「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(4)
第4回を公開します。
前回の最後に登場したエルフは何者なのか?
そして、ここあの前に!?
な感じになってます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
森の最奥。
そこには樹齢千年を数える巨木がそびえ立っていた。
巨木の根本近くには直径1mくらいの大きな瘤がひとつ。
彼女がそれに触れると、瘤を真ん中で分断するように縦線が現れるや、左右の瘤を横に寄せ、穴が開いた。
その穴に、
シュン
と足から軽やかに飛び込むと、穴は元の瘤に戻った。
穴の中は”下り坂”になっていて、彼女は優雅に滑り降り、出口である隠し部屋に、
ふわっ
と風魔法を使って柔らかに降り立った。
「ここに入るのは、あの戦いが終わって以来ですね。」
呟きながら、部屋の真ん中に鎮座する大型のバイクに近付いた。
前2輪、後ろ1輪の3輪バイクの本体は身長が170cm程の彼女が乗るのに丁度良い大きさだが、車体前面のフルカウルやサイドカバー等の装飾で小さめの軽4くらいの大きさになっている。
パッと見では判らないが各種武器が搭載されている。
このバイクは「フォレスブレイク」。
50年前、彼女と共に戦った相棒だ。
彼女の名はストゥーリア。
鉄騎城を封印した4勇者の1人にして唯一の生き残りだった。
200歳になった今でも、その頃と変わらない容姿をしていた。
ストゥーリアはバイクに触れながら、
「このままではダメ、でしょうね。
あの機能を使えるようにしませんと。。
1度、点検も兼ねて”ムブ”の所へ行かねばなりませんね。」
決意を口にすると戦闘用の武装服に着替え、バイクに跨り、起動スイッチを押した。
ストゥーリアの指先から魔力が流れ込み、それが起爆剤となって魔動エンジンを始動させた。
50年動かしていなかったのが嘘のように魔動エンジンが、
ヒィィィィィィィィィィン!
甲高い起動音を響かせた。
その音を聞いたストゥーリアの、
「んじゃ、いっちょぶっ飛ばすか!」
言葉遣いが荒くなり、少し目がつり上がる。
普段の淑やかさはどこえやら、ストゥーリアはバイクに乗り、エンジン音を聞くと好戦的な性格に変貌する。
それが4勇者の1人「黄金色の弾丸」の二つ名を持つ狂戦士エルフ、ストゥーリアの本性だった。
そして、
「ソカヤン!」
呪文の言葉を発すると、バイクの前の壁がゆっくりと倒れるように開いた。
その先から水が落ちる音が聞こえてくる。
ヒュイン!
ヒュイン!
ヒュイン!
とエンジンを空ぶかすと、
「いっくぜぇ!」
いきなりエンジン全開でかっ飛んでいった。
(5)
ここあ を乗せて地下へと下りていった足場は程なく、止まった。
そして正面が、
シュッ
と小さな音を鳴らしながら左右に開き、目映い光が差し込んできた。
開いた所から足を踏み出すと、そこは広めのガレージになっていて、奥に待望の車が置かれていた。
「しゅうく、んん?」
車に目を向けようとした ここあ の視界に人影のような何かが写った。
慌ててそれを凝視すると、
「お、おじいちゃん!?」
椅子に座った祖父が、居た?
如何だったでしょうか?
飛び出していったストゥーリアのこれからの活躍に期待して頂けたらと思います。
そして、地下ガレージでここあが出会ったのは。。
次回は水曜更新の予定です。
よろしくお願い致します。