


速い(はええ)じゃねぇか。』


 心の中でつぶやいたのと同時に、


「抜刀奥義、旋風(つむじかぜ!)」


 鉄騎将テメッタルから少し離れた右側から ここあ の声が聞こえた。

 剣技が生み出した魔力をまとった旋風つむじかぜが迫って来るのを、


「しゃらくせぇ!」


 空振った右腕を振りながら右に向きを変え、向かってきた旋風つむじかぜぎ払った。


ポタ、ポタ、ポタ


 けれど、鉄騎将テメッタルの腕からオイルがしたたり落ちていた。


「やるじゃねぇか、ここあ。」


 ここあ がはなった旋風つむじかぜぎ払って打ち消せた、と思ったのだがからみついた風の刃が腕を傷付けていた。


「まずは私の勝ち、なんだよ。」


 不敵な笑みを浮かべ、ここあ が言い放った。


「いい、いいぜ ここあ。

 そうじゃねぇと面白くねぇぜ。

 このゾクゾクする感じ、50年振りだ。」


 楽しそうに言葉をつむいだ鉄騎将テメッタルは腕からにじみ出るオイルをめ、


ぺっ!


 とき出すと、


「俺様の本気、見せてやんぜー!」


 雄叫おたびながら、ここあ に向かって行った。

如何でしたか?

ついに出撃した、ディブトレース。

そしてバトルに突入したここあとテメッタル。

初撃をかわしたここあに本気のテメッタルが迫る。

次回、激戦を制するのは?

お楽しみに。

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