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「異世界からのSOS。参上、ダイハッシャー!」(48)

前倒しで襲撃してきたテメッタル。

その頃、ここあ、ミラビィー、ストゥーリアは、、。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

(2)


鉄騎将テメッタルが重鉄騎獣をしたがえて城に向かったのですね。」


鳥の報告を聞いたストゥーリアが表情を曇らせながら、


「クオヌス、またあなたと戦わないといけないのですね。」


小さな声でつぶやいた。

飛び立つ鳥を見つめながら、


「今度こそ、あなたの魂を鉄騎大王の呪縛から解放してあげます。

 この命をけて。」


決意の表情で力強く言い放った。


ストゥーリアは森の奥に入って行くと、この時の為に50年掛けて準備していた魔石を手に取った。

魔法儀式によって50年間注ぎ込まれた魔力が魔石にしっかり溜め込まれていた。


「これだけの魔力量なら大丈夫ですね。」


魔石の魔力量に満足し、それを腰のストレージポーチに入れた。

そして、風をまとって空に上がり、ブンの工房に向かって最高速で飛んで行った。


(3)


ギイーーー!


修練塔プラクティスタワーの出入り口扉が重たげな音を響かせながらゆっくりと開き、ここあ が姿を現した。

泥と汗で顔も服も汚れ、疲れきった表情で、


「戻った、んだよぉ。。」


先に出て待っていたミラビィーに声を掛けた。


「ここねえや、だいじょうぶなの?」


心配そうに声を掛けてくるミラビィーに、


「なんとか、だよ。

 ああもう、体中ベトベトで気持ち悪いんだよ。。」


疲れ声で返した。


「ラビちゃんはどんな感じ?」

「ばっちりなの。はんにちくらいならだいじょうぶなの。

 ここねえやはどうだったの?」

「完璧、には程遠ほどとおいけどなんとか、だよ。

 でも、もうへろへろなんだよ。。」


そんなへろへろ状態の ここあ に、


「ココア、アルテェスカラ、ナンドモチャクシン、シテイマス。」


AI(しゅうくん)電子音声こえを掛けてきた。


「え、アルテから?」


どうしたんだろ、と思いつつ魔道具スマホの着信履歴を見ると、を開けずに30回も着信していた。

慌てて電話しようとしたら、タイミングよく着信した。

わたわたしながら通話アイコンに触れると、


「やっと繋がりましたわ!

 ここあ、大変なのですわ!

 鉄騎将テメッタルがもう来ているのですわ!」


繋がった瞬間、アルテェスのまくし立てる声が聞こえてきた。


「アルテ、ちょっと落ち着くんだよ。

 ちゃんと説明してほしいんだよ。」

「失礼したのですわ。」


はぁー、ふぅー


深呼吸する音が聞こえ、


鉄騎将テメッタルが重鉄騎獣を連れて、もう来ちゃっているのですわ。」


アルテェスが落ち着いた声で状況を説明した。


「それじゃ、1日早く来たって事なんだよ?

 まさかそんな卑怯ひきょうな事を、そういえばする奴だったんだよ。。」

「それで、すぐにられるなのですわ?」


アルテェスに問われ、


「うーん、、10分くらい、で行くんだよ。」


少し考えてから答えた。


「わかりましたですわ。

 それまで持ちこたえますわ。」

「じゃ後で、なんだよ。」

「ええ、待ってますわ。」


通話を終えた ここあ はミラビィーとハッシャーに乗り込むと、転移門ゲートトコート邸(いえ)に戻った。


2人は大急ぎで脱衣所に入って服を脱ぎ捨てると、シャワーで汗と泥汚どろよごれを流した。

着替えて用を足し、携帯食料を食べながらハッシャーに乗り込んだ。

ここまで約8分。


「急ぐんだよ。」

「なの。」


ハッシャーを急発進させた ここあ は城の中庭が出口になっている転移門ゲートを出して、猛スピードで突っ込んでいった。


(4)


「ブン!」


名前を叫びながら店に駆け込んできたストゥーリアに、


「準備出来てるっす、ストゥーリア様。

 こっちっす。」


来るのが分かっていたとばかりに声を掛け、奥の工房に案内した。

そこにはムンが頭部武装ヘルメットを持って待っていた。


「ストゥーリア様、これを。」


ストゥーリアが差し出された頭部武装ヘルメットを受けとると、


「なんとか30分までばせました。」


ムンが声を掛けた。


「ありがとう、ムン。

 すごい成果です。」


ストゥーリアのねぎらいの言葉に、


「ありがとうございます。

 防御力も強化しています。

 城を、この世界を守って下さい。」


お礼と願いで返した。

既に城が襲われている事を知っているようで、2人は準備を整えてくれていたのだ。


「ええ、必ず守ります。」


ストゥーリアの力強い返事に2人がうなずきで返した。

その時、


「あ、あああーーーっす。。」


ブンが悲壮な声を上げた。


「わ、忘れてたっす。。」


声を震わせつぶやくブンに、


「どうしたのですか、ブン。

 なにか不手際ふてぎわでもありましたか?」


ストゥーリアが問い掛けた。


「いや、そうじゃないっす。

 昔、親父ムブが城に挨拶に行けって言ってたっす。

 完全に、忘れてたっす。」


落胆の声を漏らすブンに、


「それって先代ムブが旅に出た時ですか。

 たしか10年くらい前ですよね。」


ムンが問い掛けた。


「そうっす。

 ディブのメンテのサポートをたのまれてたっす。」


青ざめつぶやくブンに、


「それでは城までご一緒しましょうか、ブン。」


ストゥーリアがにこやかに声を掛けた。

ブンの顔から完全に血の気が失くなった。

それが何を意味するのか?

フォレスブレイクでストゥーリアの後ろに乗って行くとゆう事は、、。


「そ、それは遠慮しておくっす。

 ストゥーリア様の後ろに乗るなんて恐れ多いっす。

 後からゆっくり行くっす。」


丁重ていちょうにお断りするブンに、


「遠慮すんじゃねぇよ、さっさと乗んな!」


フォレスブレイクにまたがり、魔動エンジンを起動させた狂ストゥーリアがどやしつけた。


「はいっす!」


ブンは背筋を伸ばして悲壮な声で返事し、恐る恐る後部座席タンデムシートに座った。


「しっかりつかまってな!」

「はいっす!」


どやされたブンが、ストゥーリアの腰にしっかり腕を回してつかまっているのを確認すると、


「ちょっくら行ってくるぜ。

 朗報を待ってな。」


そう言って、


ヒュイーーーーーン!


「ひやぁぁぁぁぁっすぅ!」


甲高い魔動エンジン音とブンの悲鳴を残して爆走して行った。


「ご武運を。

 親方とうさんは、ご無事に。。」


その姿を見送りながら、ムンがぽそっとつぶやいた。

如何でしたか?

3人が駆け付け、いよいよ重鉄騎獣とのバトルに。

次回、お楽しみに。

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